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緑と十の育成法   作者: 小市民
第三章 冒険
25/36

プロローグ

(12/03/10)誤字・脱字修正


 雲一つ無い青空の下。

 どこまでも広がる大草原の中を、二人の人物が歩いていた。

 二人とも少し暑いぐらいの気候の中だというのに、全身を黒いローブで包んでおり、さらにフードで顔を隠している。


 二人は少し高い丘の上まで来ると、立ち止まって前方を眺めた。

 二人の視線の先には、青々と生い茂った木々に囲まれ、太陽の光が反射し眩しく輝いた湖が。

 

 二人の人物の内の、一人が言った。


「……綺麗。こんなに綺麗な場所、生まれて初めて見たわ。

 貴方もそう思うでしょ?」


 その高い声から女性と思われる人物が、目の前の光景に感動しながら隣の人物に質問した。


「……はい」


 その少し低い声から男性と思われる人物が、女性の言葉にあまり共感していない様子でそう答える。

 男性の反応に眉を吊り上げる女性。


「本当。貴方ってどうしてそう、無表情で無感動で、ついでに無愛想なの?」


「……すみません。お嬢様」


「……もういいわ」


 男性から顔を逸らして呆れる女性。


「それよりも。ここから先がこの国の東部地方にあたりますので」


 女性の様子を見ながら、しかしそれを気にすることなく別の話をする男性。

 その態度に少しカチンとしながらも、女性は男性の問いに答えた。


「ええ、そうよ。そしてここに例のモノがある。彼の持っていた情報が正しければ、ね」


「おそらく正しいと思います。西は調べ尽くしましたが見つからなかった。つまり……」


「言われなくてもわかってるわよ。

 ……とにかく、ここからは予定通り別れて探しましょ。

 貴方の担当は東部地方を右回りで西地区と南地区、私は左周りで北地区と東地区。

 最後の中央地区で落ち合う。いいわね」


「……わかりました」


 男性の了承を得た女性は一度頷き、身を翻して目的の場所へと向かっていく。

 男性は、段々と遠ざかっていく女性の後ろ姿を少しの間眺めてから、自身も目的地へ向かおうと歩み出す。

 しかし、ふと先ほど言われた女性の言葉を思い出して立ち止まり、湖の方を再び眺める男性。


 男性は反射して自身を照らしつける光に眉を少ししかめつつ、呟いた。


「綺麗。……確かにそうかもしれない。でも……」


 男性は湖から目を逸らし、空を仰ぐ。


「ボクは、それを汚してしまうんだ。自分たちの目的のために」


 男性はそう呟いてから、自身の目的地へと歩み出すのであった。

読了ありがとうございました!

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