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緑と十の育成法   作者: 小市民
第二章 討伐
17/36

第四節 出向く少年

(12/03/10)誤字・脱字修正

すでに村長宅での話し合いから九時間が経過しており、今は四時を少し過ぎた頃。


トウヤは仕事を終えて、カズマと共に自宅へと帰っていた。

いつもなら仕事が終わった後は、読みたい本を読んでくつろいでいるトウヤ。

しかし今回は、つい数時間前に話された内容が気に掛かり、茫然自失となってベッドに横たわっている事しか出来なかった。


トウヤはその話しを思い出し、自身の終わりが刻々と近づいていることを改めて理解した。


「……なんて事をしてくれたんですか、カズマさん。貴方の勝手な行動のせいで、ボクは死んでお亡くなりに。ああ、なんてこった」


トウヤは死んだ魚のような目をして、ベッドに横たわりながらカズマを見る。

そんなトウヤに対してイライラしながら、未だ元の姿を維持しているカズマは言った。


「死なねぇよ! なんでお前はそう悲観的にモノを考えんだよ!」


「死にますよ! 聞いてたでしょ、ハトナさんの話。調査隊が一人を除いて全滅ですよ。ボクごときなら全滅どころか塵も残りません!」


上半身をベッドから跳ね起こしながら、トウヤはカズマを睨みつける。


「だいたい何でハトナさんの話を、何にも考えずに引き受けたりしたんですか!」


「しっかり考えて答えたよ!」


「……何を考えてですか?」


疑いの目でカズマを見るトウヤ。

 しかしそんなトウヤの視線に構うことなく、カズマはあっけらかんとした表情で言った。


「面白そうだな、と」


「アホーーーー!」


あまりのアホ発言に、トウヤは叫び声を上げた。


「うう、ボクの命日まで後二日……」


「だから死なねぇっての。つうか、だいたい何で二日も待たなきゃいけねえんだよ。あの女~」


カズマは、一旦町へと帰っていったハトナの事を思い出した。


「もう忘れたんですか? 万全の準備を整えるために猶予をくれって言ったの」


数時間前に言われた事を、もう忘れているカズマに呆れるトウヤ。


「ちっ! そんな事しなくても俺たちでパッと終わらせるのによ!」


「『たち』を付けないでください。というか本当に大丈夫なんですか?」


「何が?」


トウヤの質問に、疑問符を浮かべるカズマ。


「今回の討伐対象、『鳥人化』能力者についてですが、まぁカズマさんなら倒せるとは思っています。山賊たちもコテンパンにしましたしね」


「……へっ! ようやく俺の実力を認めるようになったか」


カズマはトウヤの言葉に胸を張った。


「確かにカズマさんはお強い。

しかしですね、その強さには時間制限があることをお忘れではないですよね? 

カズマさんは10分しか実体化する事が出来ません」

「まぁそうだな。でも10分もあんだろ? 軽い軽い」

「……まぁその言葉をギリギリ信じましょう。しかし問題がもう一つ」


トウヤは腰袋を取り出して言った。


「『樹肉の実』の残りは3個。この内1個は町に行く際、カズマさんの姿を見せるため『クロックレイズ』に使う必要があります。

 そう考えると残り2個の実で本当に大丈夫なのかどうか……」


合計20分。

しかも2回の召喚の間に、『消失時間』の10分を入れて考えなければいけない。

つまり10分たった後、必然的にトウヤは無防備状態となってしまうのだ。


そう悩むトウヤに、しかしカズマはこう言った。


「何言ってんだトウヤ。『実』ならもっとあるだろうが」


「……はぁ?」


カズマの訳の分からない言い分に、トウヤは目を点にしてしまう。


「……何を言ってんですか?」


トウヤは『まさか……』と思った。


「二日後に討伐に行くんだろ。それなら育てた『実』から大量の『実』がなって、充分持つだろうが……」

「なっ!?」


カズマの言葉に驚愕の表情を浮かべるトウヤ。

そして、


「アッホーーーーーーーーーーーーーー!」


トウヤは小屋が揺れるかと思う程の大声をあげる事に。

それにカズマは驚き、目を丸くする。


「お、おい。どう……」


「ほんっとーーーーーーーーの、アホなんですか! 

まさかと思っていましたが、本当に、こんなに、アホだったとは!」


目を血走らせ、カズマに噛み付きそうな勢いで怒鳴り散らすトウヤ。


「なっ! 誰が……」


「貴方ですよ! いいですかカズマさん! ボクは確かに明日、明後日には実がなるだろうとは言いました。

 確かに明日なら問題はありません。けどね、もし明日ではなかったら……」


「? 明後日だろ?」


「ええ! でもね、明後日ってのは二十四時間あるんですよ! 

つまり二日後の討伐開始時刻に間に合わない可能性も!」


「何!?」


ようやく事態の深刻さに気付くカズマ。


「だからね! 本当に最悪の場合はこの二つの実だけでやり過ごさなくちゃいけないんですよ! それなのに、それなのに!」


トウヤは泣きそうな目でカズマを睨む。


「くっ! で、でもよ。最初に『クロックレイズ』で行くんだろ? だったらその状態で戦えばいいじゃねぇか!」


「……本当に勝てるんですか? 力が弱まってるんですよ?」


疑いの眼差しでカズマを見つめるトウヤ。


「大丈夫だっての。少なくともお前よりは強いしな」


「ぐっ! で、でもボクもいるんですよ? この足手纏いのボクが」


その状態で本当に勝てるんですか?


「大丈夫だっての。お前がいるぐらいが丁度いいハンデになるんだよ!」


高笑いを上げて、そう告げるカズマ。

その姿を見て、本当に大丈夫か、とトウヤは逆に不安がるも、『まぁ、確かに最悪の場合はそれしか手はないか……』と無理矢理納得する事に。


「……わかりました。つまり『クロックレイズ』の状態でまずは様子見。それで大丈夫なら問題なし。

 問題があるようなら『レイズ』で一気に止めを刺す。そう考えていいんですね?」


「おう!」


「……本当に頼みましたよ?」


いまいち信用しきれないんですよね。


カズマを見ながらそんな事を思っていると。


「あっ」


カズマの体が突然光だし、直後に姿が消えてなくなる。

トウヤは懐中時計を確認した。


「……10時間、ですか。随分長い『召喚時間』でしたね」


そう呟いたトウヤだったが、ふと最悪な考えが頭を過ぎる。


……まさか『消失時間』も十時間? だとしたら不味い!


「なんてこった!」


先ほど立てた『クロックレイズ』が駄目だったら『レイズ』で即決着、という心配だらけの計画ですら危ういと気付くトウヤ。

どうしようどうしよう、と慌てふためいていると、しかし突如腕輪が緑色に光り出した。


「え! まだ10秒しか経ってないですよ!」


懐中時計を確認し、驚くトウヤ。

しかし光が収まり、辺りを見回すと、


「ちっ、もう元に戻ったのか」


ミニマムカズマの姿がそこにはあった。


「おお、天よ!」


貴方は本当に罪な御方。ボクにどれだけ心配させれば気が済むんですか!


穴だらけの作戦でもないよりはマシだったので、普段は感謝をしない天に手を合わせるトウヤ。

そんな事をしていると、外からレイナの声が聞こえてきた。


「トウヤ。お祝いの準備が出来たから呼びに来たよ!」


「……それがありましたね。忘れてました」


勘違いで行われる祝い事のため、あまり乗り気がしないトウヤだったが、いかないわけにもいかなかった。


「すぐに行きますので、先に行っててください」


「うん。今日は腕によりを懸けて作ったからね。何たって記念すべき日だもん」


レイナはウキウキしながらそう言って、さきに村長宅へと向かっていった。

そんなレイナの様子に、良心が傷んで仕方がないトウヤだった。



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



二日後。

雲ひとつない青空の下。


そんな空とは対照的にどんよりとした少年が一人、村の入口に立っていた。

その背中には大きな荷袋を背負っている。


「……くっ! 嵐でも来てくれればいいのに」


そうなれば、少なくとも一日は寿命が伸びるってもんです。


テンションが最悪なまでに低いトウヤは、空を睨みつけながらそんな事を思った。


結局あの後、新たな実を手に入れる事は出来ずじまい。

そのため、当初考えていた穴だらけの作戦を決行する事になってしまい、不安で中々寝付けなかったトウヤは、目の下に大きな隈を作る始末。


寝不足の上、これから死地に向かうともなれば、気分も急降下するのは致し方ない事である。


「うっし、行くか! トウヤ!」


トウヤとはまるで正反対に元気いっぱい、すでに朝から召喚済みのカズマはトウヤに向けてそう言った。


「やかましいですよ。耳元で怒鳴らないでください!」


「何イライラしてんだよ。良い討伐日よりだってのに」


「何ですか討伐日よりって! いい加減な日を作らないで頂きたい!」


そんな言い合いをしている二人に、レイナが近づいてきた。


「トウヤ。はいこれ」


そう言って包みを渡してくるレイナ。


「……何ですかこれ?」


トウヤは包みを持ち上げながら、レイナに聞いた。


「お弁当だけど?」


「へっ?」


レイナの言葉に目を丸くするトウヤ。


な、何故にお弁当を? ボクは討伐に行くんですよね?


トウヤがお弁当という存在に悩んでいると、それにレイナが答えた。


「討伐中、お腹が減ったら食べてね!」


「食べれるわけないでしょ! 討伐中ですよ! そんな暇あるわけないでしょ!」


レイナの天然発言に、声を荒らげるトウヤ。

しかし、そんなトウヤにお構いなしにレイナは話しを続けた。


「後、危険な場所には近づかないこと。それと怪我をしないように注意すること」


「レイナ、遠足じゃないんですよ。

後、その二つを達成するのは極めて困難であると、わかってて言ってるんですか」


特に危険な場所には近づかないって、討伐に行くなって事ですか? なら何故見送るんですか。


トウヤはレイナが何を考えているのかわからなくなった。


「あ、あとこれ地図だって。はい」


そう言ってレイナは地図をトウヤに差し出した。

そこには『トリナの町』と件の森の位置が書き込まれていた。


「ハトナさんが置いてってくれたの。

こちらに案内する事が出来ないだろうから、せめてこれだけはって」


「はぁ、ありがたいのやら、ありがたくないのやら」


道に迷って遅刻した、なんて言い訳もできませんね。


「それと、トウヤとカズマさんに馬を用意したの」


そう言ってレイナが後ろを向くと、村長とレイラが馬を連れてトウヤ達に向かってきた。


「おお! テンマ!」


トウヤはレイラが連れている馬がテンマであると知って駆け寄る。


「はいトウヤ。アンタのお気に入りの馬よ。というかこの馬以外、アンタ乗れないもんね」


レイラはテンマの轡を渡しつつ、トウヤにそう言った。


「まぁそうですね。何故かテンマだけには乗れるんですよね」


「不思議よね。運動神経皆無のアンタが、何でテンマには乗れるの?」


「さぁ? 気が合うからかもしれません」


トウヤはテンマに跨りながら答えた。


「ああ、何となくわかるかも。アンタたち似たもん同士だしね」


テンマはトウヤに似て、臆病な馬だった。

そこがトウヤとテンマを仲良くさせる一因となっているのかもしれない、とレイラは考えたのだ。


「まっ、とにかくしっかりやんなさいよ。死なないようにね」


「……そこが一番の問題点何ですよね~」


果たして、生きて戻ってこれるのか。


「……とにかく全力で生き延びわれるよう努力します」


「そこは全力で敵を倒すって言いなさいよ」


トウヤのいつもどおりな発言に呆れるレイラ。

そんな事をしていると、カズマがすでに馬に跨った状態でトウヤに近づいてきた。


「ほら。ボーっとしてないで行くぞ」


「あ、カズマさん」


トウヤに話しかけるカズマに、レイラが言った。


「あ、何だ?」


「あ、あの。トウヤの事、よろしくお願いします」


 カズマに頭を下げるレイラ。


「レ、レイラ……」


 自身の事をそこまで思っていてくれたのか、とトウヤは感動した。

 しかし。


「もしこいつが足を引っ張るような事をしたら、遠慮なく本気でぶん殴ってください」


「そっちですか! というかカズマさんに本気でぶん殴られた、ボクは即御陀仏ですよ!」


「おう! まかせろ!」


「了承するな! カズマさんも!」


 さらに自身に死亡フラグが立ち、慌てるトウヤ。


「アホな事を了承しなくていいですから、カズマさん行きましょう!」


「良し! 行くか!」


「しっかりね。トウヤ!」


「生きて帰ってきなさいよ!」


「カズマ君。トウヤを頼んだぞ!」


三人の声援を受けながら、トウヤとカズマは馬を走らせ、村を後にした。



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



目的地は村を出て約2時間の場所にあった。

地図もあり、特に迷うことなくたどり着くことが出来たトウヤとカズマだったが。


「ああ、お尻がとっても痛いです」


馬から降りた直後に、お尻を抑えるトウヤ。

そんなトウヤにカズマは呆れた表情で言った。


「何やってんだ、お前は」


「仕方ないんですよ。馬に乗り慣れてないんですから」


未だ痛むお尻をさすりながら、トウヤはカズマに文句を言う。


「……そういえば、カズマさんはしっかり馬に乗れてましたね。経験あるんですか?」


「……さぁな」


あ、そうか。記憶喪失だった。


トウヤはカズマが記憶喪失である事を思い出し、失礼な事を聞いたな、と顔を顰めた。

そんなトウヤを気にも止めず、カズマは辺りを見回す。


「しかし、ハトナの奴はどこにいんだ?」


「あ、そういえば。この森の前が待ち合わせ場所のはずなんですが……」


目の前の森を眺め、場所は間違っていないよな、と再度地図を調べようとすると、


「トウヤくん! カズマさん!」


聞き覚えのある声が耳に入り、そちらに振り向くトウヤとカズマ。

そこには、二日前にあったハトナの姿があった。

さらにその後ろには、ハトナの言っていた討伐隊の面々の姿も。


「ハトナさん! 良かった、間違ってなかったんですね、場所は」


「すみません。こちらの方が先に来て、出迎えねばならないのに……」


協力者であるトウヤ達を待たせてしまい、表情を雲わせるハトナ。

そんなハトナの様子を見て、トウヤは慌てて言った。


「気にしないで下さい! ボクたちは全然気にしてませんから。

それより、この後ボク達はどうすればいいんですか?」


その言葉にハトナはハッとして、説明を始めようとするが、


「作戦なんてどうでもいい」


カズマがトウヤを小脇に抱えながら、ハトナにそう言って話を中断させた。


「えっ?」


「へっ?」


その言葉に唖然とするハトナと、目を点にするトウヤ。

しかし、すぐさまトウヤはカズマに噛み付いた。


「何を言ってんですか! 作戦無しでどうするってんですか!」


「決まってんだろ。森に突入するんだよ」


「話が通じないんですか! どう突入するかの作戦を……」


「んなもん正面突破だろ?」


「なっ!?」


脳筋猪男の特攻精神に、茫然自失となるトウヤ。


「し、しかしそれはあまりにも……」


さすがにハトナも無謀と感じ、カズマを止めようとするも。


「大体、互いに実力を理解してないもの同士が協力なんて出来ねぇだろうが。だったら別に行動した方がいいだろ? 

 それに俺たちが突入すりゃ、陽動にもなるし。そっちの方がお前たちも動きやすくなるだろ?」


「そ、それは確かに……」


例え強力な助っ人だろうと、足並みが揃わなければ意味がない。

カズマの言い分を聞き、ハトナはある種納得した。


「……わかりました。協力者の貴方達を囮にするのは大変心苦しいのですが……」


「気にすんなっての。こっちも好きで協力してるんだからよ」


「あ、ありがとうございます」


ハトナは頭を下げて、カズマに感謝した。


「それではご武運を」


ハトナは討伐隊のいる方へと戻っていった。


「よし、それじゃ行くぜ!」


「……ハッ!?」


カズマの出発発言に、今まで呆然としていたトウヤは正気に戻る。

そして、


「アンタはアホですか! そんな危険な事、ボクはしませんからね! 

 ハトナさん、今のはこの脳筋の……。って、ハトナさん?」


その場にいたはずのハトナの姿が見えず、辺りを見回して探すトウヤ。


「もう行っちまったよ。それより俺たちは先に突入して陽動だ。行くぜ!」


「行きません! ってか陽動!? なんでですか!?」


さっぱり意味がわかりません、といった様子のトウヤ。

そんなトウヤにカズマは言った。


「俺たちの陽動で討伐隊の奴らも動きやすくなるだろ? だから俺たちだけで……」


「そこですよそこ! その点が問題なんです! 陽動、大いに結構。

 しかし何故ボクも陽動の側に入ってるんですか! そんな危険な事、ボクはしたくありません!」


トウヤはカズマを睨みつけた。


「いいじゃねぇかよ。お前を助けつつ、奴らより先に鳥野郎をぶっ飛ばす事が出来る。良いことだらけじゃねぇか」


「良くないです! というか本音が漏れましたね! 

 陽動と言いながら、その本質は先に『鳥人化』能力者と一対一で戦いたいだけなんでしょ!」


「? 当たり前だろ?」


「『何言ってんだこいつ』って顔で見ないでください! それはこっちがしたい顔なんですよ!」


あまりにも本能に忠実なカズマに、トウヤは体を抱えられながら頭を抱える。


「大体一対一で戦いたいなら、なおのことボクを置いていってくださいよ。絶対足手纏いになりますから」


目を潤ませて『危ないところに連れていかないで』と、トウヤは視線でお願いした。

しかし、そんな彼の考えをカズマが理解できるはずもなく。


「前に言ったろ? ちょうどいいハンデだって」


「人をハンデの材料にするな! ボクの命が懸ってるんですよ!」


「だぁ! もうゴチャゴチャうるせぇな! 行くぞ!」


そう言って森の中へと、トウヤを脇に抱えたままカズマは歩き出した。


「ま、待って! 待って! 誰か助けてーーーー!」


目に涙を浮かべて、どこかの誰かに助けを乞うトウヤ。

そんな彼の目に、ある一頭の馬の姿が写った。


「あ、テンマ! 見てないで助けてくださいよ!」


トウヤに懐いている愛馬、テンマであった。

しかしそのテンマはというと、トウヤの必死な姿に森に近づく事の危険性を感じたのか、トウヤから逃げ出して遠くへと駆け出す始末。

 そんなテンマの後ろ姿を、トウヤは唖然として見つめた。


「テンマ! この薄情者! 危険を感じたら逃げるなんて、誰に似たんですか!」


世話主である自分に似たとは、トウヤはまったく思っていない様子。

しかし、彼がそう憤慨するもテンマは帰ってこず、さらにカズマも足を止めず。

結局、トウヤとカズマの二人は、その姿を薄暗い森の奥へと消していったのであった。


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