第1話
初日なので本日3話投稿します。
※ふわふわしてます。
息抜き作品なので感想欄閉じてます。ご了承ください。
着飾った鏡の中の人物を見つめる。
綺麗に整えられたプラチナブロンドの髪に薄く施された化粧で血色のいい白い肌、私のためと誂えられたシンプルなドレスは用意してくれた侍女たちには好評だ。
いつ見ても変わらない私の姿に内心ため息をついた。
「いつ見てもお美しい……!まさに女神が絵画から出てきたようですわ!」
侍女であるステラが鏡越しに手を合わせ感動している姿に少しだけ呆れながら苦笑した。
「ありがとう」
「今日もメリーベルお嬢様は完璧ですわ!」
「はは……大袈裟よ」
褒めてくれてる彼女には悪いが全く同意できない。
「いいえ!この輝くようなプラチナブロンドに、うっすらと開いたまぶたから覗く透き通ったアイスブルーの瞳!小さく上品な鼻に可愛らしいお口!守りたくなるような華奢な身体は世の全男性が庇護欲を掻き立てられます!全てが完璧でございます……!」
ステラの言葉に微妙な気持ちになる。
あっさりとした印象の薄い地味な顔……。
この顔がこの世界で“最上の美”なんて。
深いため息を飲み込んだ私はゆっくりと微笑んで話題を変えることにした。
「ところで、今日はお父様から話があるのよね?」
「はい、朝食の席でお話があるそうですよ。おそらく昨日のデビュタントの件かと」
やっぱりそうよね。
ステラの予想に少し気分の落ちた私の足取りは重かった。
メリーベル・フローレス。
前世、日本人であった記憶を持つ私はフローレス伯爵家の一人娘として生まれた。
生まれた直後は、テンプレか!?チートか……っ!なんて期待したけど、そこはさすが私。普通で凡庸で平凡。特に大きな魔力も無ければ特別な才能も無かった。
そうだよね、なんて納得しながらも、正直ガッカリした。
でも、生まれは貴族。
金銭で困ることなんてないし、両親も兄二人も優しくて私に甘い。
よくある厳しい貴族教育も、ものめずらしさに興味が湧いて、特にこれといった苦労もなくすんなりと頭に入れることができた。
ダンスは少し苦手だったけど、お兄様たちの足を踏んでも「メルは可愛いからこのくらい許されるよ」なんて冗談を言って笑ってくれるから嫌になることなんてなかった。
それから毎日楽しく過ごしていたんだけど、すごく違和感を覚えることがあって。
それは、私の容姿に関して。
家族はもちろん使用人たちも私のことを「かわいい」「美しい」と誉めそやして、それはもうデロデロに甘やかした。
初めは親バカだなぁ、とか、おべっかか、なんて思っていたんだけど、どうやらそうではないと気づいたのは、まだ五歳であった私に見惚れるような表情や顔を真っ赤にする大人を見た時だった。
ロリコンかよ、なんて引いた目で見ていたのだが、行く先々でそんなことが起これば不思議に思う。
フローレス伯爵家は美形揃い。そんな噂があることを知って思わず口を噤んだよ。
だって私は今まで、どこにでもいる普通の顔だなぁ、なんて思ってたんだから……!
美形と言われるうちの家族。
その中でも群を抜いているのが私らしいが、違いなんてよく分からない。自分と違う価値観ってこんなに理解できないものなんだね。初めて知ったよ。
でも綺麗だなんて言われてもあまり嬉しくは無い。
私の感覚では間違っても綺麗では無いので。
頭で理解していても、やっぱりぱっちりとした大きいおめめの方が可愛いし、スっと通った鼻筋の方が綺麗だし。そんな、私が可愛いとか綺麗って思う顔がこの世界では目も当てられないほど不細工なんてふざけてる。
だからってこんなことは言えなくて。
だってそうでしょ?
いきなり「私、顔面が崩れている方が好きなの」なんてどんな子だよ。絶対にポカンとした後にドン引きされる。私だったら今後のお付き合いを少し考える。
そんなこんなで大人しく言いたいことを飲み込んだ私は先日十七歳になり、無事成人となった。
そして昨日。
大人の仲間入りを果たす少年少女たちが集まる夜会、デビュタントが王宮で行われた。




