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Ⅰ. 見知らぬ世界へ⑤ 異世界情勢

毎週木・金・日、15時~20時の間に投稿予定

 次の日の昼休み時間、わたしは初めてルームメイト、もとい“仲間”であるエリシア・セレナデューと昼食をとっていた。


「......あなた、本当に世間知らずなのね」


「悪かったな。わたしは喧嘩しか能のない、どうしようもないゴロツキだったんだ」


わたしは彼女にそう言い訳する。というのも、わたしは自分が転生者であることを隠す必要があった。転生したあの日、校長に言われたのだが、転生者は大抵並々ならぬ力を持っており、それが戦争に出れば一人だけでもかなりの戦力になり得る。なので魔物側は、そのような者が戦場に出てしまう前に工作員をしのばせ、暗殺を試みているらしいのだ。無論帝国としても工作員対策は厳重に行っているのだが、それでも完全とは言いがたい。なので帝国としては、誰が転生者であるかを隠したがってるのだ。実際にわたしもあの日、校長から誰にも自分が転生者だと漏らさぬよう、そして怪しまれぬようにと、しつこいくらいに釘を刺された。


「ふうん、そう。ま、いいわ。教えてあげる」


むろん、彼女にもまだ打ち明けていない。いくら天使を信じない者同士で、仲間だからと言って、出会ってたった一週間だ。本当に信用に足る人かもわからない。


「ありがたい」


そうして彼女は語り始めた。



 まず、この世界は九の国家に分けられる。人類の国はザレンベルク帝国、ルスラニア帝国、大オレシュ王国、カザールスタン王国、ベルジュ帝国の五カ国。そして魔物の国は神聖エーベンベルク帝国、ズィーデン=ミンスター二重帝国、カジャナ王国、レフランド火山帝国の四カ国。双方がそれぞれ対魔連合、魔王同盟として同盟を結び、睨み合っている。

 

 そして、極西にある、どちらの陣営にも加わらない第三勢力が一カ国。華陽王朝(華国)である。この国は現状、どことも国交を開いておらず、また対魔連合構成国とも、魔王同盟構成国とも異なる文化をもっている、らしい。


 わたしたちがいま住んでいるのはザレンベルク帝国(沙国)だ。この国は対魔連合の中でもっとも高い工業力を有しており、武器の輸出をよく行っている。また島国であるため、水上戦闘に長けている。


 ルスラニア帝国(琉国)は、対魔連合における統領ともいうべき国だ。そのような地位にいるだけあって、国土が広く、国力が連合の中でもっとも高い。特に陸上戦闘に長けている。なお、武器に関しては、半数がザレンベルク帝国製のライセンス生産らしい。


 大オレシュ王国(乙国)は連合の中でもっとも大きな国土をもつ。平地が多く、農業に向いていることから農業、牧畜が極めて盛んで、連合の食料庫と呼ばれている。陸上戦力がそれなりにあるが、水上戦力はたいして高くなく、軍事力は比較的低い。


 カザールスタン王国(嘉国)は小国で、技術力も軍事力も低い。が、鉱石資源、特に魔導具に使われる魔鉱石が豊富に産出され、それの輸出のおかげで経済力はそれなりにある。


 ベルジュ帝国(兵国)は連合国のなかで唯一、魔王同盟国と国土が隣接しており、またもっとも新しい国である。この国の領土は約三十年前の戦争でカジャナ王国から割譲したものである。そのため国境付近では非常にしばしば小競り合いが起きており、休戦条約こそ結ばれているが、戦争が再開されるのは時間の問題だろう。現在、国境付近が過去に類を見ないほど緊張しており、近々大規模な戦争になることが危惧されている。


 続いて魔王陣営だが、神聖エーベンベルク帝国(嬰国)は世界でもっとも広い国土を有しており、同盟国の中で経済力、軍事力ともにもっとも高い。また、北西部にはラウマ国家弁務管区があるが、その実態はまったく不明である。


 ズィーデン=ミンスター二重帝国(魅国)は水上戦闘に長けている。また、ドラゴンが多く生息しており、戦闘用ドラゴンの飼育が盛んである。


 レフランド火山帝国(零国)は島国で、島の中央に巨大な活火山がある。さらにその内部には首都があり、首都の守りは極めて堅牢である。また住民の大部分がドワーフ族であり、高い技術力を誇る。


 カジャナ(香国)王国は、対魔連合国のひとつであるベルジュ帝国と隣接している。また地下資源が豊富らしい。



 エリシアに教わった世界情勢はこんなところだ。今現在はベルジュとカジャナの国境が危ないらしいが、戦争につながらないことを祈ろう。

お読みいただきありがとうございます。


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