お互い勘違いしながらも? ちゃんと想いが伝え合えたお話。
僕には好きな女性がいる。
でも? 彼女にはずっと好きな男性が居ると人から訊いていた。
彼女もまた、僕の事を好きでいてくれたらしい。
僕と同じく! 僕にも他に好きな女性が居ると思い込んでいた。
せっかく僕と彼女が出会えたのに、お互い一方通行に進んでいたのだ。
『ごめんね、春ちゃんの好きなところに行こうか。』
『ううん、由人君の好きなところでいいよ。』
『じゃあーいつものところでいい?』
『うん。』
僕が言う“いつものところとは? 近所にある公園だった。”
そこにあるベンチで2人横に座って缶コーヒーを飲みながら話す
他愛のない会話が好きだった。
僕は彼女の笑う顔が好きだ。
顔をクシャクシャにしながら僕の顔を見て笑ってくれる彼女の笑顔が
僕にとって一番の幸せな時間だった。
でも? 彼女はある時間になると家に帰らなくてはいけない。
だから僕はきっと彼女には付き合ってる彼氏が居るのだと思っていた。
・・・何度もその公園に彼女と一緒に行くのだが。
彼女と恋愛の話を一度もした事がない!
彼女の口から、“彼”の話をしてほしくない僕はずっと避けていたんだ。
きっと訊いてしまったら? 僕は動揺してどんな顔をしていいのか分から
なくなると思った。
彼女も困るだろうし、次から僕は彼女を誘えるかも不安になった。
何気ない会話だからこそ! 僕は彼女と二人でも大丈夫だと思えた。
彼女と会えない僕の人生なんて! ゴミを漁って食べるより辛い人生に
なると思う!
彼女の居ない人生なんて絶対に耐えられない!
『由人君、ごめんね! もう帰らなくちゃいけない時間になったの。』
『うん、ごめんね! 今日も付き合ってくれて。』
『いいよ。私も凄く由人君と居ると楽しいから。』
『そう言ってくれて僕も嬉しいよ。』
『じゃあーまたね。』
『うん!』
彼女はこうやって、決まった時間に帰る。
家では“彼”が待ってるのだろうな。
だから急いで帰るんだろと僕は思っていた。
それでも僕は彼女と一緒に居たいがために何も彼女に聞かない事にしている。
ただただ僕は彼女と一緒に居たいだけ。
それだけでいい! それで僕は満足なんだと自分に言い聞かせていた。
*
・・・でも、あれから3ヶ月後。
僕は遂に禁断の言葉を彼女に言ってしまった。
『ごめん、時間だから帰るね。』
『“彼氏のところ?”』
『違うわ!』
『ごめん、こんな事言うつもりじゃなかったんだけど。』
『・・・私も何も言ってなかったよね。』
『別にいいよ、言いたくないなら言わなくても、』
『実はね! “お母さんの看病をしてるの!”』
『えぇ!?』
『病気でね! 私しかお母さんの面倒を見る人が居ないの。』
『そ、そうなんだ、』
『私は由人君には、“彼女”が居ると想ってた。』
『えぇ!? 居ないよ! 誰からそんな事訊いたの?』
『ううん、別に誰からも聞いてないんだけど、勝手に私がそう思って
ただけなの。』
『僕が好きなのは、“ずっと春ちゃんだけだよ。”』
『私も、“由人君の事が好きだよ。”』
『同じだ!』
『・・・うん、同じだね。』
『私達って? “お互い同じ気持ちだったのかな?”』
『そうみたいだね。』
『うん。』
『じゃあさー“最初は友達から僕と付き合ってみる?”』
『“彼氏からでいいよ。”』
『えぇ!?』
『もう私の彼氏みたいなもんだしね。』
『それなら、“彼氏からでよろしくお願いします。”』
『こちらこそ、よろしくお願いします。』
ちょっとした事なんだと僕は思う!
想いをちゃんと伝え合えば? ふたを開ければ彼女とは同じ気持だった。
勘違いしてお互い“彼氏、彼女”が別にいると思い込んでいた。
だから告白する事も出来ず、心はいつもモヤモヤして......。
今回! お互いがちゃんと想いを伝え合った事でそのモヤモヤは
キレイに晴れた!
心は快晴! 気持ちもスッキリ!
今の関係をずっと続けながらお互いの想いを大事に彼女を大切にしたい!
最後までお読みいただきありがとうございます。