5話
ピンポーン
軽快な音が流れる。
今日も先生が来たのかと思い布団を頭まで被る。
「はーい」
お母さんが玄関まで歩く音が聞こえる。
だんだんと離れていく音と反比例するように私の心臓が波打つ鼓動はだんだんと大きくなる。
お母さんが玄関から居間へ客人を案内する。
そしてお母さんは階段を一段一段登ってくる。
私の部屋の扉の前に止まり、ノックをする。
「同じクラスの平井さんと先輩の古澤さんがいらしゃってるわ」
同じクラス?
まだ学校に入学式の1度しか行っていないのになぜ来たのだろう?
先輩の古澤さんについては誰なのかもなぜ来たのか意味がわからない。
「ごめん帰ってもらって…」
「そう…分かったわ」
そう言ってまたゆっくりと一段一段階段を降りていく音を堪忍してゆっくりと深呼吸をした…
「翔太くん頑張って」
今俺たちは小林遥香の家の前にいる。
「よし…」
決意を固めてインターホンを鳴らす。
「はーい」
中から母親らしき人の声が聞こえる。
ガチャと家の扉が開いて小林遥香の母親がでてきた。
「どちら様ですか?」
「僕は小林さんと同じクラスになった平井翔太です」
僕と言った俺を見て古澤先輩がニヤニヤ見てくる…
そんなに似合わないか…?
「その先輩の古澤です」
「今日は小林さんとお話がしたくてきました」
「まぁありがとう上がってください」
玄関には小林遥香のと思われる靴が乱雑に置いてある。
「座っててね」
案内された今のソファーに腰を下ろすと
「私は遥香を呼んでくるからゆっくりしててね」
と言って階段をゆっくりと登って行った。
「優しそうな人だね」
古澤先輩はそう言って居間に飾れている写真を順々に眺めていく。
「そうですね」
と言った俺は古澤先輩が見ている順番とは逆に写真を眺める。
そこには笑顔で4人がいる写真が飾れている。
母親と父親と小林遥香と妹だろうか…
陽気な笑みでとても不登校になりそうにもない小林遥香の写真を見て古澤先輩も同じことを思ったのか
「なんで学校に来なくなっちゃったんだろうね?」
と俺に質問を投げかけてきた
コツコツと階段を下る音が聞こえてきて俺たち2人はソファーに座り直した。
「ごめんなさいね遥香は部屋から出れないみたいなの…」
そう言って階段から下ってきた母親の顔は悲しげだった。
「せっかくだしゆっくりしていく?」
そう言ってキッチンへ歩いていき
「紅茶でいいかしら?」
と聞いてきた。
「大丈夫よね?」
小声で古澤先輩が俺に聞いてきた。
紅茶が飲めるかの質問でなくゆっくりすることに対して質問なんだろう…
「大丈夫です」
そう答えると
「紅茶で大丈夫ですありがとうございます」
とキッチンにいる母親にも聞こえる声で古澤先輩が言う。
「なんで不登校になったかを聞き出すよ」
と俺に小声で古澤先輩言う。
「分かりました」
と答えて気を引き締めた。
「遥香はね昔はしっかり学校に行っていたのよ」
と紅茶と茶菓子が置いてある机を挟んで座っている母親が言い始めた。
「でも高校の入学式に言った次の日からなんか学校が怖いって言い始めちゃってね」
「なんでかって分かりますか?」
古澤先輩がダイレクトに聞いていく。
「それが分からないの…」
「聞いても教えてくれなくてね…」
そう言って紅茶を1口飲む母親の表情からは娘のことをどれだけ心配しているのかがわかった…
「せっかく来てもらったのにこんな暗い話でごめんね」
そう言って作りきれていない作り笑いで感情に蓋をした…
「この写真に写っているのは妹さんですか?」
さっき見つけた写真で重い雰囲気を切り替えようと質問をしてみる。
「妹の久瑠美よ」
「久瑠美さんは今何年生なんですか?」
いい感じに雰囲気が良くなってきた…
「今中学2年生よ」
2歳差か…
俺の妹も今中2だ。
最近話してないが避けられているのだろか…
「そうだ、せっかくならあの子の写真見ていくかしら?」
そう言って見慣れたことがある卒業アルバムを持ってきた。
「遥香の中学の卒業アルバムよ」
その卒業アルバムは俺の持っているアルバムと似ていた…いや、同じだった。
「小林さんの出身って平林中学ですか?」
恐る恐る俺の通っていた中学の名前を出してみる。
「あら、よく分かったわね」
一緒の中学だったとは知らなかった…
まぁ家も徒歩20分の距離だし…
「なんで分かったの?」
古澤先輩が好奇の目を向けて聞いてくる。
「一緒の中学だったんですよ…」
「え?ほんと?」
そう聞き返すのも分からなくない…
「あら、そうだったのね」
母親も目を丸くして驚いてる。
「いいこと聞いたちゃった」
古澤先輩がそう言ってニヤつきだしと思ったら
「お母さま卒業アルバムを見して貰えますか?」
といい俺の写真を探し出した…
「あら、若いー」
「ほんとですねー」
何故かよく分からないが小林遥香の母親と古澤先輩が一緒になって俺の昔の写真を見て笑いあっている。
「ちょっとまってて小学校のも持ってくるわ」
そう言ってまたも見かけたことのある小学校の卒業アルバムを持ってきた
「これとかかわいいー」
その後は酷かった…
人の家で俺の成長を見るなんて思いもしなかった…
「瑞希ちゃんまた来てね」
「はい久美さん」
いつの間にか2人は名前で呼びあっている…
「お邪魔しました」
そう言って小林遥香の家を出ようとする。
「お願い遥香を学校に連れて行ってあげて」
真面目な顔をした小林遥香の母親はそう俺達に告げると
「任せてください」
と古澤先輩が元気な声で答え小林家を後にした。
「翔太くんどう思った?」
そう聞く古澤先輩に俺は
「何がですか?」
と答え
「小林遥香はなんで学校に来ないのか?」
それについては2人が遊んでいる間に考えといた。
「夜に元同じ中学の奴らに聞いてみます」
そう言うと古澤先輩は
「じゃあ明日の放課後にまた迎えに行くね」
本当は来て欲しくないがこうも善意がむき出しの言葉向けられると断れるわけが無い。
「分かりました…」
「じゃあ明日ねー」
そう言ってオレンジ色になった太陽に向かって消えていった背中を眺めて綺麗な人だと思った。
その日の夜久しぶりの同級生と話すのが待ちどうしかった。
とりあえず中学の仲のいいグループで電話してみる。
「今みんな電話出来る?」
そうメッセージを飛ばすと
「行けるよ」
「待ってあと5分したら」
と以外にも早く返信が来た。
5分後に電話をかけると
「もしもし久しぶりー」
と愉快な仲間たちの声を聞いて中学生に戻った気持ちになるが、今は高校生の俺として小林遥香の情報を集めなければいけない。
「みんな小林遥香って知ってる?」
そう聞くと
「知らならない」
と答えが帰ってきたが、違う子が
「俺たしか中1と中3で一緒のクラスだよ」
と答えた。
「どういう子だった?」
間髪入れずにそう聞くと
「中1のころは仕切りたがりって感じで活発な子だったけど中3になった時には静かにクラスの隅で本を読んでた印象しかないなー」
と答えが返ってきた…
その後はそれぞれの高校の話をして終わった。
話を思い出すと中2の頃に人の性格が変わるほどの何が起こったとしか考えられなかった…
小林遥香に中2の頃何が起こったのかを解決しない限り、学校には来ないだろう。
しかし活発な子が静かにクラスの隅にいるようになるなんてどんな辛い仕打ちを受けたのか想像もつかなかった…
もうこれは先生の相談を抜きにしても助けてあげたいと思った。
いや、助け出さなければならないと思った。
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