30. フラワートン男爵家の事情①
更新が空いてしまいすみません。
少し遡って、卒業パーティ後のアンの家でのお話です。
「お邪魔します、お父様」
「あぁ、アンにカレン。そこのソファに座りなさい。」
夏休みが入って2日目。卒業パーティを抜け出して呆然と過ごしていたら、お母様と一緒にお父様の書斎に呼び出された。
「あれ、お義兄様も一緒なんですの?」
「あぁ、ヨハンにも聞かせて置くべきだと思ってね。単刀直入に言うと、王宮で我が男爵家の事業の調査結果について報告を受けたんだ。
アン、カレン。私に内緒で『商売』とやらをしていただだろう?その件に関して厳重注意を受けてね。」
お母様と始めた商売について厳重注意ってどう言うこと?
当初の予想通りの成果は出ていないけど、赤字は出していないはず。
王宮で注意を受けるほどのことはない、、はずだけど。
「カレン、隣国の平民の間で流行っていた商売を、男爵家で広めようとしてただろう?」
「はい、旦那様。アンもそろそろ将来について考える時期で、本人も何か成果を上げて自信をつけたがっていたので。初期投資もかかりませんし、相談せずに進めてしまいました。」
「うん。アンに関して、男爵家のお金を大きく使わない範囲であれば自由にしていいって言ったのは私だからいいんだけど。あの商売に関して、商業ギルドから忠告が入ったんだよ。」
「え、どうしてですか?確かに今は滞っていますけど、そんな忠告ってどうして…。」
「アン、劇団や商家っていうのは実力と売り上げは基本的に比例するんだ。で、売り上げが伸びると投資金も増えてまた実力を伸ばしていくんだよ。もちろん、初期投資に関してはみんな必要だからギルドで補償したりするけどね。分不相応な投資金が増えたからって必ずしもうまくいく訳じゃないんだよ。」
「でも、上手くいく場合もあると思って…。」
「そうなんだけどね。でも強引な人材引き抜きや商品開発をしただけで、結局上手くいかなかっただろう?ノウハウとかもないしね。周りの劇団や商家にやっかまれて、上手く物流が回らなくなったところもあるし、ギルド全体ではマイナスになっているからこれ以上その商売に関わるのはやめなさい。」
「父上の言う通りだよ、アン。そもそもフラワートン男爵家は領地を回すのに手一杯なんだ。そもそも新しいことをする余力がないんだよ。」
「そんな、お義兄様まで…。どうしてそんなこと言うんですか?私も領地のために何か成果を上げたいと思って。なのに。」
「アン。我が男爵寮は感染症の影響を受けて壊滅状態だったんだよ。私の父の代でようやく立て直せたんだが、
「そんなの私は知らないです。聞いてないですもんっ。」
「それはアンが男爵領を継がないから、教育に組み込まれていなかったんだよ。ですよね、父上。」
「あぁ。アンは男爵家を継げない、といった方が正しいけどね。認知はしているけど、庶子だから。でもそんなことに関係なく、アンは好きなように生きたらいいって言っていたし、そうさせてきただろう?どうしていきなり領地経営に関わろうとしたんだい?」
目の前がまた真っ暗になった。私は男爵家を継げない?お義兄様がいるから継ぐつもりはなかったけど、そもそもそんな権利がない…?
「ニコラス殿下の愛妾になりたかったのよね?大好きな王子様と一緒に生きてたかったんですよ。」
「そういう噂は聞いていたけどね。本気だったんだね、アン。その件に関して、アンに縁談がきてるんだ。ヤコブくんって言ってアンと同級生みたいだけど。」
「えん、だん?」
なんで?なんでなんで?
あまり引っ張りたくないので次回で男爵家視点の話は終わります。
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