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プロローグ
記憶
過去に経験した事を忘れずに覚えていること。また、その覚えている内容。
つまりは自身の視点から見た物事の現象や感情。
自分の記憶は他人には分からず、もちろん他人の記憶は知り得ない。
他人の記憶を知るということは、自分が体験していないことすら得ることができる。
……あぁ、自己紹介をしていない。
といっても、私に名前など存在しないが。
私はここ、記憶館の管理人。
ここは多くの人の記憶が保管されている。
ある人はここをアカシックレコードと呼ぶし、
また別の人はここを死後の世界と呼ぶ。
記憶が保管されていると言ったが、「誰々の記憶」だなんていちいち書いていない。
一応管理人なんて名乗っているが、ただ見守っているだけ。
え?
貴方が分別する?
そんな必要はない。
…あぁ、そうかい。
なら、私は責任を負いかねる。