第二話 試作兵器
「これは…」
目の前にある、巨人を見て、吉男はそう呟いた。
「これが試験する、兵器。私はネクサスと呼んでいる。全高7mの人型兵器だ。装甲は私の時代の技術を使用して開発した鋼を使っている」
ネクサスと呼ばれる、その人型兵器は、見たところ、武装は付いていなかった。
「ネクサス…たしか、意味は繋がり…単独では力を発揮しないという事か?」
「その通り。単独でも一つの陣地を破壊できるほどの力は持っているが、分隊行動をすれば単独の時よりも、圧倒的に力が増す。武装についてだが、この状態では近接攻撃しかできない」
「では、遠距離攻撃はできないということか?」
「いや、武装を装備すれば遠距離攻撃も可能だ。寧ろ、武装を付けなければ真価を発揮できない。現時点で製造できるのは、狙撃砲、重機関砲、ロケット砲、近接武器の4種類のみだ。耐久値についてだが、パーツによって大きく差が出る。その中でも、脚部が戦車の車体になっていると高い防御力を期待できる」
「つまり?」
「つまり、パーツは全て互換性があり、パーツごとに性能が違うという事だ。防御力だが、二属性がある。物理エネルギー、エネルギーだ。恐らく、この世界のエネルギーというのは魔力の事だろう。この世界では主力の攻撃は魔法となるだろうから、上げておいて損はしないだろう。大雑把だったが、説明は以上だ。部下を連れて来てくれ。パーツは殆ど変わらないが、脚部が違う機体が後、4機ある」
「分かった。大丈夫なんだろうな?」
「これは最終試験だ。大きな不具合は出ないだろう。それと、大隊の戦車を6時間程貸してくれないか?」
「何故だ?」
「改造する。全体的に巨大化するだろうが、性能は10倍以上になるだろう」
「戦車兵に相談してみよう」
吉男は部下を呼びに行った。
「さて…上手くいくかな…」
10分後
「連れて来たぞ」
吉男は大隊本部の腕利きを連れて来た。
「ありがとう。ところで、戦車の件はどうなった?」
「戦車兵に相談したら、形がそのままならいいらしい。まあ、長年使い続けてきた愛車の形を勝手に変えられたらそりゃ怒るだろうからな。当たり前の反応だろう」
「分かった。皆さん、これが試験をする兵器だ」
5つの機体の中で二機だけ、明らかに異質なのがあった。
「これはなんですか?」
「それは四脚型だ。安定性が高く、狙撃砲を使うなら四脚がいいだろう。それと、四脚は狙撃砲の性能をフルに使える」
四脚型は、異質ではあったが、安定性は極めて高そうな見た目をしていた。
「こちらは?」
「そっちは私はタンク脚部と呼んでいる型だ。狙撃砲等の兵器を移動しながら扱える。1番防御力が高く、1番威力が高い型だろう。欠点もある、高機動戦では使えないという事だ。あとジャンプができない。その代わりにブーストで短時間だが、浮く事ができる」
「これは人型兵器と言って良いんですかね?」
「少なくとも私は人型兵器と思っている」
タンク型は外見からでも、耐久力がある事が分かる。
「では、乗ってもらおう。好きな機体に乗ってくれ」
その言葉を待っていたかのように、光一が重量二脚型に向かう。
「やっぱり、こういうのは重量級がいいぜ」
光一がコクピットを開ける。
「他の方々が乗ってから動かしてくれ。危ないからな」
「分かった」
「はしゃぎすぎんなよ」
吉男が中量二脚に向かう。
「大隊一の問題児ですから何言っても無駄だと思いますよ」
拓夢は四脚に向かう。
「なんで、アイツは何時もこうなのか」
達夫は軽量二脚に向かう。
「残ったのはタンク型か。ん?あんたどうした」
「いや、なんか成り行きで来ちまって…」
彼は、戦車兵の1人、田中 俊之 何故か大隊所属で、腕利きの砲手だが、滅多に戦車には乗らない。
「そうか。だが、折角来たんだ。タンク型に乗ってくれ」
「お、おう…」
俊之はタンク型に向かって行った。
「では、大隊本部の方々、準備は出来てるか?」
「ああ、バッチリだ」
「では、右側の一番手前のにあるボタンを押してくれ」
吉男がボタンを押すと、ネクサスが起動する。
「メインシステム、パイロットデータの認証を開始します」
COMボイスが鳴る。
「パイロットデータの認証完了。メインシステム、通常モードを起動しました」
COMボイスが通常モードを起動した事を告げる。
「システムが起動したら、右の操縦桿を握ってくれ。それで動くはずだ」
吉男の機体が動く。
「ちゃんと動いたな。その操縦桿にON/OFFと書いてあるボタンがあるはずだ。それを押して、動いてくれ」
機体がブーストを使って移動する。
「左の操縦桿を任意の方向に倒してくれ」
機体が方向転換する。
「通常モードでの試験は完了だ。他も同じ動作をしてくれ」
全ての機体の試験が終了する。
「次は戦闘モードでの試験だ。メインシステムを切り替えてくれ」
吉男がメインシステムを切り替える。
「メインシステム、戦闘モードを起動します」
COMボイスが戦闘モード起動を告げる。
「ちゃんと起動したようだな。システムを切り替えてくれ」
「システム、スキャンモード」
システムが切り替わる。
「ちゃんと切り替わったようだ。試験はこれで終了だ。他も同じ動作をしてくれ」
全ての機体の試験が終了する
「試験の結果は完璧だ。この状態で量産する。生産する量は6機程だ。残りの時間は有意義に過ごしてくれ」
吉男達は解散した。
予想より文字数が少なくなってしまいました。