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異世界大戦  作者: カサゴ
第一章 転移
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第一話 未来の人間

薄暗い部屋に、約3名の人がいた。


「さて、これからどうしたものか」

「まずは、日本列島の探索をしなければな」


3人はこれからの事を話し合っていた。


「状況を整理しよう。

〇我々は転移した。

〇転移した影響か、周囲に森林等が出現。

〇敵対的な生物が出現。

〇日本列島が巨大化していっている。

こんなところか」

「問題なのは、日本列島の全てが別の時代、別の国な事だ」

「言語の問題はないようだった。転移した影響か、米兵の話す言語が日本語になっていた」


言語の問題が消えた事で、問題は1つになった。


「時代についてはどう思う?」

「私の推測によれば、問題ないかと」

「詳しく聞かせてくれ」

「はい、味方のなった場合、こちらに利益しかありません。未来の技術を得られればこれから遭遇するであろう異世界の住人が敵対した時に有利になります」

「ほう、では敵となった場合は?」

「敵対した場合、彼等が無限に物質を生成出来なければこちらの有利となります。しかし、その様な有限の資源で争うのは得策では無いので、恐らく敵対する可能性は無いかと」


拓夢中尉が説明を終える。


「まあ、どの道、探索しない事には始まらないがな」

「では、106大隊は探索をするように。今は日本列島が小さい。恐らく1ヶ月も有れば全ての地域を探索出来るだろう。だが、1日に5回のペースで巨大化している。成る可く、早く頼むぞ」

「「了解」」


3人の会議が終わり、106大隊全員に通信する。


「106大隊全員に告ぐ、今日一五三〇に日本列島探索を開始する。総員、装備を整え、待機せよ」

「全く、立て続けに仕事かよ」


一人の男が愚痴をこぼす。

彼の名は、岡田 達夫 106大隊所属の少尉。大隊本部の下副官であるが、大隊長、副官とは別行動をしている。


「俺らは、面白けりゃいいんだがな」


彼も同じく、少尉の渡部 光一 大隊本部所属であるが、やはり大隊長、副官とは別行動である。

戦闘狂の一面があり、戦いを楽しんでいるが、腕は確かである。


「面白いと思ってるのはお前だけだ。だが、今回は森もあるらしいな。ピクニック気分でしれない」

「凶暴な敵性生物がいるらしいぜ」

「大隊長が何とかしてくれるだろ。俺達が動くのは空中に居る敵ぐらいだ」

「それもそうだな」


そんなどうでもいい話をしていると、吉男が近づいてきた。


「お前らなあ…」

「あ、大隊長五日ぶりです」

「入隊の時から一緒だろうが。敬語を使われると、違和感がある」

「そうだったな。そういえば、なんで俺達別行動なんだ?」

「知らん。上の気まぐれだろう。あとお前ら、ちゃんと準備しとけ。武器の点検もな」


吉男が準備をしておくように言うと、2人は準備にかかる。





15時30分


「諸君、我々はこれから日本列島の調査に向かう。恐らく、人間との戦いは無いであろう。だが、ここは異世界である。危険な生物が生息しているであろう。その中には竜等もいるであろう。だが、我々に立ちはだかる全ての敵となる者、たとえそれが何者であろうとも、我々自身の力で、排除すべきだ。ここから先は未知の世界である。常に警戒を怠るな。以上。諸君、出発の時だ!進め!歩兵達よ!進め!鋼鉄の獅子よ!」

「ウオォォォォォォ!!」


吉男の言葉に大隊全員が、雄叫びを挙げる。

兵士の士気は高い。



16時00分


九七式中戦車を先頭に、歩兵が行進している。


「現在地を確認する。恐らく、現在地は宮城の仙台だろう。このペースで行けば30分後には青森に着くだろう。その後10分程で北海道に着くと思われる」


九七式中戦車に腰掛ける大隊長、吉男が同じく腰掛ける大隊本部の人間と現在地を確認している。


「しかし、ここまで小さいとはな」

「いや、それよりもこれまで1度も敵性生物と遭遇していない。何か妙だな」

「恐らく、この辺に人間がいるんでしょう。しかも我々より遥か未来の人間」

「兵士達が疲れてきている。休めそうな場所を見つけて休ませよう」

「山越えだったからな、そりゃ疲れもするだろう」


そんな事を話していると、空から吠える声が聞こえてきた。


「これは…何かの咆哮か?」

「どうやら、アイツのせいらしいな」


吉男の視線の先には、竜がいた。

大きさは恐らく、M4戦車より一回り大きい位だろう。


「おい、アイツこっちに向かってきてないか?」

「俺達の事をエサだと思ったんだろう。返り討ちにしてやれ」

「了解。総員対空戦闘用意!」


達夫の声に反応して兵士達が空に向けて、三八式歩兵銃や九九式小銃を構える。


「撃て!」


吉男の合図に、大隊全員が武器を撃つ。

だが、強靭な鱗で身を覆っている為か、弾かれてしまう。


「効いてねえ、"アレ"を使うか」


吉男が戦車の中から取り出したのは、フリーガーファウスト。ナチスドイツによって開発された8連装の二掃射式地対空携帯ロケット。

弾の入手が難しい為、今まで使われていなかった。


「コイツを喰らいな!」


フリーガーファウストから8発のロケットが発射される。

ロケットが直撃した竜は頭と羽が吹き飛び、地上に降ってくる。


「小銃の弾は弾けても、ロケットは弾けなかったようだな」

「それより見てください。この竜の肉、上質な牛肉の様な肉質をしてます」

「つまり、食えるかもしれない…という事か」

「そのようだ。しかし、コイツの鱗…まるで刃物だな。それに頑丈だ。若しかすると、ナイフの様な近接戦闘用武器の素材になる可能性があるな」

「コイツは色んな用途に使えそうだ。鱗は回収。肉は夕食の際に食おう」


竜の事を話し合っていると、足音が近づいてきた。


「誰だ!」

「いや、怪しいものでは無い」

「誰だ貴様、名を名乗れ」

「私は田中 良和と言うものだ。科学者をしている」


田中良和と名乗った男は私服ではあったが、科学者の風貌をしていた。


「格好を見るに、兵士の方々だろう?疲れただろうから、私の屋敷に招待しよう」

「お前は信用できないが、我々も疲弊している。案内してくれ」


吉男は良和の屋敷に行く事にした。


「この人、信用していいんですか?」

「服装を見るに、恐らく未来の人間だろう。仲間にできれば、未来の技術をを使って、俺達の装備は性能が上がるだろう」


小声で、吉男と拓夢が話し合っていた。


「私の屋敷にようこそ!歓迎しよう!」

「デカい…良和っといったか?明らかに大きすぎると思うが…」

「設計者のミスでね、大きくなりすぎてしまった」

「これは大きすぎるだろ…」


その屋敷の大きさは、106大隊全ての人間が入れる程大きく、車庫に至っては試作されたオイ車が5台入るという大きさであった。


「今日はここで泊まるといい。2階に部屋があるから自由に使ってくれ。それと大隊長殿に話がある。私の部屋に来てくれ」


良和は吉男を一際大きな部屋に連れて行った。


「話とは?」

「あなた方に試作兵器を試して欲しい」

「そんな事か?」

「ああ、その試作品のチェックをして欲しいのだ。報酬は私だ」

「どういう意味だ?」

「この依頼をこなしてくれれば、あなた方に協力するという意味だ」


吉男にとって、これは好都合であった。


「分かった。引き受けよう」

「試験の結果が完璧だった場合、その試作品を完成品として量産し、あなた方の大隊の主力として、運用して欲しい」

「分かった。だが、試験の結果が完璧ではなかった場合は?」

「その場合は即座に修正し、完成品として量産する」

「では、早速試験に行こうじゃないか」


彼等は屋敷の地下へと向かった。

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