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09 とある日常の授業風景

基本方針が決まった所で横着して

時間の進みを早めてみたらどう言うわけか廃墟になった。

何で?

原因確認のために巻き戻して放置してると

貴族たちが傭兵を雇って攻め滅ぼしたことがわかった。

領地取り上げた挙げ句に住民の借金も帳消しされたら

不満が募ってもしょうがないのだ。

ちなみに、セリナはどういうわけか無事に逃げ

ハリスは魔法で貴族ともども町ごと消し炭にしていた。

・・・全部元魔王のバカのせいだった。


さて、本題は貴族に対してどうするかだが

無駄に金を溜め込んでるのが面倒くさい。

貴族をどうするべきか悩みながらも基礎教育学校のある

ギルタに赴く。

ギルタは3年で学生の街になった。

完全寮生活で寮費も何も必要がない。

お金は持たせないので買い物に行くことも出来ないが必要最低限の

衣食住は完全無料で利用可能なのだ。

ギルタの街にも大人はいる。

だが、ギルタの町で大人を見かけることは少ない。

というよりなんじゃこりゃ~~ってくらいに学校が巨大化していき

マンモス校になったために相対的にどこをみても学生しか見かけないのだ。

そして教師陣3名がかなりきつい。


ちなみにこの街の警護が最も厳重になっており

危惧したセキルの街周辺の盗賊団の巣穴に飛び込んでいって

俺の力を見せつけて道徳を説き職を与えた。

お前が人に迷惑を掛けるなら俺もお前たちに迷惑かけていいよな?って

やさし~く話して聞かせただけだが

どういうわけか皆改心して子供達に好かれる正義の味方になっている。

要するに盗賊に身を落としたのは領主に問題があって

まともに仕事ができないからって理由だったわけだな。

学校の敷地面積は20倍に膨れ上がった。

もともと小さな学び舎レベルから王城と美馬号ばかりの学校に変貌したのである。

なぜならば、ミエード領内の子供は全員無料で学校に通えるから

当然ミエード領地の子供は全員学校に入学するのだが

どういうわけか王都からも入学金を払ってまで続々と人が集まり始めたのだ。

正直大事な収入源である。

何せ教えるのは王女様だ。

お近づきになりたい貴族の思惑もあるのだろう。

嫌だね~そういう貴族風習ってやつわ


「おはようございます」

教室で挨拶から俺の教師の仕事が始まる。

元気な声で挨拶してくる生徒たち。

教室は人数が多すぎてオペラホールのように

声が反射してどこでも同じように聞こえる作りになっている。

設計したのはすべて俺

セリナは半信半疑でジト目を向けていたが、

出来上がってから首を傾げて魔法ですか?とか聞いてたな。


今は5年生の算数の時間

この間に6年制は自習

4年制は体育の授業を行っている。

1,2,3年制はマリン先生がまとめて別々のプリントをやらせながら

わからないことは説明していくスタイルを取っている。

マリン先生の教え方が上手なのか

面積問題まで余裕の5年生。

この世界に受験戦争があればトップを独占できそうだ。

問1、以下の面積を求めよ

1辺4cmの正方形の中に底辺2cmと高さ2cmの三角形が入ってます。

三角形の部分を覗いた面積問題

これを皆スラスラ解いていくのだが・・・

答えを導く際の方法が皆バラバラなのだ。

通常4×4-2×2÷2になると思うのだが

4×4-2であったり

2/2と分数を活用してたり多種多様

頃合いを見計らって解けていない生徒を見つけた。

5年生にして6パックの腹筋のガチムチ系(推測)

勉強が苦手な子供が居ても当然だ。

「これくらい簡単だよせんせー」

言っちゃ駄目なことを言っちゃう生徒もいる。


だから、あえて間をとって俺は話した。

「簡単な人は勉強が向いてるのかも知れないね?

 でも、それが簡単ではない人だって居ます。

 これを簡単だと言った君はこんな事はできるかな?」

そういって指先から雷魔法を生成して維持する

バチバチと音を立ててでも消えないで維持された雷魔法

「こういうのはできるかな?」

雷魔法をキャンセルして鉄を錬成して小指チョップで砕く

「できるわけないじゃん!」

絶叫に近い感じで否定する。

「そっか~先生には簡単なんだけどな?

 どういうことか分かるかな?

 君には簡単でも他の人には難しいことがある。

 逆に君には難しくても他の人には簡単なこともある。

 そういう事を考えられなかったから前の領主様は

 王様から攻撃されたんだよ?」

シーンとする教室

ってか何・・空気が重い

広々とした教室に80人の視線を浴びて無言の空間は結構きつい

「つまりね?

 君が出来ないことは誰かに助けてもらえばいい、

 逆に君ができることは誰かを手伝ってあげればいい

 そうやって助け合って頑張れる大人に先生はなってほしいと思います」

パチパチパチと拍手が起こる。

皆わかってくれたようで何よりだ

するとさっきの子が

「わからない人いたら教えるから手を上げてくれ」

と手伝いを申し出た。

この子は将来大物になるだろう。

そして悩んでた子は手を上げた。

「そういうのは先生の仕事だから授業中は先生がやるからね?

 じゃないと先生の仕事なくなっちゃう」

ハハハハハハと教室が笑いに包まれる。

いいな、この感じ

悩んで手を上げた子に近づき

何をどう考えてるのかな?と聞いてみた。

「4cmの正方形だから4cm×4cmですよね?」

「正解」

「三角形は2cm×2cm÷2で合ってますか?」

「うん合ってるよ」

「∑みたいな形になってるから

 ここからどうしていいのかわかりません」

もうほぼ正解でてるけど・・・形に惑わされたか。

「四角形の中に三角形はすっぽり入ってるよね?

 なら、四角形から三角形を引いたら残りが答えじゃないかな?」

そういうとうーんと悩みだす。

この形の計算は教えてもらってないけどそれだけでいいの?」

教室獣が静まり返る。

もしや・・・この子の質問に皆あれ?そういえばと考え始めたか?

「じゃあ、先生が実際に実験してみるよ?」

四角形と三角形を錬成する。

サイズもピッタリ合わせて作った。

四角形の中に三角形をはめ込む

四角形は透明にして三角形には色を付けた。

「おお~」

教室からそんな声が上がる。

「四角形の中に余分な三角形が入ってます。

 余分な三角形の部分だけ取り除いたら答えが出るかな?」

そういうと目の前のガチムチ生徒は目を輝かせて

「せんせーわかったよ!」

と声を弾ませた。


そんなこんなでプリントを配って

チームでサッカーをしている運動場を覗きに来た。

チームが多すぎてグラウンド何面も使ってサッカーが同時進行している。

体育の得意な子と不得意な子を組ませるように授業前に調整してチーム分け表を配っていた。

どこのチームも接戦だった。

そこでおや?と思った。

1チームだけやたらと強いのだ。

様子をうかがうと戦略的に戦っていた。

運動の苦手な子が指示を出して相手チームを翻弄していた。

数学的センスの有りそうな柔軟な考え方をしていそうだった。

相手チームの運動系がボールを持つと全員で囲む

ボールを奪うと散開してパス回しで翻弄する。

すごいな・・・

正直な感想だった。

頭脳プレーというのか、完全にゲームを支配しているのは運動の苦手な子だった。

勝敗で喧嘩になってるようなこともないし大丈夫だろう。

あの子は要チェックや


続いて6年制の自習を見に行くと質問攻めに合う。

この学校の6年制は基本的に自習させている。

セリナがいる時は歴史や政治経済を教えているが

それ以外は俺の受け持ちで自主性を重んじて質問時間になっている。

実は運動系や魔法系の生徒達も剣士を目標にする子はどう効率的に動くといいかを研究してたり

魔法理論について研究してたり

正直教えることがなく自分たちで学んだりグループで研究したりしてるのだ。

俺はその実験相手のような役割になっていた。


「でぇぇーい」と斬りかかる木剣を持った子をいなしたら

丁度うまく剣士の影から剣士に当たらないように調節された炎の矢が飛んでくる。

「先生、今の連携どうだった?」

質問に答えたり、攻撃されたりと大変なのも6年生だ。

勉強、魔法、剣術、連携

それらを引き受けているのだが一つ問題があった。

セリナが居ない時はと先述したが

実はセリナの授業は人気がないのだ。

ふてくされていることが多い。

マリンは優しい目で生徒を魅了し

俺は体術、魔法、勉学に至るまでわかりやすく教えていると人気なのだが

セリナは堅苦しい話で生徒を睡魔に襲わせる授業で不評なのだ。

俺はしょっちゅうさっき生徒にした得手不得手の話をしているが

それでも自分の授業が納得いくものになるまで授業の研究をさせていただきますわと

12歳以上の授業に行って、勉学の道に進むと決心した生徒の授業をメインにしている。

そのため、6歳から12歳までは俺とマリン先生の受け持ちになっていた。

私も体術を覚えたほうがよろしいのかしらと小声で言っていたのを昨夜聞いたから

おそらく未だ迷走中なのだろう。


所変わってセキルの街

ここには高等魔法学校と高等剣術学校が敷地内に併設されている。

魔女の館のような魔法学校に

ごつい石像が置かれて、いかにもな剣術学校は

合同連携訓練なども行えるように同敷地内に併設され

しかも、生徒数の増加でどんどんでかくなっているので

砂漠から灯台のような役割まで果たすようになった。

遠目からでも確認できる大きな建物は砂漠で遭難しそうになっても薄ぼんやりと見えたら

旅人の心のオアシスになるのだ。

実際オアシスの街なので水が貴重なのだが、現在秘密裏にインフラ整備中である。

水をミエードから水道管でつなぐ工事を俺の魔法がやっている。

コピー体だけど

領地運営だけではなく労働力としても俺の魔法が活躍しているので

コピー体は数十体に増やした。

その一体に視察でセキルに向かってもらったときのことだ。

セキルの街は騒然としていた。


「わしの魔法こそ最強じゃ!そしてわしの教え子ほど優秀なものはおらん」

「いいえ、私の剣術と私の教え子たちによる剣の冴えは魔法ですらかき消すでしょう」

実はセキルの街から嘆願書がミエードに届いていた。

曰く剣術学校と魔法学校が仲が悪く戦争でも起こすような地鳴りがしたりと恐ろしくて安心できません

魔王と次期魔王レベルが喧嘩したらそりゃ恐ろしいに決まってる。

案の定の状況が眼前に広がっていて唖然とする。

今コピー体の意識は本体の俺が操っている。

静かに怒気をはらんだ声で

「ハリス!デスタ!

 お前らの教育は喧嘩のためにあるのか?」

静まり返る校内

生徒も「え?何であのすごい魔法使いのハリス先生が一喝されて縮こまってるの?」

「デスタ先生があんな弱そうな人に声をかけられて震えてる?」

そう、開校3年であるために忙しい俺がセキルで実際に学校の状況を見に来たのは初めてなので

俺の顔を知らない生徒もいる。

「誰か知らないけどさ~

 ハリス先生の魔法があれば剣術学院もアンタも蒸発させられるよ?」

等と生意気そうな子が先陣を切った。

なるほど。

コピー体であってもコルタの意識で操ってる時は

全ての魔法、体術が使用可能だ。


時間停止

止まった世界の中でゆっくりと歩いてその生意気な生徒の目の前で停止解除

「え?うわっ!!」

驚いて尻餅をつく生徒

「俺はミエード領主のコルタだ

 この街で喧嘩が起こってると聞いてきてみたら・・・

 どういうことか説明してもらおうか? ハリスにデスタ」

「「申し訳ございません」」

「挙げ句に何だ? ハリスの魔法で俺が蒸発するのか?

 忘れてないよな?どんな目にあったのか」

魔王ハリスは俺に膝をつくまでに何度か死んでいる。

ヒィッと声なき声をあげて崩れ落ちる。

とりあえずここは幻覚魔法でいいか

俺は手を水平に滑らせて魔法学園を真っ二つに切った。

という幻覚魔法をハリスも含めた全員に見せた。

次にに剣を錬成して地面に突き立てると周囲1mがクレーターになった。

敷地内だけでとどまるから問題ない。

唖然とする生徒と二人の教師に向かって

「さっきのは幻覚魔法だ。

 よかったな?学校が無事で

 あと剣術はこんな事もできるようになる。

 これは幻覚じゃないから後で教師二人で協力して埋めておくように」

「「かしこまりました!!」」

「それと、あんまり街の人に迷惑かけてるようなら

 次はないから覚悟しておけよ?

 口の聞き方から何からお前らの代わりに俺が教師やってもいいんだからな?」

すっげー面倒になるからやりたくないだけなんだけど

本体は今もギルタの街にいるが

コピー体をコピー体とも見抜けはしないだろう。

二人は平伏する勢いで頭を下げた。

剣術学校の生徒は俺に突っかかってこなかった。

デスタの教育の賜物か、機を逸しただけなのかはわからない。

うちの学校の6年生は連携攻撃してくるのに

その上の学年がこれではそれぞれの道に進んだあと下級生に歯が立たない状況とかできそうだな。

「まぁ、とりあえずちゃんとやってくれたら文句はないけど、

 これからは抜き打ちで視察に来ることにしよう」

3年やってきた教師の仕事

つまり2学年を各進路へ進級させたことになるのだが

進級先でこれでは困りものだ。

しかし、この抜き打ち発言が後に面倒な事態を引き起こすことになる。


そして数日後再度嘆願書が届いた。

魔法学校が真っ二つになったり地震が起こったりして怖いです。

俺のせいじゃね~か!!

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