02 死後の世界?
コルタは死んだ。
確実に
何か影みたいなのに刺された感じで
勇者ってそんな弱くていいの?
「おお、勇者よ!死んでしまうとは情けない」
声が聞こえる。
可愛らしい感じの女性の声が
「・・・・・」
声が出ない。
死んでるようだ。
「ですが勇者よ。貴方はあと2回だけ蘇ることができます。
きっと世界を救ってくれると信じてますよ」
いや・・・一方的過ぎんだろ?
文句言いたくても声でないし、顔も見えないけどぶっ飛ばしてやりたい。
「あと2回に頼って無茶をしてはいけませんよ? いいですね?」
「・・・・・」
二度と死ぬようなとこ行くかってバーカ
「では蘇りなさい!」
・・・・・・・・
はっ!
死んで生き返った?
「なっ!確かにとどめは指したはずでございますが、
どういうわけか蘇ったようですね」
生き返っても影の目の前じゃ意味ね~よ!!
「我が主のご命令ですし、何よりこの私のプライドが許さぬっ!!」
あ・・・
二度目の感触
死んだわこれ
「あら? もう死んできたのですか?」
お前のせいだよっ!!
「どうしましょうか・・・頼りにならない勇者ですね」
山のように言いたいことはあるが何もできない。
「もういっそ、蘇らさないほうがいいかな?
絶対すぐ戻ってくるよね?
ちゃんと倒してくださいよ?」
まったくどいつもこいつもである。
突然勇者だから王城へ行けだの?
ヤバそうな影に暗殺させるだの?
死んだら罵詈雑言受けるだの?
「あと1回ですからね」
ぶつぶつ文句言ってる気がする。
というか絶対喧嘩売ってる気がする。
「では、蘇りなさい」
はっ!天井が見える。
影が遮る。
「ふむ・・・またですか?
さすがに頭にきますね?
何度殺したら死ぬのか実験しますか」
「っ・・・」
生き返ったけど状況は変わらないらしい。
「ちょっと待ってくれ!」
そう何度も殺されてたまるか!
「おや?命乞いですか?
そのしぶとい生命力に敬意を評して
名前だけは聞いて差し上げましょう」
影は言う。
完全に実態がないようにしか見えないのに声は影から出ている。
「俺はコルタという。
勇者とかは知らない。
金がもらえると言われてここに来た」
コミュニケーションは自己紹介から
基本だよね?
「そうですか。金を渡す代わりに貴方は何を捧げるのです?」
名乗れよっ!基本でしょう?
って言えたらいいのにな~。
「捧げられるものは武器と防具だけだ。
それで許してもらえないか?」
実際金もない、家を出る時に渡された装備だけ。
「不要です」
ザクッ!
ですよね~?
「はぁ~、またですか?
少し時間が伸びただけではないですか?
低級モンスターから逃げ回って時間でも稼いだのですか?」
いや、そんな次元の話じゃなくね?
あれで低級だったらレベルカンスト勇者でも一瞬で死ぬわっ!
レベルとか経験値すら知らないけど
「もう蘇ることもできませんしどうしましょうか」
転生させる価値がないとかブツブツ言ってるけど
こちらはしゃべることさえ許されないらしい。
「う~ん・・・」
しばらく時間が過ぎた。
ぶっちゃけ俺にはどうにもできない状況に放り込まれて
どうしましょうかもない。
「しばし待て」
「神様!」
神様出現らしい。
見えないけど
「我は見ておった。
その者に罪はない。
いきなり魔王城に乗り込んでどうしようもなかったようだ」
そのとおりだよ!
「ましてその世界では魔王は悪事を働かず
動物と魔物も折り合いをつけて棲み分けておる」
おっしゃる通り
「勇者の意味さえないような平和な世界で
波風立たせに乗り込んでいったら
返り討ちにあって当然である」
もっと言ってやってください神様。
「故に完全に調和が保たれている世界なら
そのままでも良いのではないか?」
危険生物は放置する神様なのか?
あれが生物かどうかも怪しいけど
しばらくさっきの可愛い子(声で判断した妄想)と
神様とやらが議論していた。
右から左に~
蘇ることもできないしこのままここで話聞いてるだけで退屈だ。
「よしっ!では世界まるごとその者に与えることとする。
上手く制御してみせよ」
そう言われて自分の体が見えた。
光り輝く荘厳な世界に神様?いかついおっさんと
おおやっぱり!?美少女な天使
1対の純白の翼を持ち
可愛らしい童顔のクリクリした目
髪色はシルバーでキラキラと煌くようだ。
同じく純白の薄く透けたような素材のドレスを
白色の濃いキャミソールのような上から羽織っている。
とりあえず、ベスト・オブ・美少女だった。
天使か~性別無いんだよね~残念
「神様っ!?」
慌てた様子の天使=マイエンジェル(妄想)
「コルタに神の力を授ける。
世界を自由にして良い」
はっ?
いや面倒なんで断りたい。
「何をすればいいんですか?」
気楽に聞いた。
散々迷惑かけられて仕事を押し付けるおっさんに
敬語とか不要だけど一応は?
「コルタよ、貴殿は力を得た、
平和のために勇者を生まれさせるもよし、
自らが神の力を持ったまま、その世界に降り立ってもよい
好きにするが良い」
口パクパク状態のマイエンジェル
見ると俺の横に星が一つ見える。
自分が死んだ場所をイメージすると俺の死体が見えた。
なるほどね~
では、マイエンジェル?
さっきまで散々な言われ方してたけど何ができるか見せてもらいましょう。
神様は暇ではないのか既に姿を消していた。
今なら分かる。
高次元存在ってやつだな。
「それで君の名前は?」
マイエンジェルに聞く
「私はマインと言います。
コルタ様にお仕えすることになりましたので
世界を一緒に導くことになります。
よろしくお願いいたします。
口調変わってやんの。
神様の力って偉大なんだね~
では、先程の状況で何ができるのか見せてもらいましょう。
マインを俺の死体に受肉させて蘇れっと!
わかっていたけど慈悲もなく一瞬で殺されたらしい。
「恐ろしい実験に使わないでくださいっ!」
非難するよね~?さっきの俺の気持ちわかった?
「おお勇者よ死んでしまうとは情けない」(棒)
「すみませんでした」
わかってくれればいいんだけどさ。
とりあえず、魔物を全部とあの影とかも
すべて消し去ってみよう。
そう念じるだけで綺麗さっぱり魔の文字が消え去りました。