表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/14

13 領土拡大は愚策だった

無事に領地の割譲が行われ

何故か俺を慕う者達が移住してきてミエード領は

ハゼル王国の中で6割を占める領地となっている。

国内最強兵団と魔法師団

そして学問においては国を支える柱にもなりうるのだが

ミエードから王都に引っ越して王都を支える策を考える

軍師のような学者は輩出されなかった。

既に王都すら実質的に支配できる富と権力が

ミエードに集まっているのだ。

王政国家としてこれほど危険なことはないだろう。


セリナは不安と戦っていた。

学問を発達させるよう指示したコルタの先見の明に恐れおののいた。

人心掌握術と、強さに慌てふためいた。

王都には使いを出しているが急激に強くなりすぎて

既に止める術を王国として持ち得ない。

まして、暗殺でもしようものなら王都そのものが陥落する。

戦争にならないよううまく折衝することが自分の役割だと言い聞かせる。

どういうわけかコルタ自身に野心というものはない様子で

王都を手中に収めるような考えを聞くことがないのが救いであった。


問題は王都側である。

国王をトップとした王政において国王を凌駕する者が

存在してはならないのだ。

セリナは怪しい動きをすれば国が滅ぶことを危惧して

各所にスパイを放っている。

国民を暗殺してでもコルタを怒らせてはならないのだ。


コンコン

レディの部屋にはノックする。

俺はデキる紳士なのだ。

「はい・・・あらコルタ様、いかがなさいましたか?」

セリナは立ち上がると姿勢良く30度のお辞儀で答える。

未だに固さが抜けないんだよな~

「そろそろ王都から俺を暗殺する動きでも起きるんじゃないかと思って

 意見を聞きに来たんだけど、いいかな?」

実際は2名の暗殺者に狙われたがデスタが打ち身を食らわせて昏倒させた。

わざわざそんな事を教える必要もないのだが

何かセリナに引っかかりを覚える俺は直球で聞いた。

「そうですわね」

うーんと腕を組み考えて答えた。

「今、王国は既にコルタ様のものと言える状況にまでなっております。

 ミエードに手を出せば国が滅ぶ

 コルタ様の暗殺に成功しても

 ミエード領民は一斉蜂起して国を攻め滅ぼすでしょう。

 今私のもとに届く書状は9割9分がつなぎをつけたいというお話ばかりですわ」

国にしっぽを振るつもりなどない。

「それと・・・言いにくいのですが、お父様からは

 その・・・さっさと嫁にもらってもらえという書状まで届いておりまして

 私もどうしたら良いかと考えておりましたの。

 マイン様もいらっしゃいますし・・・」

こんな色気のない告白ってあるか?

いや・・・これは告白ではなく諦めなんだろうな。


「俺はマインと結婚したつもりはないぞ。

 将来的にそういう事になったとしても

 国を襲って自分の国にするつもりはない

 まして、政略結婚などで担ぎ上げられる神輿になる気はない」

こういうセリフがスラスラ出てくるようになったのは神の叡智に触れ、

 アクセス権限が上がったためだろうか?

「それでは国の者も納得しない場合がございますわよ?

 何より国王としての権威が地に落ちます。

 そのためお祖父様の言いつけなのでしょうけどお父様から

 そういった書状が届くようになりまして」

政略結婚ありきの姫というのはよくあるパターンだな

織田、浅井同盟みたいなものか

「しかし、政略結婚をした所でセリナも嫌だろうし

 国の重鎮は黙ってないと思うぞ?」

浅井家は織田との血縁関係よりも同盟の長さという絆を取った。

そうならない保障などどこにもない。


「いいえ。それでも、国として強力な兵団と財を

 姫と引き換えに王が持つことの意味は計り知れません。

 野心を抱く者もたてつこうとは思わなくなるものですわよ?

 それに、どのみち私はどこかの領主にでも輿入れして

 王族としての勤めとして・・・・その

 子供を生むことが求められるので、コルタ様で良かったと思っておりますわ」

学でも教え方で及ばなかったからと引きこもっていたかと思ったら

こんな事を考えていたとはさすがは王族と言ったところだろう。


つまりはだ・・・

さっさと結婚しろということになる。

マインちゃんは女の子として夫婦にという言葉で縛られている状態なので

そのことについて罪悪感が募る。

「もちろん私は妾ということでも構いませんわよ?」

更に逃げ道を塞いでくる。

仕方ない。

時間停止

マインを縛る神の言葉を取り消す。

これよりマインは普通の女の子として自分の意志で判断するが良い

時間停止解除


「結婚とかどうとかって話については考えさせてくれ。

 ただ、俺は王都と事を構えるつもりはないし

 このまま平和に経済発展してくれることを望んでいる。

 現状、うちの戦力に喧嘩を売っても

 軍師を含めて戦略、戦術に長けた精兵が寡兵でも大群を打ち破れると

 先の戦において判断している。

 セリナが本心で俺のことを好いてくれているなら

 止めはしないが、俺は好きでもない相手と政略結婚するなんてことはしたくないからな?」

じっくりと考え込むとセリナは答えた。

「コルタ様はお祖父様のように底の見えない恐ろしい方ですわね。

 野心を持たず、平和を望みながらも

 国をも破る戦力を整えていらっしゃいます。」

褒めてくれているのだろうな。

可愛くない褒め方だが。

「だからこそ私は惹かれているのですよ。

 王都の貴族もそうですが、コルタ様は領主ですので

 一夫多妻でも問題ございません。

 そういうお話もそこかしこに転がっていらっしゃるのではなくて?」

こちらの顔を伺ってくるが

思い当たるフシはある。

ウチの娘をと言ってくるものは後をたたない。

「正妻にはどなたをお選びになられるのでしょうか?

 私は候補に入っているのでしょうか?

 不安だったりすることも多いのですわ。

 たまには優しくしてくださいませ」

うーーーん

いまいち本気かどうかの判断がつかん。

王族ってこういうものなのだろうか?

ちなみに先の戦で領地は増えたために

そこの有力貴族などからも縁談をという声は後をたたない。

モテ期なのか?

実際のところ、マインがどう変わるかもみておかないと判断できんな。

「たまにはそちらから他愛もない話でもしに来てくれ。

 忙しいとは言っても一国の姫様を邪険にするつもりはないからな」


そう言い席を立とうとしたら

「コルタくぅーーーーーーん」

マインが扉を破壊せんばかりに飛び込んできた。

「アタシのコルタくんに色目使ってんじゃないわよね」

セリナをにらみつける。

「精一杯頑張ったのですが、私はまだそういう候補にはなれないようですわ。

 これから頑張ってアプローチしていこうと決意したところですの」

「はぁ? アタシはコルタくんと一緒の村で生まれ育った幼馴染で

 チューとかもする仲なの!

 横取りしようとしてんじゃないわよ」

キレると女の言葉って超怖い

「ですが、コルタ様もマイン様と正式に結婚ということまでは

 今のところ考えておられませんでしたので

 勝負はこれからですわよ?

 正妻の座を私も諦めるつもりはありませんもの」

あれ?

さっきマインの俺が好きすぎるって裏設定解除したんだけど・・・

そう言えば何でだ?

元の天使だった時のぶっきらぼうな感じに戻るかと思ってたのにな

まぁいいか

女の争いに巻き込まれるのはフレイムと喧嘩するより怖すぎる。

「じゃ、じゃあ俺はこのあたりで部屋に戻るな~」

言いながら扉を閉めるとそそくさと部屋へ戻った。

結婚しなきゃいけない感じで話されたんだけどどうしたらいいのかね?

ミエードの領主コルタは富も名声もすべてを兼ね備えているのに

楽な生き方ができない運命を呪っていた。


「で、さっきのセリナだけどあれ何?

 それより、アタシの気持ちを解除するみたいな宣言が聞こえて

 コルタくんのことしか考えられなくなったんだけどあれも何?」

せっかく部屋に逃げてきたのにマインに詰問されていた。

「天使だった記憶はずっとあったよな?」

「あったよ?」

「人間の女の子として俺と夫婦になってくれみたいな会話覚えてるか?」

「あったね~そんなこと。

 あの時は何言ってんだろ?って思ったけど

 地上に降りたらコルタ君の事ばかり考えて胸も苦しかったんだよね」

「それさ・・・俺が勝手につけた裏設定。

 俺のことを好きすぎるって設定して受肉させた」

「え?でも、解除するって言われて余計コルタくんのことが大好きで・・・

 これもなにか別にやってたの?」

え?・・・何もしてないけどどういう事?

「それは神に誓って何もしてないし

 解除したら天使の頃みたいに嫌な顔されると思ってたくらいで・・・」

「神に誓ってってコルタ君自身に誓ってる事になるけど

 ってそんなことより・・・何もしてないってことはこれってアタシの意思?

 恥ずかしいよ・・じ・じゃあ、また明日ね!」

台風一過である。


そして、数日のうちに領主様には決まったお相手がいないらしい

どこかの国のお姫様でも娶るのか等

様々な噂とともに見合い話が後をたたない。

ちなみに、ハリスにはないが

デスタにも縁談の申し込みが殺到している。

マインにも大量に来ているようだがすべてうまく躱しているそうだ。

セリナにも少数ではあるがそういった話はあるらしいが

誰も相手にしないことで


ミエードにハニトラは効かない恐ろしい国(?)だという認識が他国に広がったという。

親衛隊は今も活動しているが抜け駆けも禁止で、告白しそうなものがいれば

親衛隊に誘うようにしているらしい。


所変わって王都では

セリナから届く書状を読み王は思考に耽っていた。

定期的に届く書状に

「コルタ様の発案で」と事ある毎に素晴らしさを書き始めていた。

王ははっきり言ってコルタをなめていた。

武力は一級品でも容姿、頭脳に秀でているとはとても思えなかった。

魔王を倒しに行く勇者に与えられたとされる王国の象徴である剣を持ち帰った少年が

ベテラン為政者のような発想でみるみるうちにミエードを発展させ、

既に民の拠り所は王ではなくコルタに移ってしまっている。

孫娘が嫁げば解決するというものではなくなってしまった。

孫娘を心酔させ、領土を拡大して各国に認められる者

そして王は不安と好奇心からあることを思いついた。

両親や親族を調べて王都に住まわせ

いざという時の人質にしようと


王宮の一室で少数の会議が行われ直ちに可決したその案は

すぐさま実働部隊に届き行動が開始された。

コルタの素性を明らかにし

親族を高待遇で王都に住まわせるようにせよ

他国に住んでいた場合は大金を払っても構わない。


こうしてミエードの広がりとともに暗雲が立ち込め始める領地は

恋愛桃色空間と化していてコルタに察知できない暗雲の魔の手が忍び寄っていた。


マインだかマリンだかよくわからなくなって

最初の方を見返すと、マイン

途中からマリンになっているので

仕方ないので改めて全部修正することになりました。

プロットから起こさないとこうなるから書き手の皆様気をつけましょうね~

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ