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10 領地運営が軌道に乗った

惑星一つの管理を任されてる俺。コルタは

その惑星の中の一つの領土の運営に勤しんでます。

やってられるかっ!!!

と思わなくもない。

それでも可愛い生徒達を立派に育て教育こそが惑星管理に必須だという持論を元に

今日も元気に教師やりますか!


気合を入れているところに

「ご主人さま、領民から不作が続いて食糧不足が報告されてます

 いかがなさいますか?」

領地運営用のコピー体から聞こえてくる声は悲痛だった。

「状況を見ないと判断できないからすぐに行く」

教師の顔を脱ぎ捨てて今日の全時間は自習にする。

騒いだり遊んだりする心配はない。

うちの生徒は品行方正なのだ。

※魔法や体術をちらつかせるとお利口さんになってくれるとかそういうことではない。


時間を止めてコピー体を移動させ

ミエードの館の無駄に豪華で背もたれの高い椅子に腰を下ろす。

さてと・・・。

どうやら不作の原因に水不足があるらしい。

水?

ピンとくるものがある。

見に覚えがありすぎる。

セキルの街に水道をとうしたことが原因なのだろう。

一度食糧事情と水源を見に行くべきだな。


不作に悩んでいる農家を尋ねると

初老の夫婦が何故か土が乾いているという。

領主が訪ねてきても特にかしこまることもない。

オープンな政治をすることで不平不満を早めに解決すれば

暴動は起きにくいのだ。


ミエードの街には実は結構な農園がある。

稲、芋等の主食はセキルやギルタに送られる。

ミエードの街の人が食べる分を除いて

全てを領主が買い取り、そこからそれぞれの街に運んでもらうのだ。

保存には最新の注意をはらい、傷まないよう刻印魔法を用いた箱を使う。

自分で持っていくと仕事がなくなる人々が暴動を起こしかねないので

分担してうまく行っている。

その大本の食料が少ないのだ。


簡単な解決方法ならある。

王都から調達すれば良い。

それでも俺は自分で解決することを目指す。

でないと高い代償をあの王が相手だと取り立てられるかも知れないのだ。


干からびた農園から水路をたどる。

水路と行っても石ではなく土で作られた溝と言うべきか。

ミエードでこれだとセキルはかなりの水不足に陥っている可能性もある。

暫く歩くと水たまりが見え始め

その先に川魚がピチピチ飛び跳ねていた。

水がないために魚が行き場を失っているようだ。

仕方ないので魔法で水を作り出し川の水量ほどの水を流す。

これは本当に一時しのぎでしかない。


随分と歩いてきた。

昼間に出てもう日が沈む

水路は山につながっていて

その山の水源を特定した。

あふれるほどの水はない。

代わりに大きな魔力反応があった。

水を飲む魔物?


山の中にはぽっかり空いた穴が

いらっしゃいませ~って看板でもついてそうな佇まいで俺を迎える。

「入るしかないよな?」

独り言ちて中に入っていく。

徐々に熱風の吹き荒れる熱波が体を灼いていく。

暑いしチクチクしてうざいので時間停止して中を進む。

時間停止は時間も物体も現象もめる。


状況を確認するために時間停止を解除する。

見えてきたのは巨大な尻尾がゆらゆら揺れて眠るドラゴンだった。

「!?」

すぐ近くまで感知も出来なかった様子のドラゴンは尻尾を激しく振る。

するとさっきまで忘れていた熱気が更に俺の体を灼いた。

「今のを耐えるか、ただの人間ではないな」

ドラゴンは喋れるらしい。

「俺はミエードの領主コルタだ。お前いつここに来たんだ?」

最近まで水は枯れていなかった。

どこかから来たというのが俺の仮説だ。

「俺様を目の前にしてその口の聞き方とは

 偉そうだな?人間

 死にたいのか?」

「いいから質問に答えろよっ!」

瞬時に喉元まで移動してアッパーを食らわせる。

「いって~

 こんな痛いの何百年ぶりかってくらいいて~」

で、質問の答えは?

「答えないなら消すけどいいな?」

冷徹に言ってのける。

山を通る水がこいつの回りで蒸発しているのだ。

見過ごしておくことも出来ない。


「まっ、ちょっと待て人間

 答えるから~」

早くしとけよめんどくさい。

「俺様がここに来たのは3日前だ。

 世界に唯一のフレイムドラゴンである俺様は

 時期によってねぐらを変えている」

ふむ・・・

「お前名前はあるのか?」

「世界に唯一だとさっき言ったではないか!

 俺様を呼ぶのにフレイムドラゴン以外の名前はない」

「オッケーわかったフレイム。

 お前俺の為に働くならねぐらを用意しよう」

「そこは程よく暖かくて程よく湿り気がある場所か?」

程よくって曖昧すぎんだろ!


セキルの街の守護神にでもなってもらおう。

砂漠の下にセキルに送られる水から少しずつフレイムのねぐらに流れるようにパイプを繋ぐ

大型の扉を天井につけた地下室を作る。

これで自由に出入りできる。

砂漠の熱と水の量が丁度いいと言ってフレイムが住み着くことになった。

ハリスとデスタの二人に説明すると魔王でも使役できない唯一の存在がドラゴンらしい

敵ではないと理解してもらいお互いに協力関係が出来上がった。


ついでに配管工事を行おうと思ったがコピー体だけでやっていると

伐採に来た住民が驚くかも知れないので

領主からの依頼として応募したところ

ミエードのほぼ全男性が名乗り出た。

「コルタ様が領主になってくださったおかげでわし等は開放された。

 領主様の頼みなら仕事があっても優先させますじゃ」

長老のような立場に居た老人がそう言い野太い声が響き渡った。

じいさん・・・アンタは駄目とお断りした。

この世界にパイプなんてものはない。

セキルへは地下工事で誰の目にもつかないから勝手気ままにやってるだけだ。

水源が元に戻っても枯れた大地に吸われることもあるだろう。


そんなわけで俺が考案したということにして赤土に石を砕いて混ぜた粘土を

型に入れて整形して焼くための炉を作り(フレイムに頼んで炉のためのレンガは完成した)

職人育成と同時に焼き上がったものを全員で運んで水路づくりが開始された。

蛇口を作りたいところだが今のところどういう原理かわからないので放置している。

作業開始からわずか5日間でレンガ造りの水道は完成した。

その間の水は水源地から迂回させる簡易水路を鍬で掘ってもらった。

レンガ同士の接着には村の人が何かをつなげる時に使うという接着剤のようなものを利用した。

これで完全に乾いたあと、簡易水路をせき止めてレンガ水道へと水を流せば問題ない。

こうして水不足と食糧問題は解決に至った。

ついでに俺の株は急激に上昇している。

前の領主との比較だからだろうが、ぜひ娘を妾にとかいうやつまで現れて困った。

マインちゃんからの嫉妬の炎が蜃気楼のように浮かんで気絶しそうだったので

丁重にお断りさせていただいた。

身の回りの世話をするとかいう人も居たけど、相談しないと決められないしね。


当面の食料は狩猟と牧畜を推奨しているセキルの街に任せようと思う。

そう考えてセキルまで移動する。

ハリスとデスタに授業の一環でもいいから食料調達と

食料になりそうな生物の牧畜を行うように言いつけて

学校に戻った。


セキルの街に行くついでにフレイムの様子を見に行ったら

くつろぎすぎて

「俺様はもうここから動かんぞ!」

というニート発言が飛び出したが

ハリスの様な肥満体型になったら威厳もなにもない。

時々レンガを作ったときのように力を貸してもらうことにしよう。

自分でやったほうが早くても人を使う重要性は忘れてはいけないのだ。

ドラゴンだが


そうして教師生活を続けて5年

勉学の道に進んだ者の中から教師が誕生し

剣術を学んだものの中から指南役が誕生し

魔法を学んだものの中から魔導探求者が現れた。

それぞれが自身の研究の傍らで更新の育成に精を出すらしい。

こうしておれの教師生活は終わった。

これからはミエードの領地を繁栄させる事に力を注ぐ

それぞれの教育をしていたパーティーメンバーをミエードに呼び戻して

今後の方針を話し合ったが何も良案はなかったので

とりあえず現状維持という引きこもり生活が始まった。


ちなみに街にはレンガ職人が現れ

石材加工やガラス職人まで誕生した。

街の発展は一気に加速することだろう。

セリナは少し名残惜しそうにしつつも

本業である領地経営の為に頑張る意思が見て取れた。

マリンちゃんは戻ってからのいちゃつき方が半端ない。

魔王組は・・・あれは完全に駄目だね

ハリスはぐーたらしてるし

デスタは人間に興味を持ったらしく

やたらと人間の生体を研究している様子だ。

どんな病気からも回復する薬品まで作っていた。

やりたいことを見つけると一直線のイノシシのような性格だ。

簡単に忠誠を誓うのも頷ける。


やることがなくなった領主は良いことなのだろうか?

そもそも俺って神様だから世界全体を考えないといけない時に何してんだろ?

そうして今日も日が暮れる。

明日またゆっくり考えよう。

ゆったりと睡魔に身を委ねた。

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