約束の地へと。
ーコウ視点ー
俺達は、今見たことも無い大きな馬に乗って北を目指している。
おっかねぇ。落ちそうだよ。
ミゲルの後ろに乗ってるけど、不安定そのもの。
そしたら、ミゲルが紐で縛ってくれました。
何でも子供を乗せる時の抱っこ紐みたいなものらしい。
いいんです!
俺!何て言われようとも安定が欲しい!!
荒地の移動は揺れる!揺れる!
この『紐』は命綱さ!
本当はザルドに乗って行きたかったけど『約束の地』へ行くにはこれしか無理だとか。
さて、何で俺達が移動してるかと言えば……。
合流したヘレ達が見た狼の話しから『約束の地』の言葉が出たら、おもむろに長老が立ち上がってひとつの本を出してきた。
「この知識の部族があるのもこの『約束の地への道』と言う本を伝えるのが始まりでした。
そして、コウ殿の地図。
古より伝える伝説が今こそ蘇る時かもしれません。
その伝説は
『テーレントの真なる民よ。
我らの約束の地を忘れるな。
それは、我らの故郷を取り戻すもの。
高い二つの山がある時
山の間に吹く風を見よ。
高い太陽は、上に。
低い太陽は、下に。
それが止まる時、その道は開かれる。
テーレントを統べる者が現れる時、真なる姿を取り戻さん。』
今のところ、分かる事は地図に高い山が確かにあると言う事。
そして、それが北のほうだと言う事。
ザルドでは上空からだから見つけられないと馬での移動となる。
あ!そうそう。
若作りの長老は、付いて来ちゃったよ。
長老の知識が役に立つだろうからと。
本人が言ってたから確かだろう。
レイバン。
もうすぐ行くから!待っててくれよ!
ーある場所でー
「本当に行くの?お母様にお聞きしなくて良いのかしら?」
「これは、決められた事なんです。
この地図は本来の持ち主の所へ行かなければ…。
俺達は姿は子供ですが、護衛もいますから大丈夫ですよ。」
後ろに並んだ面々を見れば安心は出来る。
しかし、他国の王族を…しかもまだ12歳なのに。
私の悩みをよそに、二人の決心は固い。
旅立つ人間を見送るだけでの王座とは、何と苦しいものなのか。
せめて祈りを捧げよう。
アーリア様が隣に来ていつの間にか一緒に祈っていた。
「大丈夫ですよ。彼等は強い。」と。
柔らかな笑顔に私も笑顔を返した。