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二手に分かれて。

ーコウ視点ー


朝一から、パンを焼いてます。

香ばしい香りが辺りに漂って、ザ・モーニング!って雰囲気。


レイバンが危機にある。

それは、昨日の話で理解した。

だからこそのこの『ザ・モーニング』。

キチンと食べて落ち着いて、事に当たる。

義父さんが昔から、言ってたっけ。


「慌てていると、大事なものを見落とすんだよ。

だからコウ。朝ご飯は大切だ。

まずはキチンと食べて、それから頑張れば最大限の力を発揮する事が出来る。忘れるなよ。」


慌てん坊の幼い頃の俺を変えた一言。

パンを焼く香りに釣られて、皆んなもテントから出てきた。

特にレイバンの仲間たちは疲れ切った顔色をしていたから、心配だったけど一晩寝たら元気になるなんて鍛えてる人は違うよなぁ。


皆んなが一斉に食べ始めたから、とっておきのココアを入れようと袋に手を伸ばす。


いやね、最近この袋の中身が増えすぎてちょっと、うまく出ない…あれ?


これ、何だっけ??


一枚の紙がココアと共に転がり出てきたぞ。


うーん。。


考えこんでると、バリーが近づいてきて紙を見せてくれと言い出した。


ん?

見覚えある?


空いている机にその紙を広げるバリーを見ていた俺は「あ!!」と叫びつつ思い出した!!



この地図……。



「バリー!それってヨーゼストの最古の図書館で本の間に挟まってたんだよ。

そう、迷子に…ゴハン!!

いや、一人で奥まで入ってた時に、偶然見つけて。

持って来ちゃって不味かったかなぁ。」


元気よく答えてた筈も、最後はか細い声になった。パナヤ陛下に言わなきゃって思ってたのに、うっかりしてたよ。


バリーの顔色も悪いし、覗き込みにきたミゲルさん達の顔色も良くないし。


機密書類だったらやべーよな。

うーん。

燃やして証拠隠滅なんて…。


あ!口に出てたか?

ルスタフが睨んでるし。


や、やらないって!

疑いの眼で見るなよ、な!


「これは、大変なるものをお持ちですね。

長から聞いてはおりましたが、ここまでとは。

バリー殿達のご苦労の一端を知りました。」


おや、バリーとミゲル達が仲良く頷き合ってる?

なんだよ。

仲間はずれかよ!


何か、あの地図には秘密があるらしくてミゲル達が寄りたい場所があると言い出した。


「ここから数百キロ程先に、我々テーレントでも、知識の部族と呼ばれる一族があります。

その長老ならば、謎が解けるやもしれません。

今、この時に『地図』が現れたのは危機を脱する為のものかと。」


ミゲルの一言で、二手に分かれる事になる。

レイバンを探す者たち。

知識の部族へ向かう者たち。


ちなみに俺は、知識の部族へ向かう。

ミゲルと数名も同行することになった。


ノーマとヘレさんは、気が合ったらしくレイバン探しを一緒にするらしい。


ん?

俺の肩を啄くのは、誰だよ。


あー、忘れてたよ。

「なぁ、お前たちはどうする?」

ザルドに聞けば、ザルド達も二手に分かれるって。

何でも遠く離れていても、意思疎通が可能らしい。便利だ〜。

バリーに告げれば、何故だか苦笑いされた。


ザルド人見知りで、俺としか話さないから嫉妬してるか?

まあ、イケメンに嫉妬されるのはちょっと快感だけど。

ウッシシ。


俺は、ノーマに食べ物を渡す。

弁当にと、サンドイッチを作ったから食べてくれと伝えるとヘレの後方から感嘆の声が上がる。


え?

俺だよ?

綺麗な女の人とかじゃないのに、弁当嬉しいのか?

まあ、味付けには自信あるけどな。

この間、辛子もヨーゼストで仕入れたし。

辛子マヨネーズって、やっぱサンドイッチに欠かせない。

見た事ない魚もちょっとフライにして、サンドした。あれは自信作。


ザルドに乗り込むとさっそく出発!

あ!あの子。

見送りにきてくれたんだ。


胸が熱くなりながら、子供に手を振って俺達は北を目指す。

ノーマ達は、今一度レイバンと離れた場所で捜査するらしい。

なるほど、ノーマの過去視の力を利用するのか。



その日の夕暮れ。

やっと、目的地に到着した。


夥しい篝火が焚かれている。

闇影獣からの襲撃を防ぐ為なのか。


かなり大きい村っぽい場所。

テーレントの部族の特徴は、遊牧民である事。

と、するならばこの部族は少し異例だと感じた。

根付いている様子に驚くと。


ミゲルが一言。


「この部族は、特別な存在なのです。

ここの長には、特殊能力があり霧を発生させる事が出来ます。

それを武器にしてこの地に根付いているのです。」


いや、それだけじゃないだろう。

大きな木の門の前には、偉い人っぽい数人が俺達を待ち受けていたのだから。


「お待ちしておりました。ようこそ知識の部族へ。」



何となく先生っぽい雰囲気が俺の苦手意識を高める。先生っぽい男性の後ろから部族の土地に入る。


ブーン…どこからか音がしたような気がした。

だけど、その音に気付いたのは俺のみのようだ。


何の音だろう…。




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