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本の謎!

ーパナヤ陛下視点ー


眠そうなコウ殿に配慮しての昼食のつもりが、行方不明の報告に思わず手の中に魔力が篭る。


「陛下。恐らくアーリア様が同行されている様子。ですからその手の魔力をお納めください。

部下たちに健康被害が出ます。」


相変わらず落ち着いたゼンの台詞にいつの間にか手に握っていた魔力を鎮める。

この歳になっても魔力をコントロール出来ぬとは情け無い。


「捜索隊を設置。対策本部はゼン。お主がせよ。

また、捜索の範囲は王宮の外も含まれる。

急げ!」


ゼンが礼をしてそのまま部屋を後にする。

残ったのは相変わらずマーラとリーのみ。

この二人もコウ殿と出会って変わったわ。

こんな時に騒がないなんて。


「陛下。コウ殿と知り合うとこの程度で驚いていてはね。」とマーラの薄ら笑い。

リーもクスクスと笑っている。

自分こそはコウ殿を知っていると事あるごとに見せつけるとは。

私とて我が甥の愛息子と仲良くなる日を楽しみにしていたのに…

わかってやってるのでタチが悪いわ。


そこへ伝令が飛び込んで来る。

それは、予測していた事態が発生した報告だった。



「伝令でございます!ラドフォード殿下より新種が再び姿を現したとの事。

今のところ『防虫煙玉』で優位ではあるが数が限りなく見通しは悪化と。

併せて、キヌル国王陛下より伝令!

新種が山の中に次々と現れて家畜を襲っているとの事。被害甚大で人的被害は無いもののコウ殿に『防虫煙玉』の追加要請。」


やはり…このままでは終わらぬか。

これでは『光る秘石』による光魔法の復活が待たれる。

でなくば…。


沈黙が流れる室内に再び慌ただしい報告が来たのは夜遅くになってからだ。

なんと、厨房より二人が突如現れたとか。

お側に主様のお姿も拝見出来たとの事だが、先日の事もある。我々はご挨拶すら御遠慮せねば。


「陛下。主様方はどうやらコウ殿にその正体を知られたく無いと思っていられるようです。

我々も素知らぬふりであらねば。」

先日のマーラの説明を思い出す。


コウ殿はそのまま、疲れが出て寝てしまわれたとか。突如厨房に現れた時、コウ殿は一冊の本を持っていたとな。

しかし、アーリア様より他の者は触れぬようにと厳しく注意があったとか。

黒猫姿の主様はコウ殿にピッタリと張り付いておられるとの報告がある。


その本は恐らくは…


我が最古の図書館にはある伝説がある。

誰も入れない隠れ書庫が存在していると。

そこへ入れる条件は、


⚪︎困っている事や探し物がある

⚪︎自己利益の為ではない

⚪︎そして…王宮そのものが選んだ者



そう、この王宮は生きているのだから。

王宮の中にある禁足地には、我が国の身印にもしている『黒猫』の主様が住まわれている。



王宮に選ばれた者。



数百年前そんな人間がいたことがあると記録にあるが我が代にそんな人間が現れるとは。

それが我が甥の愛息子とは。



本当に人生とは予測不能…ね…




ーコウ視点ー


説教…長すぎ!!

うっかり疲れて寝ちゃたじゃん!

あーー、また説教?


お?

何だかスルーでOKみたいだ。

それ程急いでるのかなぁ。

オリドさんからは『防虫煙玉』の在庫はありませんか?と聞かれるし。


ぜーんぶ出したからなぁ。それにあの後作ってないからと袋を探ったら…


えーー!

ありましたよ。まさかの大量?

オリドさんは分かってみたいな顔でありがたいと礼を言って走っていったよ。


また、新種出たのかなあ。

義父さん大丈夫かな。



そうだよ!

あの本!あれさえあればきっと!!


その後皆んなで集まって本を見てみようとなった。


開いてびっくり!!



は・く・し!!


まさかのここに来ての白紙とかないでしょう。

もう!


あの『鍵』使ったからはきっと何かあると思ったのに。


あれ?表紙は絵があるなぁ。

いつの間にか現れたあの黒猫に似てるような。


あ!この猫この国のモチーフの絵に似てるし!


じっと表紙の絵を見てたら皮で出来た表紙は凸凹していて窪みが猫の形に見えてきたぞ。

うーん。そうだよ。

鍵にくっ付いていたあの黒猫の飾り。

あれがハマるんじゃ??


ぴたっとな。


は、ハマりました!!

ちょっと快感。


「光ったわ!」「何かハメたような。」

とか後ろはザワザワしていた。


えー、光ったかなぁ?

本の中を見ようとしたら…



はい!

白紙がちゃんとした絵に変わりました!!


はー、魔法の国。侮りがたし!!

スゲーよ。


1ページ目にあったのはやっぱり『バスレータ島』とその辺りの絵。


全員で頭を突き出して眺めまくるけど、何にも進展なし。

少し疲れて昼ごはんにしようと思ったので本を閉じようと触ったら…


この本何なの?

触ったら海の中身が見えたよ。

触ったところの絵が変わるんだ。

海ならその中身とか。

島ならその辺りの地図だったり、山の絵になったり。


慌てて皆んなも触るけど、俺の手にしか反応しないなぁ。


海の中が何か嬉しくてつい触っちゃう。

図鑑みたいで面白い。

海の魚や岩や海藻の泳いでる様子。


貝も可愛いなぁ。

ん?

この貝…口から渦吹いてるような。


あー!!

この貝が原因だ!!


その後、必死の解読でこの貝が呼吸するたびに『渦』を吐き出して、それが渦潮になる事に気付いた。

更に絵が月の出る日になるとその貝は海上へ浮かんで交尾をする。

だから渦潮が消えるんだろう。と。



謎の一部が分かった俺は、名案を思いついていたんだ。


俺は膝の上に黒猫を撫でながら、皆んなに説明をした。


何となく呆れ顔だった気がしたけど、アーリアさんだけは興奮してたような…

あの人の興奮ポイント…不思議…。


カリナ。苦労するよな。

俺はカリナの肩を叩いて慰めたんだ。


なんとなく苦笑してたから伝わったと思う!!




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