表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
71/191

冒険…そして…

ー只今、探検中!ー


誰からの視線もなくなるなんて体験はした事がないだろ!

物凄い快感なんだよ!

あーー、そう!鼠とか猫とかになった気がする。

冒険心万歳だな。


まっすぐの廊下を歩いていると、ふと穴が見えた。

そう、壁に空いている穴。


鼠の巣があるのかと覗くと、アーリアさんが驚いている?



「その壁に何か見えますか?」


「穴。鼠だと思うけど…あーこっちではデーレットとか言うんだっけ?

あれの巣だよ。うーん。奥は真っ暗で見えないなぁ。」


覗いていた顔を上げてアーリアさんを見ると何故か真っ赤な顔をしている。

どうしたんだろう。やっぱり疲れたのかなぁ。


俺の心配げな表情を見てアーリアさんが首を勢いよく横に振る。


「いいえ。今見ている奇跡をジッと味わってるんです!」


え?今頃視線のないこの冒険に感動してるのかな?

まー人それぞれ速度はあるけどね。

感動屋なのかなぁ。


俺達はまたまっすぐ廊下を歩くけど同じ景色に少し飽きてきた。

あー疲れたから休みたいなぁ。


まっすぐ伸びる廊下に既視感はあるけど、思い出せないし。


首を捻っていたら、目の前に一筋の光が見えた。

そう!照明の明るさではなく外からの光だ!

俺は駆け出して外へと飛び出して思い出したよ。


もしかしてココ5階だったよね。

飛び出したら…あーー!

俺、俺ーー!!


踏み出した筈の俺の身体は、未だ落下の風圧を感じません。

薄目で外を見ると綺麗な花畑が見えた。


なんと!!

こんな早く天国なのか?


「コウ殿。盛り上がっているところ申し訳ないのですが、ここはちゃんと地面ですよ。

空中庭園だと思います。」



ハハハ。

わ・分かっていたよ!

も・も・勿論!!


足がガタガタ未だに震えてるけどよく考えたら、空中庭園に決まってる。

ドアがついてたんだからな。


綺麗な散歩道が花畑の真ん中に作られている。

あ!遠くに四阿があるし!


俺の弱ってた足は元気を取り戻し急いで四阿を目指した。

素敵な木の屋根の下に、ゆったりとしたソファや椅子があり、木の温もりのあるテーブルには本が置いてある。


読みかけなのかページは開いていて、綺麗な海の絵が描いてある。

ん?

島が真ん中にあって…渦潮も…


「ねえ、アーリアさん。もしかしてこの本は『バスレータ島』の絵じゃない?」

アーリアさんも驚いているみたい。

誰がこんな本を?


『ほほほ。約束したじゃろ。

この本までお主を案内するのは、ワシの役目。

さあ、これからどうするつもりだ?

ワシに手伝えるのはここまで。』


ん?

小さな子供が喋ってたみたいだけど、随分お爺さん臭いなぁ。

お爺ちゃん子なのか?


でも、こんな子と約束したかなぁ?

しかし、色黒の子だよね。


『それよりこの絵をどう読むかじゃ。』


そう言われて改めて本を見ると、海の上にはやはり月はない。

そりゃ渦潮があるんだから…何処かに通れる道はないかと探した。

他のページも捲るけど、ボヤけた絵ばかりで参加にならない!


ページを捲る瞬間に『バリッ』って小さな音がしたけど気のせいだよね。


何となく不味い事した気がして振り返ると…花畑は枯れ始め四阿は屋根に穴が?


アーリアさんの顔色が青白くなっていて、小さな子供も『馬鹿め』とか呟いている。

んー、口の悪い子だなぁ。


「は、早く脱出を!!」

と突然叫ぶアーリアさんを子供が意地悪く笑う。


『もう遅いわい。この地の決まりを破るものにはそれなりの罰が落ちる。知っいるとか知らないとか関係などない。

ま、このまま成るように成るだ。』


おーこの子悟りを開いてるのか?

小さいのに偉いなぁ。

だけど、この辺が枯れた原因って何だろう?


俺が考えてる隙に花畑は完全に枯れてしまったよ。アーリアさんが「あぁ。」と嘆いてる?


もう!そんなに花好きとは知らなかった。

しかし、この花は幻術を使う魔法の花畑なんだな。

王族専用なのか?

怒られるか?


ん?その時足元をぴゅっと走る影を見る。

デーレット?


あー!あの巣はコイツのかなぁ?

俺は急いで後を追う。

足の早いデーレットにようやく追いつくと、ちいさなドア発見!


ガチャとドアを開けて中に入るとそこは書庫だった。

本棚がズラーっと並んでいて、興味深く俺は見て回る。


熱中していた俺は、後ろの方で『そんな馬鹿な。』とか「これがコウ殿!カリナよ。貴方の苦労の一端を今理解しました。」とかそんな声を拾うことは出来なかった。


だけど、見つけたから!!


え?

本じゃないし!


デーレットの巣っぽい穴。



やっぱりか。

俺が近づくとその側にドアが見えた。


ドアにはこの国のマークがある。

「ねえ、ここに入っていいかなぁ?」


アーリアさんはゆっくり頷いてくれた。

疲れた顔してたから、そろそろ冒険をやめなきゃかなぁ?


ガチャ。ガチャガチャ!!


開きません。

えー!ここに来て鍵が掛かってる?


諦めようとした俺にアーリアさんが一言。


「コウ殿!見せて頂いたあの『鍵』では?」


あー、ヨーゼストのマークが飾りに付いていたアレ?

よし!取り敢えずやってみようっと!


ガチャ。


開きました。

たったひとつまた、『本』


俺がそれを掴んだ瞬間!!

グラグラ!!

じ、地震だ!!


急いで地に伏せた俺の目に沢山の足が見えた??



「「「「あーーコウ殿発見!!!」」」



沢山のコックさんに囲まれています!

しかも、涙目??



駆けつけたラオの怖い目にこれから始まる長い説教の予感に震えた。



予感的中…



但し仲間がいる。

アーリアさんだ!


カリナさんから叱られてる。

部下だから仕方ないよな…



仲間に目配せしたのは失敗だと身をもって知る事になる。



だって鬼が増えました。


スタンさん。

オリドさん。


えーー?ナット君も??ナット君の涙目での説教は堪えました。


そして俺は、

その涙目に本気で反省したのだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ