アーリア様現る！
度々編集してすみません。
読んで下さる皆様にお力を頂きながら感謝しています。拙いこの作品を読んで下さりありがとうございます。
ーコウ視点ー
翌日、パナヤ陛下始めヨーゼストの魔法使いの皆さんと会議になる。
カリナの様子を見て貰ったらすっかり良くなってたんだけど、あの『光った秘石』が問題らしい。
その謎も『琥水』も全ては『バスレーター島』にあるらしいが、それが問題だ。
何せ月はとっくに出た後だし。
次の月の出る日は今から４ヶ月後。
渡りたい我々を阻むのは渦潮。月の出る前後三日間のみ渦潮は消える。
だからこそ『バスレーター島』は、人の渡れない島。
結局、行き詰まる訳で。
良い案も出ないまま会議は続く。
長引く会議って退屈だよな…
。。。
えっ？
寝てないし！！
慌てる俺に相変わらず呆れた表情のラオ。
そう！ラオとスタンさん。そしてオリドさんも次の船でヨーゼストに来てくれたんだよ。
百人力だよな！
レイバンとウェスさんはまだ戦いの最中とか。
新種との知恵比べが続いていてガイおじさん達も大変らしい。
結局、結論も出ないまま会議は一旦中止。
昼ごはんになる。
王宮の人が出してくれてエスニック料理っぽいのはめっちゃ美味しい。
俺が「うめー！」と叫ぶと後ろの方から歓声が上がった。どうやら厨房の料理人さん達らしい。
義父さんが『カレー』を広めたらしく、何故か俺の名前が知れ渡ってたんだよ。
もう！まさかの息子自慢とか…ヤメロヨナ…
赤い顔なんてしてないから！！
焦る俺に話しかけてくる人が。
確かカリナの神殿の人でアーリアさんだっけな。
ヨーゼストに着いた当初カリナが何故か焦ってたんだ。
年配の方だからかな？
あんなに元気そうなのに。
「コウ殿。カリナ様から伺いましたが、何やら『鍵』を貰ったとか。見せて頂いてもよろしいですか？」
カリナの部下らしい。年上なのに謙虚で優しい感じで良い人っぽい。
アーリアさんは俺の渡した『鍵』をしばらく見詰めると、お礼の言葉と共に返してくれた。
「つかぬ事をお伺いしますが、黒い猫と会いませんでしたか？」とアーリアさん。
おーー！！
あの猫知ってるのかなぁ？
パナヤ陛下は何か主様と間違えたとか言ってたけど。
不思議『猫』…何者なんだよ。
「コウ殿。二人で探検に行きませんか？」
小声で悪戯心発表のアーリアさん。
いいのか？
この年でも冒険心のある事は良いと思うけど。
退屈な午後の会議を思うと魅力的な誘いだよ。
微かに頷く俺に満面の笑み。
二人で廊下に出るとやはり目立つね。
色んな人の視線が痛い。
何処へ行くってかな？
その時！！
『我と友の道を開け。その道は誰も知らぬものなり。』
アーリアさん突然囁いた。
そしたら！途端に周りの人の視線がなくなった？
えーー！
すげーじゃん！！
「ふふふ。これは神殿に伝わる技の一つ。さあ、これでゆっくり回れます。
行きましょう。」とまたもや笑顔満面のアーリアさん。
嬉しそうだなぁ。
悪巧み二人組は仲良く手を繋いで歩き出した。
ーカリナ視点ー
まさか。
我が目を疑うとはこの事。
何故アーリア様が？
神殿を離れるなんて前代未聞では？
心の中を渦巻く葛藤を余所に、アーリア様が突然異な事を申される！！
「これはカリナ様。アーリアが参りました。宜しくお願いします。」
はーー？？？
ぶ、部下とは？
驚き過ぎて固まるとはこの事。
まさかコウ殿以外にこんな所に伏兵が…
何故！！
神殿最高峰の方が私の部下になるんです！！
急に胃の痛みを感じて鳩尾辺りを押さえると
「治癒しましょうか？」とチャーミングなり笑顔で私に近づいて…
「これも女神様の思し召し。沈黙は金ですよ。」
アーリア様のお顔が！！
いつもの優しい笑顔ではない。目が目が笑ってませんよ！
これは、お、脅し！あのアーリア様から受けたと聞いて信じる者など神殿中探してもいないだろう。
あぁ、この愚痴は誰に言えばいいのやら。。
その夜は良く眠れませんでした。
（胃は痛んだまま…）
翌日の会議では、午前中は問題点の洗い出しのみで進展なし。
眠そうなコウ殿にパナヤ陛下が配慮して早めの昼食となる。
美味しい昼食を頬張るコウ殿の『うめー！』の叫びはこの城の料理人全てにとって最大のご褒美でしょう。
『カレー』は魔力による身体への被害を防ぐために画期的なもの。
いわばコウ殿はこのヨーゼストの恩人なのだから。
しかもラドフォード殿下の愛息子。
ヨーゼスト挙げて大歓迎な様子が分かる。
特に昨日の『大試食会』は大変な評判だ。
施しではなく、試食という形での食事の提供。
考えてもみなかった…
さすがはコウ殿。
しかもどれも絶品！！
付加は『治癒・強壮』。
傷ついた人々には最高のご飯だっただろう。
本当にコウ殿のお近くにいると勉強になるわ。
あ！アーリア様がコウ殿の側に言って何か囁いているわ。
あの笑顔のアーリア様は不味い気がする。
思った通り…アーリア様とコウ殿が廊下に出てアーリア様が何か囁いた途端！！
消えた…
この後の二人の大冒険とは別に我々は、大捜索となる。
帰って来たアーリア様に失礼ながら説教をしたのは致し方ないだろう。
