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オリドを呼び出される?

ーラクゥド視点ー


「お分かりですか?今、私に召集をかけるのは判断ミスそのものです!」


緊急で呼び出したオリドはさっきからこの通りご立腹だ。

とは言え、本人は気づいてなどいないだろうな。

鉄仮面と渾名された無表情のお前が怒りに満ちた顔でいるのを。


「聞いていますか?彼は『浮き』なる物を開発して主様の怒りを鎮めるために船を出す所だったのです。

無論!私も同行予定で呼び出しの為にお断りした時、コウ殿はかなりガッカリしておられましたから。」


なんと!

コレは本人なのか?

利益なきものになど見向きもしないオリドではなかったのか?


まあ、これがコウ効果だな。

さてと、そろそろ俺も本気を出さなきゃな!


「オリド。

ここにいる者達は、コウの辿った旅路に調査のため派遣したものだ。

俺はな、コウに出会った時彼奴がほざく未来が気になってな。

それでちょいと乗ってみようと思った訳よ。

この調査でようやく準備は整った。

そこへ『防虫煙玉』の専売特許だ。儲けもかなり出た。」


俺の話し方がまどろっこしいのだろう。

イライラしているのは、早く港町へ戻りたいからだろうがな。

まあ理解出来るさ。

コウは少し目を離すととんでもない事態を起こすからな。


「コウの描く未来はな、整備された街道を行商人達が、行き交い沢山の品物が流通する様子だ。

そして、各国に名産品が生まれその場所場所に祭りの開催される。そんな未来だよ。」


流石に話が大きくなりオリドの顔に真剣味が増す。


「しかし生ものなど無理な物が多いかと。」

まあ、普通なら誰でもそう思うだろうがな。


そこで、俺は目の前に一つの箱を指差す。

ほら、食いついたぞ!


「『冷蔵庫』だ。

キヌルに突如現れた名産品なんだよ。どこでも腐らないで生ものを運べる。

信じられないか?

これも当然コウの発明品よ。

これで今、キヌルでは乳製品を売り出してかなりの儲けを出しているんだよ。」


オリドが中を何度も確認して驚いたようだ。

まあコウと付き合いのある者なら誰でもよく遭遇する事態だな。


「ふーむ。成る程これならば可能かと。

これの話もご存知だったのですか?」


今度は俺が苦笑いの番か。


「俺は儲け話を拾おうとコウに色々尋ねたんだよ。

そして、なーんにも儲けなんて考えてない男がいるのを知った。

こんなものを発明してキヌルの隠れ里とかいう連中にぽいっとやるんだからな。

言った台詞は…

『だって役に立てたら嬉しいだろ!』だとさ。


最初はうさん臭いと思ってたさ。

だがな、実際に必死に俺の役に立とうと話をするコウに俺が白旗を上げたんだよ。」


珍しくオリドが馬鹿にする事なく俯いてやがるな。


「それは同感ですね。私も何だか儲け話を探すのが馬鹿らしくなります。何でも私に売ってくれるのでね。何ならタダでくれますよ。」


その後、祭り開催の計画や街道の整備にラドフォード殿下を巻き込んだ話もした。

無論、キヌルもボルタ両国も許可は得てる。

街道整備は長い計画となるだろうが、オリドさえ味方につければ問題ないだろう。

コウの言っていた『コウソクダイ』なる制度を導入してと。


身を乗り出すオリドと今後についての話し合いの最中に、港町から伝令が来た。


何でも儀式の最中にコウ達の乗った船が異様なスピードで沖に消えたと。

色めき立つオリドが立ち上がる前に次の伝令が。


「その後コウ殿以下皆様は、無事ヨーゼストに到着との事。」


伝言を聞くや否や、静かに立ち上がったオリドがドアへと向かう。


背中に一言投げる。


「コウに宜しくな。」


微かに頷いたオリドはそのまま、港町へと戻った。


まあ、あれだけ伝えれば奴のことだ。

何をすべきかは理解しただろう。



後から聞いたが、置いていかれた面々が慌てふためいて港町に戻りその後、ヨーゼストを目指したらしいと。


ま、出来る事なら俺が行きてえからな。

でも、約束の『サクラ祭り』を開催してからだな。

な、コウよ。


しかし、『サクラ』って何だ?





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