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ヨーゼストへ到着!

ーコウ視点ー


予想外の展開は続くもので、岸へと向かう予定がいつの間にか小舟で沖合まで出てしまっていた。

船長さんが焦っていて、どうも知っている海流の流れと違って船ごと流されているとか言い始めた。

全員で色々やってみるけどどうやらヨーゼストに向かってるみたいだ。


マジか?


仲間に伝言すらしないまま、ヨーゼスト行きかよ。

いいのかなぁ?



波頭が金色に光って綺麗だけど、ヨーゼストって近いよね。

ものの一時間で到着したからな。


途中でゼンさんが二羽の鳥を飛ばしてた。

聞いたら魔法で操る雷嶺鳥って言うらしい。

初めて見たから触らして貰ったら、ピィィィーーっていい声で鳴くんだ。


ため息混じりのゼンさんが二羽の飛ばした。

一直線に飛んで行く雷嶺鳥に見惚れていた俺は後ろの話し合いに気づく事はなかった。


「驚かれるでしょうね。ラドフォード殿下もパナヤ陛下も。」

と、ゼンに向かって小声で囁くカリナの声にゼンさんが深く頷いているのも。


ヨーゼストが見えてきた頃から船長が絶叫してる。不安定な人だな。

こんな感じで船長とか大丈夫なんだろか?


「嘘だろ。こんな船旅もう嫌だ。」


せっかくヨーゼストに着いたのに船長は青白い顔でそう言ったきり今度は静かに。

どした??

疲れきってるような…俺は飴をひとつ渡した。



見てみろよ。

この世界最大の観光都市『レレベーナ』だよ。


素敵…なのか?

これって、綺麗なのだろうか…


海から見える『レレベーナ』の街の様子に思わず無口になる。


色とりどりと言えば、いい感じに聞こえるだろうけど本当はガチャガチャ。

色…使い過ぎだろ!


目が痛い気になる配色は、街全体の雰囲気をチンドン屋風にしている。

それでも、ムルゼアのミーファンの女将が言う『美味いものならレレベーナだよ。』の台詞を思い出してワクワクが止まらない!!


だってさ、米だよ!

魚だよ!!

トロピカーナフルーツだよ!!


あーー!!

口の中で唾液が溢れるぜ!


興奮する俺を出迎えたのは、マーラさんとリーさん。


だけなら良かった。

多分王様らしき人から始まって偉い人総出の出迎えは、ド庶民の俺にはハードルが高いよ。


あれ?

なんだろう。リーさんがゼンさん見て涙ぐんでるぞ。あーー、マーラさんは安定の腹パンチか。

いつ見ても痛そう。あれが愛情なのよ。とか言われても怖すぎてマーラさんには逆らわないって強く思ったのを思い出したよ。


「初めまして。お会いできて光栄ですわ。

わたくしはこの国の王パナヤと申します。噂のコウ殿にお会い出来て幸せですわ。」

妙齢の女子の押しの強さに引きづられています。



馬車の中へ。。


無論市場へ行きたい俺の願いは言えないよな。

王宮へ向かうらしい。

なんでも闇影獣の襲撃のせいで市場は今休みなんだとリーさんが説明してくれた。


。。。マジか。。。


かなりガッカリしたのがバレたのかマーラさんから素敵な提案が!!


「コウ殿。あのミーファンの本店がこちらにもあります。このレレベーナ最大の食材店。

明日、ご案内します。」

にっこり笑うマーラさんにマジで手を合わせたくなった。

ま、この世界にその習慣がないからキョトンとされるだけだけどな。


そんな話を馬車の中でしていたら、見えてきました。


お城??


違うよね。

あれは…塔だよ。しかも超高いし。

まさかの階段??


む、無理!!


あまり装飾の無い石で出来た大きな扉は、パナヤ陛下が手をかざすと自動的に開いた!!


あーー、俺のバカ。

魔法だよ。

魔法がこの高さの秘密だな。


エレベーター??

箱に入って壁をタッチ。

すると地表に魔法の光が溢れて気がつけば目的地…らしい。


いやね、俺も何が何だか。

実際中に入ると大きさが外から見るよりデカイ。

明らかにデカイ。


「これは魔法を使った外観の目眩しですよ。そしてあの壁へのタッチこそこの城の安全を守るもの。魔法で登録していないものは、決して目的地に着けませんから。

ですから、絶対に何処かへ行かないで下さいね!!」



あーー。

言われましたよ。

ちゃんと気をつけたからね!!


勿論俺はそりゃもう!ゼンさんの後をね着いて…


いやぁ…壁の絵を見たり飾ってある綺麗な硝子の鳥や動物の飾りを見たりはしたけど…



だからって、置いていくかなぁ。

長ーい廊下をだいぶ歩いてますけど、部屋のドアも無いし何処にも行き着かないし。

つ、疲れた。


俺はとうとう座り込んで袋から食べ物を取り出したよ。

団子を作っていたのを出して、被りつこうとした時俺は肩を叩かれた。


振り向くとネコがいたよ。

ツァーに似てる!!

真っ黒な子猫を抱いて撫でてやると、団子に食いつかれた!

え?団子って猫食べて平気?

むしゃむしゃ食べるのをホッコリしながら見てた俺は、皿とミルクも差し出した。

喉詰まるよと、忠告しながらね!


『フン!アレから聞いてきたのは誠だったわい。

まあ、通してやるかね。』


お!

話しかけられたか?

うーん。でも正直通してくれるより帰りたいんだ。

皆んなの所へ案内して欲しいけどな。


ん??


何か起こったような…??



「「「コウーーー!!!」」」



叫びに黒猫を撫でてる手を止めて、辺りを見回すと長い廊下は大きな広場に変わっていたよ。

皆んなが王様の側にいた!!


ゼンさんがダッシュで来るのを見て、本当に完全回復だと喜んでいると。。


「はー。コウ殿。回復しましたが寿命が縮まりそうでしたよ。

まさか、この城の主様とお会いしていたとは。」


「拝謁を賜り恐悦至極に存じます。」

パナヤ陛下が膝まづいて頭を下げたら…


ボン!!


猫も魔法使いか?煙を残して消えたし。

流石ヨーゼストだわ。


感心した俺に、ルスタフが側に来て

「丸一日いなかったんすよ。このままなら間違いなく大規模な捜索隊が出動する所でしたよ。」


ま、マジか、

道理で腹が減った訳だ。

早く飯にしようよ!!


そう言ったらマジかとルスタフが小声で呟いたよ。

陛下が大声で笑っているし、マーラさんもリーさんも笑顔だ(苦笑とも言う)


でも、それから俺の用意したカレーを食べた皆さんが絶叫しながら喜んで食べるのを見る羽目になる。




ヨーゼスト侮りがたし。



ド派手なのは、人も同じなんだな。



こうして南の島観光気分の俺の、ヨーゼスト第一日目は終わった。




ーある男の呟きー


リーズ代表からご指名を受けての船出は正直、命を懸けての仕事だった。

これまでどれほど仲間の船が壊れたり沈んだだろう。

とうとう、船出すら禁止され我々は食い上げ状態だ。


それを思えば、荒れる理由が分かりそれを解決すると聞けば海の男の血が騒ぐさ。


変わった大きな硝子玉を浮かべキラキラ光る海にどうやら終わったらしいと聞き耳を立てて理解する。

どうも一般人の俺じゃ理解しても見えるものは違うらしい。


硝子玉を囲った海へ入らなければ、もう海へ出れる。そう言われて喜びに打ち震えてたらこれだ。


船が急に猛スピードで走りだしやがったじゃないか!

そのスピードたるや、間違いなく普通じゃ無い!!


恐ろしくなった俺は叫ぶ事でようやくやり過ごしていたら、普通なら三日かかるヨーゼストが一時間ほどで到着とは…


もう、驚き過ぎて疲れた。



肩を落とす俺に、若者が飴をくれた。

笑顔いっぱいの若者に悪くて甘い物が苦手だとか言えないまま、飴を口に。



!!!!

歳をとって悪かった目がよく見える。

いや、身体中から力が溢れる?


感動と、驚きからそのまま固まっても一般人の俺は許される筈だ。



その後、俺は一回り身体が大きくなり家族から不審がられて、ちょいと落ち込む事になる。





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