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ラドフォードの本気?ールスタフ視点ー

ールスタフ視点ー


残された我々は、ようやく見つけたコウ殿にホッとしたのも束の間。

出し尽くした筈の『防虫煙玉』が『無限収納』から見つかってびっくり。



すでに、『防虫煙玉』を持って各地に向かった後なのに…被害の広がる闇影獣の新種との戦いに是非とも必要だと繰り返していたラオ殿の姿が頭をよぎる。

コウ殿も焦った表情だ。

慌てた様子でガサガサと探す姿はのんびり屋のコウ同様にしては珍しい。

おや、なんと…コウ殿が袋から取り出したいるではないか?

まだあるのか??


出てくる出てくる!!


ヤケクソ気味のコウ殿が袋をひっくり返して全員が驚愕の一言。


なんと、これまでの料理に集めていた材料や作った小物の数々。

使い切った筈のものが次から次へと。


あの『無限収納』は無論それだけでもあり得ない物体だが、もしや別の性能が…


この時考え事をしていた自分を殴ってやりたい。

なぜなら、『防虫煙玉』を握りしめたコウ殿が突如宿屋から飛び出して行くではないか!

溢れかえったものを整理していた全員から叫びにも似た声が飛ぶ!



「コウ殿!」


呼び掛けなど無意味だと知っている筈でも必死に。


無論、バリー達やカリナ殿と共にすぐにも後を追おうとした時にそれは爆発した。


『煙玉ミニ』


人間用だと何時ぞやナット殿に持たせていた物だが、流石の性能だった。

我々は、一瞬で充満する煙に喉と目をやられ身動きが出来ない。

しかもカリナ殿の治癒が効かないとは。

コウ殿効果がこんな場面で発揮されるとは…


遅れる事数分なのに。


コウ殿を見つける事は出来なかった。


ボヤける視界や咳が止まらない事も気にせずに飛び出した我々が見たものは、


血痕


恐らくはゼン殿とコウ殿のものと思われる。

急いでノーマが異能を使って過去視をすれば、麻袋に入れられた2人が数人の男に運ばれている様子が発覚。

しかも、その男達には見覚えがあると。


「貴族連合で見た奴がいるよ。間違いない。」


唸る我々。

この状況で動くとは命が惜しくないのか?

闇影獣の新種の意味すら分からないと言うことか?


その上カリナ殿が

「ゼン殿の魔力が感じられない。もしかして何かあったのかも。」と。


逃げる能力を持つのはゼン殿のみ。コウ殿では…


では、今頃あの二人は…


口の中に苦い味が広がる。

嫌な想像は危機感を連れてくる。

ここに来て迫る危険の高まりに焦りは募る。


流石にカリナ殿の行動は早く、ラドフォード殿下宛に伝令を飛ばした。

『防虫煙玉』を持っていく役割の為に伝令が残っていたのが功を奏した。


我々もノーマの異能を使って捜索を続け、やっと小さな町にたどり着く。


町外れにある廃墟が怪しいと探っていたら何とそこへラドフォード殿下が現れた。


しかも、たった一人でだ。


「おー『葉』の色が変わったぞ。義姉上さすがですな。ここにコウが。」

何やら呟いていたが馬上からなのでよく聞こえなかった。


その時になって我々にようやく気がついたようで、馬を降りるとカリナ殿へと近づく。


「巫女姫様。お久しゅうございますな。

我が息子コウがお世話になっております。それにキヌルのエマ姫様。

おーー、其の方等が親衛隊のメンバーだな。」



気さくな。

いいのか?これで。。。


我が国の王になる人だとラオ殿に聞いていたのに。

我々のような半端者に。


すると顔に考えていた事が出たようで快活な笑い声が響いた。


「はははは!!

お主、気づかぬか?我もハーフよ。

ヨーゼストの王族を母に持つ。

あそこにコウがおるようだな。まあ、見ておれ!」

デカイ声。

敵に気づかれる…あ、気づかれたか。


しかし、

そこからの事は圧巻の一言だった。



ワラワラ出てきた敵は当然の事ながらコウ殿やゼン殿を引き連れて人質にしていた。

見たことのない弱ったコウ殿とゼン殿の姿に熱い何かが身体で暴れる。


「これはこれは。

お馬鹿な半端なるものよ。お前のような半端者が王になどなれる筈もない。

お前の勘違いをワシが正してやろう。

ほれ、この者の命が惜しくば刀を捨て首を差し出せ!

さすればこの者の命くらいは助けてやろうぞ!」


ガイブレ公爵。

遠目に見た事がある。バリーの唸り声がした。

悔しさは我々も同じだ。

しかし人質が…不味い事になったと思いあぐねていたら後ろから小声でカリナ殿が囁いた。


「お早く後ろへ下がって!殿下が爆発します。」


キョトンとする我々は鬼気迫るカリナ殿の表情から後退をゆっくりはじめた。

傷ついた様子のコウ殿を見つめながら。


悔しさと後悔でいっぱいの俺はそのせいでラドフォード殿下の怒りに気づかなかった。


「ほう。 俺の限界を見たいとはな。


では見せよう。


我が意思に従う風よ。お前の真なる姿を現せ!

荒れ狂う水よ!

怒る火よ!」


その言葉にコウ殿へ刃を向けたその時、鎌鼬のような鋭い風が吹いてその者の手がそのまま下へと落ちた。

その者も手が落ちてゆく様をジッと眺め呆然とする。それほど、一瞬の出来事だった。


風が二人を運び去った瞬間!!『地獄絵』に。


恐ろしい程の 炎が誘拐犯を包んだかと思えば、つぎの瞬間、全ては凍っている。


氷の彫像と言うべき男達の顔は恐怖よりも驚愕の表情だった。

それほど一瞬の出来事。


呆れるほどの圧倒的な力。

これが次代の王の真なる力とは。


「ふふ。あれはほんの一部。

ですからラドフォード殿下は今まで市井にいたのですよ。」



信じられないカリナ殿の台詞に呆気にとられるとまたしても驚きの言葉が。


「コイツら死んでないから。」


えーー。



コウ殿とゼン殿に治癒を掛けているカリナ殿の後ろから、ハーブティーをゼン殿に飲ませている殿下の一言。



。。。正直、ついて行く自信を無くしそうな。。


振り返ればバリー達も同じ顔色でホッとした。





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