ルスタフの独り言
編集を入れました。
多少の変化があります。よろしくお願いします。
ールスタフ視点ー
世の中は分からない。
俺はついていない人間だ。
最初からケチがついてるからしょうがない。
何せ半端者だ。
親はそんな面倒を背負い込む気もなく孤児院へポイっと捨てた。
森に捨てなかっただけマシなのだがな。
そんな俺の行き着く先は貴族の犬だ。
それも『契約』の名の『首輪付き』の犬。
ロクでもない事をしてきたから最後くらいは、希望を持って仕事したかった。
『男を一人誘拐すれば自由の身』
だからだろう。そんな安易な言葉に乗ったのは…そんな簡単な事でと疑問に思う気持ちを押さえ込んで乗ったのが間違いだった。
幼い頃から助け合ってきた仲間。
そのミックが傷だらけで戻って来た。
あの傷では助かるまい。
俺達全員に諦めムードが漂う。
リーダーのバリーだけが責任を感じて打開策を考えているが。俺は諦めた。そうさ、とっくに…だ。
なのに。
『蓬を取ってくれよ!』
おかしな人間を攫ってしまった。
雑草取りを真剣にしたかと思えば、天国かと思うほどの美味い飯を作る。
この飯は何処か変だと気づいた時には遅かった。
なんとミックは奇跡的無事回復したし、捕まったはずの俺達はあの『契約』も解消されいつの間にか仲間に。
それも全てあの美味い飯が原因だ。
コウ。
俺のマトモな考えでは全く歯の立たない相手。
奇想天外な事ばかりだが次々と奇跡を起こす相手。
そんな彼の唯一の欠点が『絵』だ。
下手というのも烏滸がましいこの『落書き』ではな。
それを、俺でも名の知るウィンゲルドのゾーケルの親父相手にあの『絵』で交渉すると言うのだ。まず無理だろうと、少し手助けをする事にした。
俺の異能力は器用さにある。
話を聞きながらこっそり作った物は意外と役に立って少し嬉しかった。
もっとと強請られた時はちょっと疲労感が漂ったが。
それでも初めて役に立てた気がして、ようやくこの場にいるのが許される気になった。
それからは、
コウの仲間になってからは怒涛の日々だ。
いつの間にかヨーゼストへ向かう旅の空だ。
貴族連合の犬だった俺がだ。
闇影獣との戦いもあるがコウの『防虫煙玉』とか言うものに助けられて難なくマルスの港町が近づいて来たある日。
この二、三日彼の元気がない。
とにかく元気いっぱいが彼の特徴だから気になるので声を掛けた。
「何を悩んでるんだ?明るいのがコウ殿の特徴だろう。おかしいぞ。」
俺はバリーみたく上手く丁寧語が喋れない。
「俺。破産しそうなんだよ。
買い付けに行く予定で出たけどさ。こんな遠くまでとは思ってなかったから港町へ行っても何も買えない。
物凄く楽しみだったし買いたい物沢山あるのに。」
は、破産?
あれだけ『ビール』『蓬饅頭』とか売りまくってか?あーー。そうか物凄く安値にしてたしその後も買い付けしてたよな。
「コウ。俺が貸すよ。
返すのはいつでもいいしな。」
同じ場所に乗ってるラオさんの言葉にコウ殿は首を横に振る。
「俺の金じゃなきゃダメなんだよ。
キヌルもボルタも魅力的過ぎ!あーー!!魚買いたかったよ。
あ!
そうだ。『田中食堂』にちょっと寄ってよ。
お金取ってくるだけだからさ!」
ま、不味いぞ。
ラオさんの情報では貴族連合の手の者が張ってるらしいし。
案の定、ラオさんが慌ててる。
また、萎れたぞ。うーん。。
ガタン。馬車が止まった。
まだ宿屋までは距離があるはずだ。
何かあったのか?
「馬車が止まったけど何だろう?」
止める間も無くそう言いながらコウ殿が外を覗くとお客人のようだった。
「あー!トックスさんの部下の人!
お久しぶりです!!」
急いで駆け出すところを見ると知り合いか?
「コウ殿。お久しぶりです。トックスから申し付けられまして今日は交渉をしに参りました。」
道端ではと、全員で宿屋に入ってから話を聞く事になる。
しかし、あのトックスの部下とか言う人物は見た事がある気がするが…。
それよりも交渉の内容に驚いた。
何故知ってるのか?
何処からかあの『防虫煙玉』を聞きつけて、その専売特許権が欲しいとの事だ。
「あー、父さんからの手紙もある。
いいよ。だけど幾らくらいで??」
えー!あれを?いいのだろうか??
あれは世紀の大発見なのに。
「ですから100単位の卸値でこのぐらい。」
内緒話?
「えーー!!!
それじゃ俺、城を建てられるよ!!」
コウ殿の驚きを見れば破格の値段だと理解した。
「捨てる神あれば拾う神ありだな。」コウ殿がボソッと呟く。
??
何の事か分からないが、お金に悩んでたコウ殿に朗報であるには違いない。
顔が笑ってるしな。
ラオさんとスタンさんにも手紙が添えてあるから大丈夫だろう。
2人は納得した顔をしているしな。
コウ殿はすでにはしゃいでるし。
港町では余程買い物があるらしい。指折り数えてリストアップしてる。
気が早っ!
「そこで大変図々しいお願いなのですが私も同行させて頂きたいのです。
いかがでしょうか?」
スタンさんは快諾した。
また仲間が増えた。
しかし、大所帯になったな。
それが少し楽しいのは俺の仲間達も同じなんだろう。最近では、珍しく笑顔を見せているからな。
ま、俺も同じだが。。
しかし、あの顔どっかで…。