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ヨーゼストへ出発!

ーコウ視点ー


俺達は今、ヨーゼストに向かってる。



あの後、

親方の家から俺を引っ張るカリナに、文句を言おうとしたら、カリナの身体が傾いだ。


た、倒れるー!

カリナが突然意識を失って倒れ込んむから手を伸ばしたけど、ゼンさんが受け止めてた。

マジ驚いたよ。


急いで宿屋へ戻ってゼンさんが診て一言。


「魔力酔いだ。」


何で??

神官の持つ「緑の恵み」の力は魔力とはちょっと違うって習ったけどな。


「あの石だよ。まあ心配はない。明日にはすっかり元気になるから。」


と、ここまではいつも通りだったのに翌朝元気になったカリナを見て喜んだのも束の間。


「カリナの問題は、ヨーゼストに行かなければならない結論になったよ。

コウ殿。マルスの港から船に乗るが必ず守ると約束する。共にヨーゼストに来てくれないか?」


久しぶりに見るゼンさんの真剣な表情にカリナは実は差し迫った状況だと悟る。

養父(ちち)の言いつけを破る事になるが彼女の命には変えられない。

俺はもちろん頷いたさ。


け、決して魚につられた訳ではないからな!!

さ、刺身が食べたいとか。

じゃ、邪心はない!!


そんな訳で王城へ挨拶に向かってまた、びっくりよ。

スタンさんが別れの挨拶してたらさ。

俺達に同行すると言い出すから、止めようと振り返ったらめっちゃ決意の固い表情のスタンさんがいた。

俺は、何も言えずに前を向きなおした。


んー。マデリン王女の寂しげな表情がちょっと辛いなぁ。


そんな俺達を無双騎士団だけが空気を読まずに盛大に!見送ってくれたよ。


それから数日、キヌルへ向かう道の途中で何やら馬車が急に止まった。


何だろう?

見れば一本道に俺達だけがポツンといるけど随分と山奥に来たなぁ。

さっきまで草原のような場所にいたのに??


そう言えば、ボルタのあちこちに新たな森が次々と生まれてたよ。

いゃぁー。カリナが倒れた訳はこれだ!!

力を使い過ぎたんだよ。


俺、種撒きすぎたんだ。胸がツキリと痛むよ。

ごめん、カリナ……。



ん?

何か皆んなが騒いでるなぁ。、

あ!あんな場所に宿屋とか。山の中にある宿屋なんて珍しいよ。

山菜とか出ると嬉しいなぁ。


俺が扉を開けた時、後ろから「あ!」といか声が聞こえたけど何で??


扉の向こうには、美人女将が元気よく


「御出でなさい。さあ、どうぞ!!」


いいねぇ。何か美味そうなものがある予感!!


俺達はその晩この宿屋に泊まる事にした。

予感は的中だよ。

山菜蕎麦。

う、美味かったー。

しかも、朝一から味噌汁とご飯とは嬉しいなぁ。

こんな場所に米と味噌がある事自体あり得ないほどの珍しさなんだから。


出掛けに女将さんが


「これ。ここいら辺の旅の御守り。良かったら持って行って!」


お。可愛い鳥の木彫り?

俺は今一度礼を言うと再び馬車へ乗り込んだ。


ゼンさんに貰った御守りを見せると何でか後ずさっていた。

もう!鳥嫌いなら先に言ってくれれば。

ごめん。


俺達がしばらく行くともう、キヌルの山中へと入ったよ。

あの山道はかなりの近道だったんだ。

ラッキーな事が続いて俺の気分は更に上がった。


ーゼン視点ー


巧みな交渉ではなく、誠意を持って突破して行くコウ殿に好感を持ちながら話を聞いていた。


途中まではだ。


あの『秘石』を見るまでは。



凄い魔力が放出していて、カリナ殿が当てられたのが理解出来た。

周りに影響が出る前にカリナ殿が少し強引にコウ殿を引っ張るって行く。


その姿に危うさを感じた私はそっと側へ。

やはり、彼女は魔力酔いをしていた。



たが、問題はその後だ。

その夜、意識が戻った彼女を含めて(眠ってしまったコウ殿やナット殿を除いて)話し合いが続いた。


もちろん、あの『秘石』についてだ!


初っ端、カリナ殿から爆弾発言があった。


「あれは『秘石』が変化したもの。

そう、既に別物です。


恐らくは失われたと言われる『光魔法の魔力』が込められています。」


『光魔法』??


あれは遥か古代に失われたはずでは?

しかも、昔この地にいた幻の存在のみがその魔力を使ったと言われている。


あの、『光魔法』なのか?


「信じられないのは理解出来ます。しかし本当の事なのです。しかも何らかの形でコウ殿が関係しています。

あの袋になぜあったのか?

紛れる事はあり得ません。それほど『秘石』は貴重で慎重に扱うものですから。」


一同は重く頷いた。

予感はあった。

恐らくコウ殿だろうと。


やはりか。。。



その後、驚く我らに特に名案もないままだったので、私からひとつ提案をした。


「もしかしたら我がヨーゼストの最古の図書館になら記載があるやもしれません。

どうでしょう。ヨーゼストに向かっては?」


この意見にバリーのみ反対した。

何せマルスの港へ向かうからだ。


しかし、他の案を持たないバリーも渋々賛成して御開きとなる。


スタン殿と挨拶へ王宮へ向かうと、予想通り盛大な旅立ちの儀式がある。

感謝を込めた素晴らしいものだが、何故かこんな場面に特に弱いコウ殿のみがジタバタしていた。



ところが、事件はその後起こる。

ウィンゲルドを出て数日、突然山の中に迷い込んだからだ。


確か草原を眺めながら馬を走らせていたはずだ。

なのにほんの一瞬で、山の中だ。


しかも一本道のその先には宿屋が。

怪しさ抜群の宿屋に戸惑ってる隙にコウ殿が既に扉を開けていた。慌てた我々も中へと入る。


木で作られた温かみのある建物に客は我々だけ。

しかも女将には気配がない。


スタン殿やウェス殿も気づいていたがその事を話そうとすると何故か喉が詰まって声が出ない。


ひやりっとする何かの気配を感じてその夜は、寝ずの番をしようと決意をした。

他の面々も同じ事を感じていたようで寝ずの番は5人になった。


ウェス殿・スタン殿・ラオ殿・バリー殿そして私だ。


コウ殿の休む扉の前にいると、足音をさせずに女将が近づいて来た。


魔力を込めようとするのに何故か力が分散して集中出来ない。

刀に手を掛けているバリー達も同じようだ。

背中に冷や汗が流れるのを感じた。


「よく、分かりましたね。

幻術にかからない不幸なお前達に、ひとつプレゼントをあげましょう。


ヨーゼストから船で北西2時間進みなさい。

ひとつの孤島を見つけるでしょう。


その孤島は今から20日後に3時間だけ上陸が可能になります。

その島にこそ『琥水』『秘石』がありお前達の望みが叶うでしょう。


コウには我から祝福を与える。

マルスなど問題にはならぬからそのまま進め。


これは幻。忘れるなよ。」



確かに声を聞いたはず。

だが、気づけば布団の中にいた。


翌朝、元気良く飛び出すコウ殿を追いかけようとしたその時!!


『ゆめゆめ忘れるな。沈黙の呪をかけたから話そうとする事は許されない。』


振り返って見れば、その女性の姿は既に消えていた。

もちろん、宿屋も。



それどころか、一瞬後にキヌルへ入った我々の背筋に改めて冷や汗が流れる。



女将の話した『孤島』とは我々が『バスレータ島』と呼ぶ島だろう。


ただ、今まであの島に上陸した者は1人もいないが。

あの島に近づいて無事だった者はいないからだ。




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