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ゾーケル視点!

また編集入れました。度々すみません。

よろしくお願いします。

ーゾーケル視点ー


奴は突然やって来た。

乗り込むなり「湯たんぽ作って欲しいです」とか抜かしやがった。


俺はこの道一筋だ。

ボルタの民は長命が当たり前。

だからだろう。1つのことに打ち込むのが特徴だとか言われてる。


ここウィンゲルドの鍛冶屋村もそんな感じで出来た。俺はひたすら武器作りに打ち込み、最近では俺に是非と指名も多い。

ま、申し訳ないがかなり待って貰ってる。


早打ちして駄作を世に出すのは俺の矜持ではな。


その俺に「ユタンポ」だと!!

それは一体何だ??

しかもその絵はなんだ?

子供の落書きでももう少し分かるってもんだ。


追い返した後、珍しくクーパーが反抗的になり奴

を追いかけた。

あの優柔不断なクーパーがだ。


何でも凄い人だと。

あちこちで木や草を植えて、何とか料理を作って人を助けてるって有名なんだと言ってたが。


俺は噂は信じねぇ。

この目で見て自分で感じて考える。それが鍛冶屋ってもんだ。



しばらくして、さすがに俺の元にも様々な噂が伝わって来た。

ま、スタン様に頭を下げさせる男だ。

噂はきっと真実だろうが俺の信念に関わる問題だ。引き下がれねぇな。



「ヨモギマツリ」とか言うものを開催するって何日前から『ビラ』とか言うものを配ってた。

木の板を薄ーく切って、焼け炭で字が書いてある。なるほど。

ちょっと、ヨモギマツリよりビラに興味が出たぞ。



奴は天才だ。

料理の天才。間違いない。

こんな美味い酒もツマミも心底驚いた付加の凄さも俺自身の身でしみじみと感じた。


おっちょこちょいのクーパーのお陰でコウと再び対面した。

ふふ。コイツの天然は凄まじな。

真っ直ぐなその勢いに乗ってみようと思い会う事にしたが……。



やっぱり、奴は馬鹿だ。

この絵で俺にどうしろって!!


怒りに我を忘れそうになったその時。


「ゾーケルの親方。

これがコウ殿の絵を形にしたものです。」

と、奴の連れが差し出したものを見て驚いたさ。


精巧に作られたそれは、はっきり言えば不思議なものばかりだ。全く未知なる道具?

だがこれなら、俺でも理解出来る。そう感じる出来栄えだ。

しかもフォルムが美しい。

俺が感嘆していると突然、奴が叫び出したぞ??


「すげーよ。ルスタフにこんな才能があったなんて!!木で出来てるけどこれこそ『湯たんぽ』だよ。ね!他のも作った?俺さ、もっと書いたろ?」


期待に満ちた目で見つめる奴の姿は、おちょくって書いた絵ではないと腑に落ちた。

ルスタフって奴は少し肩を落としてたがな。

あの絵をコイツに仕上げる、苦労は理解できるさ。


その後、道具の素晴らしさを語る奴に俺も白旗を上げた。参ったよ。

よく聞けばこの「湯たんぽ」は奴の為だけのものじゃなかったからだ。

この国の民。ボルタの国民の命を守るものたと理解したから余計だ。


「コウよ。いいか。

今回限りだぞ。俺の本業は武器作りだ。

だが、この「ユタンポ」は確かに面白い。型取りのないものだから、しばらく時間をくれ。」


奴の本気も誠意も見たので俺が折れたら奴が驚きの行動に出た!


「あっ!忘れてた。

クーパーさんに頼まれた『火石』取ってきたから渡すよ。」



な、なにーーー!!!!


ヒ、ヒセキ??

もしや『火石』の事か?


ゴトゴト袋から出したのは、伝説と言われる鍛冶屋の夢『火石』


ん?

何だこりゃ?



「あーー!!

コウ殿、なぜ『秘石』を?

あら?この『秘石』…」



『火石』の中に1つの見慣れない石がある。

何か連れの神官の叫びが真実ならこりゃ神殿の秘中の秘。

門外不出のもの『秘石』か?

しかし、うっすら光ってるような?


神官は固まったまま動かないしな。

顔色は確かに悪いな。



その後の退出の急ぎようから大事件だと気づく。


奴だけが「えー。まだ親方に頼みたいものが!!

それにこれから鍛冶屋の話を」などと言いながら引きづられたように出て行ったぞ。



まー、奴だ。

何かやったに違いないな。


机にゴロゴロと並んだ夢の『火石』


全く頓着しないが、1つで街一個買える値段、いや2つや3つでも可能な。


久しぶりに込み上げる震えるようなやる気と微かな可笑しみにニヤニヤしつつクーパーに声を掛けた。



「おら!泣いてる場合じゃえねぞ!

お前の願いに奴は応えたんだ。俺らもそれに応えにゃなるめい。

やるぞ!用意しろ!!」

クーパーが目元を擦りながら張り切って走り出す。



俺のこれが始まりに過ぎなかったと気付くのはまだ先だ。

奴との出会いは、

鍛冶屋村全体を巻き込んで事はどんどんでかくなる。



コウ。


全ては奴から始まった。



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