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ボルタの王城で!

前話のお話は……

無双騎士団の闇影獣との戦いがあるが、コウの『温石』や『蜂蜜飴』の威力によりビアホールの仲間は辛くも勝利を収める。


ラオの視点で描くコウ。

コウ達一行は、ボルタの王城へも招かれる。


まだ少し別視点で説明も入れます。


今回はボルタの王城を目指す馬車の中から話が始まります。

ーボルタ王城 コウ視点ー


遠くから見える王城は、岩だらけの姿が特徴的なヨーロッパ風のもの。

たが近づくと、その大きさにまずは驚く。

うーん。遠近法侮れず。


岩だらけに見えたその城は、加工された岩が美しく配置された意外に美しいものだった。

大きな大門に馬車のまま入城すると整備された道には木々が繁りボルタとは思えない緑溢れる姿だ。


俺が窓から乗り出して見ているのを、後ろでスタン達が緊張の面持ちで見ているのも知らずその見慣れぬ景色に釘付けだった。


馬車から降りて扉の前へ来たら、何やら揉め出したぞ?


「いいえ。この御門は王族専用門。

例えスタン様と言え許されない事。向こうの騎士団専用の門をお通り下さい。」


鎧を着た2mを軽く超える大きな門番は中々頑固らしくスタンさんの言葉に耳を傾けないようだ。


「陛下直々のお招きによるもの。失礼があってはならない。

ここは、俺が責任を取るのでどうか門をお開け下さい。」


言い合いが続くので、俺の興味は他へ向けられた。木々の間に細い小道を発見!

向かうに花畑が見えたので、コソッとレイバンに近くで見ていいか聞いた。


で、どう言うわけか花畑にいるはずの俺は何故だか林の中にいます。

どこだ、ここ?


ちょっと荒んだ様子が先程までの場所と違うのが良く分かる。

もしかして城から出ちゃったのか!

ま、不味いぞ……。


ウロウロしていたら、更に不味い事態が発生。

行き止まりとは!

しかも、枯れた池の後らしく沼っぽい何かにハマった足の状態!!


う、動けない。

焦る俺の前に、呑気なカエルがゲコゲコ鳴いてる。池も無いのに元気だなぁと呑気に考えるが本当はそんな場合ではない。

焦ると人間の思考はあらぬ方向へと逃げるらしい。


ハマった足を抜くためにそんな俺の対策は、はっきり言って間違っていた。

水をかけたのは間違いだ。

は、反省するから沼から出してくれ!

あー、太ももまで浸かったよ。


更に焦る俺の側に、あのカエルの奴が近づいて来た。

笑われてる気がする。ちょっと僻みか?


『僻みでは無いさ、人間。

こんな忘れられた場所へ来て、沼にハマって更に水を撒くとは。

ククク。だがそれが面白い。

しかし、それが其方の命運を決めたさ。』


な、なんだとー!

まさか、もうダメなのか。

焦る俺をカエルは更に笑う。


『ファハハ。

流石にこんな場所に来るだけはあるな。

面白い奴。助けてやるからもっと水を撒けよ。』


カエルめ。

これ以上水を撒けとは。

しかし、もう後がない。お腹まで沈んだ俺だ。


ヤケクソしかない!!

俺は持っていた水を一気に撒いたら、ザブン!

水の中へ。


沼は?

どこからこんな水が??


その前に俺カナヅチだから、カエル急いでくれ!


口から鼻から水が容赦なく入って、呆気なく俺は溺れてそのままブラックアウトへ。



しかし、カエルは約束を守ってくれたみたいで気がつけば木の下に寝転んでいた。

た、助かった。

でもどこだ、ここ?

まさかの天国??


美しい池に、周りに咲く花々。

その側には木々も緑を繁らせ葉陰に光がキラキラ反射してそれがまた、池のキラキラとコラボ。


やっぱ、まさかの天国かー。


『馬鹿を言うでない!

せっかく助けてやったと言うに。

しかし、お主がおらねばこの池は復活出来なかったのも真実。


特別だ。

いい事を教えてやろう。

今、王が困っているのは『神火』を絶やしたからだ。すでに忘れられておるが『ソル山』の『神火』を復活させよ。』


カミビ??ソルヤマ??


何の事か分からない事を早口で捲し立てカエルは、池ぽちゃへ。

おー、やっぱカエルと言えば池ぽちゃだよな。


なんか感動して眺めてたら、物凄く焦った様子のスタンさんと怒り心頭のガイおじさんが走ってきた。


ま、不味いぞ。

レイバンに『遠くに行かない』って約束してたのをうっかり破ったから。


「心配しました。ご無事で良かった。」

スタンさんの後ろに鬼いるじゃん!!


「コウよ。よそのお宅で勝手気儘は不味いよな。

とにかく王様がお待ちだ。小言は後でな。」


親代わりのおじさんの怒りを背後に感じながらも、王様の元へ急ぐ。

だいぶお待たせしたみたいだからな。


クネクネと、城の中を曲がりに曲がり到達したのは大扉の前。

俺を待っていた皆んなと、見知らぬ人達と大扉の中へ。


そこにはびっくりする王様の姿があった。

大丈夫なのか??


王座に座る王様の右側半分が固まってる!

いや、石みたいな……。


絶句している俺に王様から一言。


「コウ殿ようこそお見えになった。

我が友スタンより無理難題を頼まれたのではないか?」


無理難題??


「陛下。お久しゅうございます。

長い間お待たせしてすみません。しかし、コウ殿にはまだ何もお伝えしておりません。

コウ殿。

以前よりの私の願いとは陛下の『石化』を治す方法を見つけて欲しいと言うものなのです。

無理難題と理解しております。

しかし、貴方が最後の希望なのです。」


マジか?

俺なの?なんで??


スタンさんの必死の願いを感じながら、戸惑いの方が大きい。

そんな俺を見兼ねたのかガイおじさんが割って入ってくれた。


「お久しぶりでございます。

マルス帝国近衛隊におりましたガイと申します。

突然のスタン殿の申し出。正直コウには時間が必要かと。

今しばらく、お時間を頂きたいと。」


カッコいいじゃん!

混乱していた俺は、とにかくホッとした。

おじさんの取りなしのお陰で王様の前から隣の部屋へと移る。


テーブルに熱いお茶を入れて貰い、俺の作ったスコーンを出す。

お茶してまずは説明を。



なー、お茶は?

なんでカエルの話をした途端、王様のところへ引き摺られるように連れて行かれるの??

スコーン!!

スタンさんの必死の形相にそんな文句も言えず、俺は王様の前へと連れ出された。


スコーンに未練を残す俺を気遣って、スタンさんがお茶しながらではと提案してくれた。

俺は王様にスコーンに添えて木苺のジャムを出してカエルの話をする。



王様もスコーンを美味しいと言ってくれたよ。

笑顔で食べてる王様を見ていたスタンさんは、何故だか涙目に??

そう言えば顔色が良くなったし、温かいお茶が良かったんだよな。


納得の俺も、スコーンが大好きだけど紅茶は更に好きだ。


でも、カエルの話は更なる新しい展開へと繋がっていく。

俺、何処へ流れていくんだろう??

仕入れに来てただけなのにツィー元気かなぁ。



ーガイ視点ー


久しぶりに見るボルタの王城は、相変わらずその堅固な守備に秀でた岩城だ。

その整った様子に予想が外れたと感じる。


(何かあったとみていたんだかな。隠密の話では王はその姿を何年も見せておらず王女のマデリンがその任に就いてると報告があったのだから。)


その心の言葉に応える様に大扉の前で揉め事が起こる。元無双部隊長にこの態度とは。

少し様子がやはり違う。

俺が気を取られてる隙に飽きたコウが花畑へとフラフラ見に行き、迷子になる。

一本道で迷子とは。

スタンの慌て具合に事の深刻さを感じ、俺の焦りも募る。

後に迷子事件が決定打になるのだから世の中は分からない。


すぐに見つかると思っでいたコウは、何処へ消えたのか全く形跡とて無い。俺は隠密からの情報を思い出しては肝の冷える思いをする。

このボルタの王城は、無双の守る城。

その中は機密に満ち足を踏み入れた者は戻らないと。

マルス帝国の隠密でも行方不明は存在する。

そんな心配をよそに時間だけが経つ。


我が主君の宝であるコウだ。

そして、俺の命の恩人でもある。

コウよ。いったい何処へ。。。


俺と同様にスタンも焦っていたのには理由があった。

聞けば王が『コウに会う』と決めたのは画期的な出来事らしい。

最近では殆ど篭り、会う人間も限られているとか。

気が変わらないうちにと、焦る気持ちは理解出来た。


「ガイ殿。居られました!

ここより北側の今は誰も入るとこが出来ない場所らしいです。

人を拒む場所として、最近では誰も近づけない場所におられると。さ、お早く!」

見つけた無双の隊員が声を掛けてくれた。


しかし。なんとなく、コウのやらかした雰囲気を感じる。

不安だ。


あーー、案の定だよ。


何でも太古から存在する池で、しかも入れなくなって数十年経つその池は、遥か昔に枯れたそうだ。


満々に水を湛えた池は復活!

それだけではなく周辺もまた復活!

生い茂る木々の緑の下で呑気に池に見惚れるコウ!


ため息が背後のレイバンからも聞こえる。


わ、分かるよ。

最初注意して散歩を許可したレイバンは、心理的にはかなり追い詰められていたからな。

それがこれだ。



キョトンとしたコウを少し睨むが、ビビるより怒涛の展開についていかれない様子だ。

更に王様の御前に連れ出されたコウの戸惑いを感じ、とりあえず時間を貰うよう進言した。


スタンでさえ、王様の姿に動揺しているのだ。

周りの無双騎士団からも同様のザワつきを感じるから王はどれほど皆の前に姿を見せなかったか理解する。

だとすればこの『石化』はかなり長く続いているのだろう。

既にほぼ半身が『石化』している。


別室で爆弾発言を続けるコウに堪え兼ねてスタンがコウを御前へと引き摺って行く。

お茶会形式となるも、スコーンに気を取られるコウを気遣って茶会としたスタンの狙いは他にあったと気づく。


なるほど、コウの『付加料理』を頑な何か王に食させる為か。

王から驚きの表情が見えた事から、効き目はあったと確信した。



だが、これまでのどれもが霞むほど、コウのカエルの話は驚愕ものだったらしくボルタ側の顔から表情が消えた。



怒涛の展開が予測出来るが、それを更に超えるのがコウ!

ラオなどは、諦めムードを出してはやられているな、まだ青いぞ。


『いいか、コウはこんなものではない!』


それは、我が主君の口ぐせだ。

そして今は、俺の口ぐせでもある。





また編集を入れました。

多少変化がありますがよろしくお願いします。


この場を借りて、ブックマークが100を超えた事を感謝致します。

こんなに早く100を超えるのは、望外の喜びです。

本当にありがとうございます。

また、読みに来て下さる皆様全てに深く感謝致します。

まだ、お話は中盤です。

お付き合いくだされば幸いです。


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