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レモンの砂糖漬けの効力?

また、編集しました。

若干変化が大きいかと思いますが、よろしくお願いします。

ーボルタ王室にて マデリン視点ー


「よう戻った。ご苦労であったな。」


久しぶりに見るスタンは跪いており顔すら見えない。

もう、こんな関係になってだいぶ経つ。

どんなに言葉を尽くしても彼の考えは変わらないのだから。


「ご尊顔を拝し恐悦至極にございます。」


ふー。型通りの挨拶か。

以前のような笑顔を見る事はもうないのか。

兄上さえ。。。


いや、それは思ってはならぬ事だ。


「どうだ。コウ殿は我らに力添え下さりそうか?」


僅かに笑った気配に驚いたが、内容は更に驚くべきものだった。


「コウ殿が『寒さ対策』として提案したものが出来上がりその効果を確認致しました。

我が国民の薪の使用量は画期的に減少するかと。

以前報告した『ビール』と種まきの成果などこれまでも期待を遥かに超えてのもの。

幾多もの森の出現。そして貿易の柱となるもの。

期待が高まります。

これならば、陛下も…。」


言葉を濁した彼の期待は私も同じ事。

これまでもあらゆる努力をしてきたのだ。その全ては今のところ徒労に終わっているが。


「では、この後鍛冶屋のゾーケルに会い説得に努めたいと思います。」

ゾーケルとの一件は報告にあったな。

よし、ここは……。


「では妾の方で推薦状を用意しよう。王家の命令ともなればあの者でも素直に従うのではないのか?」


張り切る妾に、首を横に振るスタン。

やはり駄目か。


「いいえ。あの者の事はコウ殿自身が必ず打ち破ると思います。私がこれからする事も説得ではなく『ビール』の紹介ですから。

何せ、あの者は『酒』には目がありませんから。」


微かに笑うスタンに心が浮上する。

久しぶりに明るい光が見えて気がして。


「では御前を失礼します。」


去ろうとするスタンに急いで声を掛ける。


「あ、兄上には会って行かぬのか?」


無言のまま会釈をしてドアを出て行くスタンに、兄上の事を思う。


コウ殿。どうか我らに力添え下され。


暫しそのまま、祈りを捧げる。

もう、妾に出来る事は。。。



ー出発の朝 台所でー


スッキリした目覚め。

昨日の早寝が功を奏して目覚めは最高だった。

布団をパッと捲るとベットから飛び出した。

顔を洗って、すぐさま下へ降りる。

張り切る俺は、台所に入ってびっくり!!

ナット君だけだと思ってたら、なんとスタンさんのお知り合いの方たちが沢山集まってたから。

『ビール』作りで仲良くなった人もいるし、なんか嬉しい。


「助かるよ。大量に弁当作りする為に早起きしたけどこんなに手伝ってくれる人がいなんて思わなかったから。」


そんな風に礼を言いながら、紅茶を入れる。

まずはミルクティーだ。

朝の一杯は大事だからね。


「いえ。このまま『ビアホール』の営業を続ける以上は全てが勉強ですから。」

そう言いながら、嬉しそうにミルクティーを飲む集団は、ぱっと見『ゴリラ』の群れ??

ちょっと失礼か?


いやぁ、スタンのお知り合い人は皆んな筋肉ダルマだったから最初はちょっと苦手だったんだ。

でも凄い働き者ばっかりで、感動屋が多くて涙脆い。

なにせご飯の度に感動。家の改造が終わると感動。

そして『ビール』の完成では号泣とか。

ちょっと最後はドン引きだったけどね。いやぁ、身体が立派なだけに残念感がな。


皆んなで作る料理はあっという間に『無限収納』に収まる。これだけあればと、次はみんなの為に朝食を作ろうとしてたらスタンさんが飛び込んできた。


「全員緊急出動だ。北西のザザル山の麓に闇影獣が出た。至急急行せよ。」


また闇影獣。

最近、よく出るから不安が増す。

そんな俺に皆んなは「ちょっと行ってきます。」

と軽く声を掛けて真剣な表情になると部屋を出て行く。


俺は、かける言葉もないままそれでもと、スタンさんに前から作っておいたある物を渡した。


「これは?」

不思議そうなスタンさん。


「温石です。」

確か前世でこんな物があったはず。

説明すると感激して皆んなに渡すと約束してくれた。

(実は彼も感動屋だ。)


見送る暇もなく、俺達も出発する。


きつねを肩に乗せて道なりに進むと、やがて岩がゴツゴツする場所へと差し掛かる。

歩きにくい。

そう思ってたら、唐突に洞窟が見えて来た。


青い。

成る程。

確かに青く光る石が入口から見える。

全員で中に入るが、祠が見当たらない。

きつねに聞けばまだかなり先だとか。


数時間『青い洞窟』を進むと急に前方から光が射しているのが見えた!


何だ?


洞窟を抜けると……。

そこは『秋の国』?


言うならば『秋の山々』と『透き通る湖』の美の競演。


山々に囲まれた湖の湖面には紅葉が美しく映っている。

山肌には全て紅葉が広がる。

大パノラマだ。

あまりにも見事な秋の風景に暫し見惚れた。


あれ?

皆んながしゃがみ込んでる??


どうした?


「さあ、食べて。」

取り敢えず疲れた時は『レモンの砂糖漬け』。

マネージャーが出すシーンに憧れたものな。

やっぱこれだね!



ーレイバン視点ー



驚く事に、我々も『青い洞窟』へと入るのを許された。


これまで、きつねの姿の主様は我々を受け入れず、コウの側以外は一切近寄らず。

御前では我々は言葉も交わせない。

そんな状態が続いたのにだ。


そんな我々もまさかの洞窟へ。

人の身でこの中に入ったものはいない。

長年の夢を叶えたい瞬間かと思う。


しかし、驚愕は更にヒートアップする。


なんと洞窟の向こうがあるとは…。


あまりの美しさに誰もが絶句する。


だが、それ以上に身体に掛かる圧力に負けて膝をつきそうになる。

押しつぶされる!

息がしづらくなり、気が遠くなる。


不味いな。

ナットの顔色がかなり悪いぞ。


俺でも、かなり息が苦しい。


その時、コウ殿の差し出す『レモンの砂糖漬け』を口に入れた。

なんと。身体から圧力がかかる消えた!!


また、コウ殿の料理にやられたのだ。


この、

『レモンの砂糖漬け』の威力は驚きに満ちていた。




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