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ウィンゲルドへ。

ーラドフォード視点ー


家具屋『グーノ』。

このロダインで間違いなく一番大きな店だろう。

下手をすると貴族の館より大きいのかもしれない。

俺はフラリと客のフリをして中へと入った。


店員は忙しいようで、誰も来ないので勝手に見て回る。

撒いたとは言え油断は禁物だ。


目的の箪笥のある場所を見つけた。

林立する箪笥の群れに、何処へ行けば良いか一瞬迷う。

執拗に説明されてなければ行き着けないだろう。やがて箪笥の群れに目的の場所を見つける。

背中を向けてコの字を描いた置き方の箪笥は、子どもなら隠れんぼの場所に良いだろう。

だが、俺の目的はこの箪笥の真ん中にある。

丁度コの字の真ん中の箪笥の背中部分にはよく見ると模様がある。その真ん中に触れた。


ギギギギーー。


微かな軋みを響かせて真下の床が開く。

地下への階段を素早く降りて行く。

それはほんの数秒の間。


降りた先は一瞬暗闇となるが床が閉まると柔らかな灯りがともる。

3つのドアのうち一番手前のドアを開くと会議室のような場所に出る。

長いテーブルに椅子。目の前に黒板。

ありふれた黒板の目の前に立つと魔力を巡らせた。


すると、黒板はゆっくりと上に持ち上がり空いた空間には小さなドアが現れた。

屈まなければくぐれないドア。

大人であれば四つん這いでやっと通れるドアを躊躇いなく潜りつぎの場所へ。


ドアを閉めると人がやっと一人通れる細い地下通路がある。勿論、ひたすら進む。


だいぶ歩いたその道が突如上り階段に変わる。

階段を上がり蓋に手を掛けて開けようとした途端、蓋は外からの力で開いた。


「お待ちしておりました。ラドフォード殿下。

お久しゅうございます。」


身なりの整った老齢の男性がこちらの到着を向かい入れる。


「ジェレーラ。出迎え大義。」


だいぶ昔の忘れ果てた言葉遣いをすれば、ジェレーラと呼ばれた男性は微かに微笑み深くお辞儀をした。


「この時をお待ち申し上げておりました。」


最早、この流れが止められない。

そんな事を今更だがふと思う。


俺自身が決めた事。

昔、逃げた場所へと戻ったのだから今度こそ逃げまい。と。



コウよ。

ボルタからもどる時には、話さねばならない事があるよ。

お前は何と言うだろうか?


会いたいなぁ。



ーウィンゲルド付近 コウ視点ー


俺とカリナは、最近ようやく仲良くなれた。

それと言うのも、カリナが俺の種まきに協力してくれるからだ。


『緑の恵み』を持つカリナと大量の種を持つ俺のペアでこの荒野に種まき中だ。

休憩時や、歩きの時など様々な場所でかなり適当に撒いてもいる。

種は大量にあるし荒野の景色は寂しいし。


カリナの力は素晴らしく、種は一瞬で芽を出す。

可愛らしい双葉を眺めながらの旅は少し楽しいものになった。

こうでもしないと寒さで不機嫌になりそうなのだ。


ウィンゲルドの近くには、素敵な洞窟があるってレイバンが言っていたから鍛冶屋に寄ったら行ってみようと言うは事になった。


青く光る洞窟らしい。

楽しみだな。



やがて、ウィンゲルドの街が見えてきた。

遠くからでも長い煙突が煙を上げている街の様子が分かる。如何にも鍛冶屋の街と言う感じに期待感が高まる。


町の入り口は検問所もなく開け放たれてる。

なんでもこの町に楯突いて無事の冒険者はまだいないんだそうだ。

おー、おっかない!


まずは宿屋に入るが、宿の主人が不思議な事を始め出した。

皆んなの武器チェックだ。

レイバンの武器をまず眺め次にウェスの武器も。そして、ラオ。

ん?ガイおじさんのは見ないんだ。


あー、なんか目力でおじさんが捩じ伏せたっぽいが。


レイバン曰く、鍛冶屋と関係のない人間はいない街だからお金よりまずは武器のグレードを見るらしい。ガイおじさんは「バカくさい。」と一蹴していたが。



荷物を置いたら早速、この街一番の鍛冶屋『ゾーケルの鍛冶屋』へ。



そこで俺は生まれて初めて激しい争いを経験する事になる。



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