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兄弟の初めての旅

皆様。

暖かくご愛読頂きありがとうございました。


沢山の方にお読み頂き、ポイント・ブックマーク・感想など本当に感謝しています。


誤字脱字の繰り返しも多い拙い作品でしたが完結させる事が出来ました。


本当にありがとうございました。

ーとある少年の初めての旅ー


「もう少しだ。やっと『レーべ村』が見えてきたぞ!」


汗を拭いながら、その少年はまだ幼いよく似た少年を励ました。


「うん!分かってるよ、にいちゃん!

あと少しでコウの店だもんね」


手を引かれ兄を見上げた少年の目は、喜びに溢れていた。

足は棒のようで、足の裏など火のついたように熱くて痛い。


でも。

久しぶりに会うコウの事を思えば楽しみで仕方ないのだ。


やがて見えてきた門構えは、一見普通の村の門だ。


だが、本当は近くにいる農民風な人々はこの『レーベ村』の護り人なのだって!

鍛え抜かれた身体を農民風の服の中に隠しているだけ…らしい(父さんが言ってた)


「やぁ、いいお天気ですね。

貴方達は何処から?」


笑顔の(目の全く笑っていない)青年の問いかけに弟の方がビクッとする。

慌てて兄の手にしがみ付く。


兄の方は、懐から書付を出そうとするも、弟がしがみ付くから中々出せない。


あ!


出てきた書付は、ビリっと破れてしまった…。

大切な手紙が…。


少年の顔から血の気が引いて真っ青になる。

すると。


「ん?大丈夫かい。

書付は貼り付ければ元に戻るから、心配ないよ。

ほら。

お兄さんに見せてくれ」


励まされ少し元気になった少年は、そっと破れた書付を差し出した。

目の前の青年は、そっと大切そうにその書付を広げて眺め「あ!」と声を上げた。


「そうか。

君たちがキヌル『スドラ村』のデューク君とテザック君かぁ。


コウ殿が楽しみにしていたよ。

さぁ、案内するからついて来て」


二人は、ようやくホッとした顔から喜びの顔へと変わる。

父さんから厳しく言われてたんだ。


この書付がなければ『田中食堂』へ行く事は出来ないって。



綺麗に整備された村の中は、土産物屋が沢山あった。どれもこれも欲しいものだらけ。



でも。

今は、前へ進むのみ。



コウに会いたい。

その一心で…。

村からの一本道を歩いて行くと、やがて高い塀の続く通りに出た。

凄く長い塀だ。


建ち並ぶ建物の中は、全く見えないが活気ある声が聞こえていた。


あ!

あの旗は?

やっと見えて来た旗には…『田中食堂』の文字…?


近づくと『手彫りの館』と『田中食堂』そして、『食材の森ー納豆あります〜ー』の三つの旗が見えてきた。


父さんの言った通りだ!!

やっと着いたぞ!


店の前で、一人の青年が手を振っている。


「おーい。デューク!テザック!」


コウだ!!

二人は勢いよく駆け出した。


「よく来たな。

お前たちが来ると連絡くれたから久しぶりにレイバンも来てるんだよ!


ほら、入って!!


あ、ザイドさん!ありがとう。

道案内ばっかりさせて悪いなぁ。今度美味いもの作って差し入れするから!!」


コウが、連れて来てくれたお兄さんに言う。

知り合いだったのか。


ラッキーだな。俺達…。


こうして、俺達兄弟の初めての旅は、目的地に到着した。


ーレイバン視点ー



あの『復活の森』と言われる戦いから数ヶ月。

本当に忙しかった。


復活した街道などをラクゥド商会の列が長く続く。


沢山実る木々や、豊かな田畑。

どうやら闇影獣は、滅多に出ることはない。


だから子供だけで旅に出る事も可能なのだ。


それにしても。

『レーベ村』は、変わった。

一見、普通の農村なのだが、本当の目的は『田中食堂』の関所。


久しぶりに『田中食堂』へ来てみれば、様変わりしてないのは…ここだけ。


隣に『納豆』を売る直売所が出来たくらいで。



コウは、普段通りに料理をしていた。

だが、俺は知っている。


ツィーがある日呟いた言葉を聞いたから…だ。



『背中の紐が完全に切れた…か…』と。

背中の紐…。


俺が完全なる獣人の姿を取り戻してから見えていた。

背中から伸びる金色の紐。。。


恐らく…異世界からの…。



主様達の声が聞こえる俺だけの知る話…だ。



コウ…。



この世界の人間となってくれたんだな…。



「レイバン!聞いてねぇな。全く!!」


怒ってるコウにハッと現実に戻る。

横を見れば、必死にコウのご飯を頬張る兄弟の姿がある。



「だから!!

エマだよ。女の子が一人でこんな場所に住み込みとか不味いってレイバンも言ってよ!!」


エマ姫。

正体を打ち明けるのは、かなりの過酷な労働だったらしい(超人的鈍感だから…な)


だが、キヌルの第四皇女だとは、理解出来なかったのか…それとも…。



一途なエマ姫は、裏方を必死にこなしていた。

コウは、もう兄弟と遊んでいた。




俺は裏庭へ出ると空を見上げた。

ほろほろ鳥…(コウはコガモ軍団とか呼んでたなぁ)


もう既に別の生き物かもしれない。


彼は…いや

彼等はこの場所に住み着いていた。


コウの護り手として。


ふふふ。

ツィーのヤツが不機嫌なのがおかしい。




「レイバン!!」

コウの呼び声に。


俺はいつもの席へ再び、戻った。





誤字脱字の修正をするつもりでおります。

編集を時折かける事をご了承下さい。




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