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その時…が迫る。

少し戦いの場面があります。


次話の前書きに説明を入れます。

苦手な方は、次話へお進み下さい。




ームルゼアである神官の視点ー


形勢は徐々に逆転し始めた…。



初めは人間。

そして、小動物や鳥。


闇影獣の数は、留まる事を知らず増える一方で。


今や…

ムルゼアは、闇影獣が圧倒的な数の有利の中にあった。


その上…。

昼夜問わずに、攻撃を加えるのだ。


我々に疲れが見えた頃、だった…。


なんと!

再び気絶させた闇影獣にされた人間達が目覚め暴れ出すしたのだ!!


拘束は解けないが、その代わりに彼等の身体が傷だらけになる。

慌てて見張りの神官が『麻酔玉』を今一度使うが、二度目は効き目がないとは…。


傷つく彼等を癒す薬が既に残り僅か…。



絶望感がテントの中に溢れる。

ここには、神官のみ見張りとして残っていた。

どうすれば…。


指示を仰ごうと、リーダーの神官である私は、テントを出ようとしたその時だった。



ドドーーーーン!!!




大爆発の音に、急ぎテントを飛び出した。


私の見たものは…信じられないもの。



トラッデに追い詰められていた新種が山のように大きく変化していた。


そう。まるで山そのもの…。


なんと…

よく見れば、周りの闇影獣を飲み込んだのか辺りには生き物の姿が一切無い!!



トラッデの中にも、多数の怪我人が出ていた。

容赦無い新種の攻撃を、レイバン殿お一人が防いでいるのが見えた。



『満』


レイバン殿のみが使える最大級の気の攻撃は、見た事もない激しいものだった。

だが。

地を抉る攻撃が数キロにも及ぶも、新種には防御される。


それでも…。


彼は仲間を後退させつつ



『満』



最大規模の気の攻撃は、何度も何度も繰り返しされたいた。

あれほどの攻撃を…大丈夫なのだろうか…。


それでも。



傷ついた仲間を庇いながら、トラッデが退却を始めると新種は楽々とレイバン殿の攻撃を防いで狙いを定めた…。



「ミゲル!!」レイバン殿の声が悲痛な叫びとなり木霊するも…。



新種の尻尾から、放たれる燃え盛る炎の塊がトラッデ仲間へ届く…その時!!



『光よ。その本来の力で彼等を守り給え!』


声の方を振り返れば、いつの間にかラドフオード殿下の姿が!

光魔法の防御壁がトラッデを包み込む。


何という威力…。

さすがラドフオード殿下だ。

しかし…

既に光魔法を乱打しているらしきラドフオード殿下の顔色は白さが痛々しい。

魔力が尽きかけているのだろう…。


それでも、再び…。


『光よ!彼等を守り給え!!』


ラドフオード殿下の表情を全く変える事なく防御壁で幾度もトラッデを守る。


その間も。

レイバン度は幾度も新種へ刀を振り上げ襲いかかると同時に、最大級の『満』での攻撃を放つ。



しかし。


山のような大きさとなった新種の前では如何程のダメージも与えられない。


ピピランテと無双騎士団。それにキヌルの騎士団は既に街中の小動物や鳥の攻撃から住人を守るべく中心部へ向かっていてココにはいない。

(あちらはとにかく数が多いのだ…)



だから。

トラッデと、ハーフ部隊のみ新種との対決となったのだ。



「大変です!!傷だらけの闇影獣になった人々の姿に変化が!!」


仲間の大声に振り返ると、青ざめた神官の一人がいた。


慌ててテントへと戻る…。


しかし…



そこに人間はいなかった。


そう…人間の闇影獣は…

姿形が、崩れまるで泥のように溶けていたのだ!!


これが、あの普通の住人だとは…。

お互いに溶け合った身体がひとつに塊り出したのを見て、私は強烈な危機感を覚え叫んだ。



「に、逃げろ!!」



その声を合図に、神官たちは一斉にテントから飛び出した。


テントを振り返る余裕もない。


目の前では、傷だらけのトラッデの人々が逃げてくる。

後ろは、テント…。


もう。

逃げ場は失われた…。



「ラドフオード殿下!!」

声の方を向けば、ハーフ部隊に抱き抱えられたラドフオード殿下の姿が。


魔力を使い過ぎたのだ。


真っ白な顔は、生気を感じられない…。

まさか…。



ドドン!!!



振り向けば。

テントが完全に崩壊し、真っ黒な塊りが溢れて出していた。



万事休す…。



私パ天を仰いで、女神セレーネ様への祈りを唱える。



。。。



あれは…?



雲の影のようなものが何故かこちらへ近づいて来た…。



ラゼ?



『我。テーレントの主なり。

人間達よ。


長年の穢れは払われた。

真なる姿を取り戻した我々禁足地の主達が力を貸そう。』



雲のような塊りは、新種を凌ぐ大きなラゼ。

尻尾のひと振りで、新種はそのまま大地に叩きつけられ転がってゆく…。


それは、我々の手の届かない戦い。

遊戯のようなラゼの態度に、新種は為すすべも無い。


だが、不思議と決定打は打たれない。

何故…。



『我も、その力を貸そう』

声のする方を見れば…


何と大きな梟が羽を広げて真っ黒な塊りの上を飛んでいた。


その隣には、真っ白な狐の姿が。

こちらも、大きな事には変わりない。

幾分小さいが、それでもその手で真っ黒な塊りをペチンと叩くと。


梟が風を起こして、塊りへ吹き付ける。

その風は。



キラキラした白い輝きを放つ不思議な感じもので。真っ黒な塊りは、そのまま小さくなる。


ただ…人間の姿には戻らないが…。


『人間よ。

お主達は、欲深よな。


ボルタの主の力を侮るな。

キヌルの主との合わせ技。

生命の

息吹をかけたのだ。


後はコウを待てば良い。


さて。我は其の方を治すかの…』


そう言って、小さい黒猫はそのままラドフオード殿下の身体の上は乗る。



「う。うーん」



一瞬だった。


ラドフオード殿下の生気が戻り目を開けたではないか!!


黒猫がレイバン殿へも近づくとあっという間に傷は塞がる。



「ヨーゼストの主様。

街中は今、大変な事に」レイバン殿は、ガバッと身を起こして黒猫へと話しかけた途中で…


『知っている。

あちらは大丈夫だ。


アレに任せておけば良い。』


黒猫は、遮ってレイバン殿へと告げた。


実はこの時、街中では物凄く小さな変わった鳥?が大量に現れて暴れている小動物や鳥を捕まえて連れ去っていた。


その鳥?は、飛べない不思議な鳥だったとか…

『ビノワ』へと戻っていったとか…



その実態を知るものは、いない…。




疲れ切った我々が黒猫が見上げた空を、一緒に見あげれば…。



小さい点が。



アレは近づいて来るのか?




あ!!



真っ白な大きな鳥に乗る人間の姿が!!




後ろにも真っ白な鳥が続いていた。

その背にも人間の姿があるような…?




「コウ!」



レイバン殿の叫びに我々は、初めてコウ殿を認識した。




「お待たせー!


薬出来たよー!!


今度は美味しいから!!」


手を振る人物が近づいて来て初めて知った。




乗っているその鳥の大きさと美しさが尋常じゃないと。


「コウ!いったい何の鳥に乗っているんだ!

大丈夫なのか?」とレイバン殿が叫ぶと。



鳥は、レイバン殿の前に着地した。

降りて来た小柄な青年は(まあ、実は少年に近い姿だったのだが。言ったら怒られたので…)訳の分からない事を説明していた。




「レイバン!!

醜いアヒルの子だよ!!

コイツ…

コガモ①だから!!」と。



長めの話になりました。

あと少しで、ラストとなります。



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