一方…ヨーゼストでは?
ーコウ視点ー
はー。早かったよ。
こんなスピードで飛べるんだ…ザルド。
テーレントのトラッデの操る鳥だと思ってたら、なんとラクゥドさんも操れるらしい?
で。今ヨーゼスト。
久しぶりに、パナヤ陛下と会って…アレ?
何か皆んなでお出かけらしい。
残念だなぁ。
と、なると不味いよな。
勝手に図書館に入るのは…。
お?
黒猫じゃん!
久しぶり〜。お前がお出迎え役?
ふふふ。
やっぱ、猫可愛いよな。
尻尾をフリフリして、案内してるつもりなのかぁ。
俺達は、そのまま図書館へと。
出入り口には、ヨーゼストの兵士が。
「お待ちしておりました。コウ殿。
さぁ、中へとどうぞ」
敬礼なんてされて、ちょっとビビったけど扉を開けてくれたので良かったよー。
相変わらず、図書館と言うには中々難しい大きさだな。
ココから目的の本を探すとなると。うーん。
俺が暫く考え込んでいたら、目の前に人が!!
もう。
声掛けてくれよ。マジビビったし!
燕尾服のような畏まった服装の老年の男性は、顔を半分仮面で隠していた。
不思議な雰囲気だが、優しそうに笑ったのでホッとした。
「コウ御一同様。
お待ちしておりました」
え?
ラクゥドさんも連絡が早い…えっ?してない??
じゃあ…誰が?
「この図書館は、必要な者を自ら選ぶところ。
ですから私がお待ちしていたのです。さぁ。目的の本へご案内しましょう」
へ?
意味が…何だよ、ルスタフ!
考えない方が良いとか。
まぁ、いいや。
とにかく、緊急事態なんだ。
俺だって。
出来る事をしたい…戦えないけど、何か…。
いつの間にこんな場所にきたのだろうか?
気づけば、俺ひとりになってるし?
ルスタフめ。
あんな事言いなりながら、迷子とは…。
後で見てろよー!
「コウ様。この場所は主様について記されている本の場所です。
そして、この本の内容は極秘扱いなので気をつけて下さい。
もし、破れば…」
「破れば…」
俺の喉がゴクンと鳴る。
だってさ、この案内人の雰囲気がガラリと変わって怖いんだよ。
あんなに優しそうだったのに。
「永遠にこの図書館の住人となりましょう。
この私のように…」
え?
消えた…。
声だけが、響いて…姿が見えない。
だって!!
さっきまでソコに居たのに!
確かに。
背筋にゾワリと走るのを必死に考えないようにして、本のタイトルを見る。
時間がないんだ、とにかく急がなきゃ!
それは俺にも理解出来たから。
俺の恐怖なんてこの際関係ない!
指でタイトルをなぞりながら、探し始めた。
『主様、その正体は?』
『主様の力が弱まる時、異次元の扉が開く』
『世界の歪みと、闇影獣』
ん?コレは違う本だな。
しかし、こんなタイトルじゃ気になって集中出来ないよ!
覗きたいけど…とにかく目的の本がなきゃ。
助けられない。
『主様と謎の食材、その調理法』
お?
見たいーー!!
あー、ダメだぞ、コウ!!
お前…誘惑に負けるなよ!!
『闇影獣の謎』
『闇影獣を癒す、その○○☆*』
あーーー!!
なんだよ、大切な部分が破れてるし。
でも、多分コレだ。
本を取り出して、ページを開いたその瞬間!
俺はそのままの姿勢で。
何故か、
図書館の外にいた。
ええーーー!
いつ出たんだよ…俺?
見たら、目の前にルスタフがいた。
「コウ!探したんだよ!
何処に行ってたんだよ。ラクゥドさんにも後で謝れよ。お前」
ルスタフが怒りながら走ってきた。
?
何処にって。図書館に決まって…え?
「だから、ザルドから降りた途端お前の姿が見えないと大騒ぎさ。ラクゥドさんもお城の皆さんも探してくれたんだぞ!」
だって、ココにいた兵士さんが証人だから…
いないって…。
そんな配置してはないと…。
案内人もいないと言われ更に誰も一緒に中へ入ってないと言われ、ついに限界突破!!
そして…。
俺は、そのまま本を握りしめて一時撤退した。
そう。。
意識が一時撤退…。
怖さに負けてそのまま気を失いましたーー!!
だから、
手にある本のタイトルを見た皆んなが、ドン引きしてたのも知らないし。
後からそれを聞いてびっくりしたよ、
(古代語より古い言語で読めないと。)
え?
おんなじ字だよな…?
俺…読めるし。
と心の中でツッコミをしたのは、目が覚めてからだ。
(そう言えば、あの時見ていたタイトルで覚えてるものがひとつもないんだ!なんか大事なタイトルだったような気がし…)