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『ビノワ』の本体は?

前話のあらすじ


ラドフオードとレイバンの出会いの回顧。

無茶をしてピンチのレイバンを助けたラドフオード。その怪我を治したコウの煮込み料理(回顧終了)



やがて三人は地上へと到着した(レイバン・ゼン・アーリア)


地上のピンチ(ガイ視点)

ガイもラドフオードも限界のその時!!


その時!!

ゼン・レイバン・アーリアの三人が現れ奇跡を起こす。(コウが持たせた料理が更なる奇跡となる)



 ーコウ視点ー


 クネクネ曲がる道を、ロイスの後に続いてだいぶ歩いた。


 地表では、ムルゼアにもう入ったかな?

 ダルい足を引きずっているが、それももう限界かも。


 うーん。


『田中食堂』に戻ったらランニングするぞー!

 と、意思表示してたら、ラオが呆れ顔で振り返った??


 何だよー!

 やる気は、今度こそ本物だからな!!


 え?

 聞き飽きたって?


 いや、今度こそ本物だから!!


 と、主張してたら…俺をスルーしてるし!!


 ラオめー。



 そんなやり取りで、心配から、足の痛みから、必死に目を逸らしているうちにようやく到着したみたいだ。


 地表への階段が見えてきた。


 うん?

 ロイス…何だよ。


「だから、コウ。

 俺はここまでだ。スレッド様から授かった任務があるんだ」


 一緒に行けると思って心強かったのに。

 ロイスの親分肌は昔からで、側にいるともう一歩前に行ける!

 そんな風にいつも思えるんだ。

 だから、今回も…と。


「コウ。

 これは、お前のくれたチャンスなんだ。」


 チャンス??


 何の事だ??


 んー。



 あー、まさかのアレかなぁ。


 パンプキンシードで『テーレッド』(テーレッドはネズミです)を懐かしたという奴だよな。


 アレは、たまたまで…。

 え?


 まさかのコレなの??


 首をゆっくり横に振るロイス。

「違うんだ、コウ。

 そりゃ、テーレッドを操る事はとても重要だ。

 だが、それより重要な事がある。

 それは、自分の可能性を知った事だ。

 それこそ、一番凄い事だと知ったんだ。


 今、ムルゼアは大混乱で避難の誘導も後手に回ってる。逃げ遅れや迷子が多発してるんだ。

 だから俺達は、逃げ遅れた人を探し出し、避難を誘導する。それにはテーレッド使いの俺たちにぴったりの仕事なんだ!!


 行ってくるな、コウ!」



 ま、眩しい。

 やるべき事を知った友人は、俺に背を向けると迷いなく来た方向に走って行った。

 その背中を見送っていたら、おぉ本当にテーレッドが後を一列に並んで駆けてくぞ!


 さあ。俺も…地表へ行くぞ!!

 俺のやるべき事を実行する為にな。


 。。



 ココは…。


 いったい??

(今、正直記憶を遡っている最中で…)

 俺のいる場所は、『ビノワ』のはず。

 確か本体は無傷だと言われた気がする…。



 ココ。

 焼け野原ですけど。


 もう、ぶっちゃけ無事な木を探す方が難しいこの状況で『無傷』とか。

 そりゃ…詐欺じゃない?


 俺が唖然としてたら、カリナが。


「でも、ここの気は整っています。本体を探しましょうよ!」って言うので手分けをする事に。



 俺は東側を探す事にした。

 だってさ。

 東側から、何か音がするから。


 カランカラン…かな。

 風鈴みたいな音に聞こえるけど、誰も聞こえないらしい。


 幻聴か?ヤバいよ、ソレ。

 もう、お化け系はお腹いっぱいだよ。


 頼む!!

 アレだけはやめてー!!


 でも。歩いて行くほど音は大きくなるな。


 発見!!

 アレだーー。


 見つけたのは、小さな木の子供で。

 ほら、大木の横にある未生の木だよ!


 小さな木は、高さ15センチくらいの小さなものだが、確かにココから風鈴の音が聞こえる!!



 もしかして…?


 燃えかすで隠れている木の根元を見ると、光ってる??


 触ろうと手を伸ばしたら、パカ!!



 穴。



 小さな穴が開いてます!!


 穴!!

 攻撃的すぎる!!


 す、す、吸い込まれるーー!!!




 そんな俺に気づいたルスタフも…

 そのルスタフに気づいたバリーも…


 そして全員が、綺麗さっぱり吸い込まれました!!


 吸い込まれる時にぎゅっと瞑った目を怖々開けて見えたものは…!!


 美しい並木道。

 白樺の並木道がぴったりかなぁ…。

(こっちの木は銀色だけど…な!)


 あ!!

 あの木達は大小様々な実を付けているけど、ソレだーー!!




 音の正体は、あの実!!


 カラン…カラン…カラン。



 葉も。

 幹も。

 枝も。


 そして、実も銀色。



 美しい銀色の並木道は不思議な音が響き渡っていた。




 触って分かった。

 この木は、結晶化して、いると…。


 弱まっている『ビノワ』を感じながら俺はこの道を進む。


『早く…来てコウ!

 。。

 もう、保っているのもソロソロ限界なの…』



 微かな声は、コウの耳には届かないまま…。



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