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ラオと再会!!

 ーコウ視点ー


 ムルゼアに近づくけど、レイバンは脇道へ逸れた?


 慌てる俺に「ラオの指示だよ。近くの小さな村で待ち合わせだ」とレイバン。


 いつの間に…。


 何気に二人は気が合うよな。

 ギルドで何度も組んだだけはあるよ。



 暫くして着いたのは、本当に小さな村。

 何度も通った道だけど、見逃してたなぁ。

 んー。


「コウ!!」

 手を振っているのは、ラオだ!

 久しぶりだよ。


 俺達は、話もそこそこに、ラオの用意したボロ小屋へ入った。


 え?

 中は…何だココ?



 台風が通りかかったら、即座に崩壊する雰囲気だったのに中は全く違う。

 がらんどうで何もないが、しっかりした柱が目に入る。


 でも一番の目玉は!!


 床の真ん中の扉だろうよ。

 だってさ、床だよ?

 扉って事は、地下室付きだよな?



 素早くラオが、何か石の欠片みたいなものを扉に押し込むと、おぉ、ピッタリ??


 カチ。

 と、言う音と共に眩しい光が広がった。

 そして…

 予想通り地下へと続く階段が現れ、全員で降りて行った。


 地下は、かなり深い。

 坑道のような場所に出る。


 そう。前世で言う地下トンネルかな?

 しかも、坑道の脇にまたもや扉が!!


 ラオに続いて全員が入るとようやく、ラオと向き合った。


「コウ。そして皆さんもこのスピードで到着する事の驚きと感謝をまずは伝えたい。

 本当にありがとうございます。


 恐らく、皆さんの想像を超えた事態が発生しています。ラドフオードでん…さんは、ウチの親父と前線へ向かいました。


 あの数は、異常だ。

 このままでは、新種の思う壺で。


 だから、俺はコウに頼みがあるんだ」


 俺は、緊張してコクリと喉を鳴らした。

 戦えない俺に出来る事って…。


「聞いていると思うが『ビノワ』の崩壊が最大の問題なんだ。

 このままでは、ムルゼアの民全てが危機的状況だからだ。


 コウ。出来れば『ビノワ』へ向かって欲しい。

 俺の得た情報では『ビノワ』の破壊は表面のみで本体は無傷だと言うのだ。


 行ってくれるか?」


 頷いた。頷いたけど…。


「大丈夫だ。コウならと見込まれたのだよ。

 恐らく『ビノワ』の主様にな。


 だが、俺はコウと共には行けない」


 え?レイバン??


 まぁ…無理ないよな。

 テーレントのあの場所の事も中途半端で飛び出したんだし。


 ここまで来てくれただけでも、有り難いんだよ。

 きっと…。


「コウ。誤解してくれるな。

 俺は自分に合った仕事場所へ向かうだけだ。


 ラドフオードさんは、俺に任せておけ。

 必ず、守るから」


 レイバン!!!


 。。ありがとう。

 我が儘を言う訳いかなかったから、言えなかったけど、義父さんが心配で。


 本当に。


「私もレイバン殿とご一緒します。

 魔力も完全復活しましたし、お役に立てるかと」

 ゼ、ゼンさん!!


「あら奇遇ね。

 私もあちらへ行きますね。

 特に毒水ならば、浄化は必要なはず。


 カリナ。コウ殿を託します。お願いしますね」


 アーリアさんまで…マジ嬉しい!!

(嬉しいけど…上司のカリナにそんな偉そうで大丈夫かなぁ…)


 三人と別れて、俺は『ビノワ』へ向かう事になった。

 自分に出来る事しなきゃ。

(焦る自分に言い聞かせて…)


 この坑道は、ムルゼアの地下道と繋がっていてあらゆる場所へ行けるらしいんだ。

 でも…網の目の様なこの場所は道案内が必要だそうで。


 そんな話を聞いていたら、目の前から懐かしい顔が!!


 ロイス達だ!!


「お久しぶりです。皆さんの道案内は僕らで勤めます。着いてきて下さい」


 おい!再会の挨拶も無しかよ!!


 ビゼーを先頭にしてレイバン達は気がつけばもう、姿がなかった。

 もう一回礼を言いたかったのに…。


「ふふふ、コウは相変わらずだな。

 そんな風に礼を言われたくないから、レイバン殿はサッと出発されたんだよ。


 それに…予断を許さない。

 恐らく、風鳥からの情報を集めて我々より現状を知っているのかもしれない」


 ロイスの言葉にハッとする。

 早速出発しようと言う事になりロイスの後を続いた。


「コウ。先程アーリアさんに渡してたのは、何だ?」


 あー。アレ。

 薬袋だよ。


 前世でも、あった緊急医療セット。

 それを真似して、俺の薬の積合せをコツコツと作ってたんだ。

 それに、ゼンさんには枇杷の果実酒。


 魔力の回復にはコレ。

 平気な顔で、するっと無理をする人だから。


 そして。

 レイバンには餅セット。


 あられ。

 氷餅など食料を。


 三人は、(気を利かせて)物凄く喜んでましたから。俺の袋ごと渡そうとしたら、アーリアさんに止められたよ。


 何でも、この袋は俺専用なんだって、さ!


 坑道を進みながら、俺はちょっとパンを千切って蒔いている。

(あ!別に帰り道とかの目印じゃないよ!!)


 考えがあるんだ…俺。



 急ぎ足に疲れた頃、ラオに負ぶわれそうになり慌てて避けると結局何故かカリナに背負われてる…俺。


 何故!!



 ダメージが大き過ぎて、立ち直れないかも…。

 カ、カリナ!!


 女性に背負われてる俺って…。

(これも緊張事態の為だ。為だから!!)



 ーちっさい鳥ー


 信用できない。


 輝くドームを見つめながら、米に目をやる。

 やはり、どれも膨らんで袋のようだ。


 全滅…この言葉がいよいよ現実になる。

 何度も覚悟した言葉とは言え、何とも言えない気持ちになる。


 沢山の仲間が倒れた。

 仲間同士で獣化して、共倒れになるのも何回も見た。だが、ここまで深刻ではなかった。


 ドドドド…。

 全く外の音は聞こえない筈のに。



 何が起こったんだ?

 ドームが。


 あんなにも悲願だったドームの終わりが突如としてきた。


 パリン…


 そんな音を聞いた気がする。


 割れた先にいたのは、このテーレントの主。

 ラゼと、不思議な少年だった…。

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