異変発生!!
ーとある視点ー
「このままでは、行き詰まる。
俺達も出るぞ!!」
止める人間を掻き分け先へと進む。
チラッと目が合った兄上は、微かに頷いている。
こちらを、お任せして大丈夫そうだ。
まあ…最悪。
あの子達がいる。
隣を見れば、ガイの顔がある。
ラオは、見えないから恐らくあの子達の指示に従ったのだろう。
コソコソやっていたからな。
だが。
間に合うまい。
テーレントにいる愛息子に想いを一瞬飛ばして、城を飛び出した。
この国を守るために。ハーフの居場所を見つけるために。
いや。愛息子との未来を守るためかなぁ。
結局、最後は自分勝手なのかもしれない。
土煙の横を風鳥が飛び去って行く。
テーレントの民のみが使う風鳥が…。
ーコウ視点ー
空は青く晴れて、俺達はあのじゃが芋擬きを試食中。
結論…すげーよ!!
これ餅じゃん!
根っこに餅がなるって。
とにかく、
甘辛餅
ずんだ餅
あんころ餅
ナメコおろし餅
そして納豆餅
あんまり取りすぎると悪いからちょっとだけ試食用。
配った餅に、ちっさい鳥まで食いついたし。
この鳥…大食漢らしい。
楽しいひと時、一羽の鳥の訪で終了となる。
風鳥
なんだろう…。
レイバンに伝言か?
レイバンが風鳥の持ってきた文を見て、真剣な表情で俺の方を振り返った。
これって…不味い話だな。
何だろう…。
予感は的中した。。
無言になった俺を、レイバンは馬に乗せ
「ミゲル!後を頼んだ。
ムルゼアへ行ってくる」
青白い顔色の俺を乗せた馬は、駆け出した。
後ろからスタンさん達の駆け出す音がした。
目の前を見つめる事で早くなる気がして、ひたすら前を見る。
もう。
緑の美しいテーレントが目に入らない。
だが、
後ろを駆ける幾多もの蹄の音に、感謝を寄せて。
『ムルゼアに、新種現る!『ヒバワ』に攻め入り
禁足地壊滅。
そのため…
毒水に侵された民が次々と倒れている。
その後、ムルゼアに見たこともない数の闇影獣迫る。ラドフオード様や親父も前線へ向かった。
迎えに行く…コウ。
頼む、ムルゼアへ来て力を貸してくれ。 ラオ』