現場へ急げ!!
ーコウ視点ー
俺たちは、知識の部族の長の部屋へと通された。
入った途端にレイバンが気が充満して、部屋にピリッとした何かが流れる。
何?
何事なんだよ…ビビるじゃん。
「すまない。
この事は我がテーレントでも秘中の秘なのだ。
その為、この部屋に防音効果を掛けさせて頂いた。まずは、説明だが…」
緊張感いっぱいのレイバンの説明に驚いていたら、更に驚いた事にレイバンが言い淀んでる?
そんな重大事なの?
すると、横から救いの手が!
「レイバン殿。
ここからは、私がお話ししましょう」
引き継いだのは、知識の部族の長だ。
「まずは、忌避された獣人のその後についての内容です。
獣人の姿で生まれる者のその後。
それは…
忌避する者達が力を持った時代の事で今の話しではありません。
ですが、あれは暗黒の時代でした。
今より沢山の獣人が生まれたからです。その者達を彼らは、とある場所に閉じ込めたのです。
幼い子供の頃にです。
閉じ込める為に掛けた魔法や気。
とにかく力技で幾重にも重ね重ねて。
やがてそのせいでしょうか。
その入り口さえ開く事が無くなりました。
たくさんの獣人のその後を知る者は誰もいません。何故なら封印されたままだからです。
その地の解放。
それはテーレントの重い宿題でした。
しかし…
それは、このテーレントの主様の復活でも。
テーレントの地の解放でも叶いませんでした。
もちろん、レイバン殿でも。
この度、開かれた場所こそ、『秘密の場所』と呼ばれる獣人の封じられた場所なのです」
な、なんと。
子供の頃って。
いくら獣人が優れた能力の持ち主でも、生き延びるのは中々困難だよな…。
でも。何で今?
テーレントに山や川が戻った時じゃないの?
疑問に思ったのは俺だけじゃなかったみたいだ。
「レイバン殿。入り口は何故今頃?
そして、入り口が開いたのを何故その様に恐れるのです?」
スタンさんの問いかけに。
「遥かな昔。
一度だけその地が開かれた時があったと伝わっている。ただ、その地は荒野でありその上。
開かれた後、テーレントの各地が一斉に荒野になっていったと言われているのだ。
その為、その地を人々は恐れているんだ」
なるほど。
レイバンの複雑そうな表情も、ミゲルの焦りも少し理解出来た。
うーむ。
かなり深刻な事件だな。
事件…。
事件と言えば…現場!!
は!!
「現場へ行こう。とにかく、現場じゃなきゃダメなんだよ」
あれ?
反応が薄いなぁ。
ここは、駆け出すとこなのに。
「。。。そうだな。。
確かにコウの言う通りだな。行ってみよう」
レイバンの一言で秘密の場所へ向かう事が決まった。
でも。
何故?
俺…お留守番とか。
「コウ。まずは俺たちが向かう。
その後、迎えに来るから待っていてくれ」
あ!
レイバンはトラッデの仲間を連れて部屋を出た。
何だよ。
俺の提案なのに…。
「信じて待つのも大切なの仲間のする事だと思います」
うっ!
スタンさんに、またもや撃ち抜かれた!!
ザ・正論…。
白旗を上げた俺は、早速料理に取り掛かる。
知識の部族の人とは、顔見知りだ。
外に大釜を用意して貰った俺は…。
炊き込みご飯を作る。
と、言うのも。
テーレントで最近採れるキノコ。
野菜などがいっぱい増えたんだ!
干し貝柱を入れるのがポイントだ。
鍋底に焦げを作って、出来たてを部族のお母さん達と一緒にお握りに。
だってさ。
レイバン達に差し入れだよ?
え?
ふふふ。
コッソリ行けばいいんじゃねえ?
行き先は。
門の入り口から覗いているアイツが知ってるはずだから…。
太郎ーー!
久しぶりだな。
後ろには、太郎の友達もいるみたいだ。
因みに、コガモ軍団は俺の懐に入ってついて来ました!!
すげーよ。お前たち。
小型化して懐に入って…更に着いたら元通り?
伸び縮みOKなの?
コガモ①がめっちゃ、得意そうな顔で俺を見てる。
ちょっと…笑える。
待っててくれよ。
行くぞー!レイバン達の元へ…
(現場は俺を呼んでいる?)