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この『酒瓶』なんだっけ?

ーコウ視点ー


崖の上で、ずぶ濡れの男5人。

前にも後ろにも道は無し。


美し過ぎる夕焼けの景色が目にしみるぜ!


はぁ。

話し合いの場に今度は(こそ!)参加したけど、いい案とか無いし。


やっぱ。暇…



レイバンがもう一度挑戦すると言うのをスタンさんが止めてるのを聞きながら、絵を眺めてる。


触ってみるけど、やっぱり単なる『絵』で。

触ってると、下の方まで『絵』が無い事に気付いた。


ん?

よーく見なければ分からないくらいの隙間。


そう。

丁度、カメが通れるくらい…。


ん??



もしかして、あの亀たちはここに入ったのか?

飛び出した後、姿を消したミドリガメ似のあの行列!!

気になってたんだよ。


俺は、近くに落ちてた木の棒でカリカリ削り始めた。

あ!!


亀だーー!

あの小さな頭は、そうだよ。

壁から頭だけ出しるし!


「おい。

こっち来い。


そうだ!!

何か餌をやろう、と。」


袋をガサゴソ探して良いものを見つけたぞ!


煮干し。(自家製だから!この世界はあんまり乾物に興味がないみたいでさ)


ほーら。


。。。



またか。

増殖したな。


亀の小山が完成とか。

あの隙間からゾロゾロ出たカメの奴らは、狭い場所に固まって『カメの小山』完成してたし。


た、足りません。煮干し…

あ!


後ろから押し出し方式とか。

どんだけいるんだよ?


仕方ないと。袋を探っていたら。



『頼みがある』


ん?

ルスタフか?


振り返ってみるけど、話し合いはまだ続いていて誰もこっちを気にしてないみたいだ。


じゃ、誰?


『地下道へ一緒に来てくれ。

治して欲しい方がいるんだ』


まさかの『カメ』?

一番上のカメだった。


甲羅の模様も微妙に他のと違うし。

リーダーか?


『こっちだ』



ふぅ。

ここでもか。


全く聞いてない。

俺の意見とか全く気にしてない!!


ポコっとか。

穴開けるなよ。


地面の穴は危険なんだよ!


ほーら。



落ちたじゃん!!

しかも皆んなに内緒でだよ。


(ま、間違いなくお説教だよ。最近、全員で一斉攻撃だから…)



『大丈夫だ。時は動いていない。

この出来事は、一瞬に過ぎないのだ』


な、なんと。

時が動いていないとか。。簡単に言うな!!


マ、マジか?



地下道は、見たことのない灯りで暗くはなかった。

そう。光苔とか言うのに似てる。


ほんのり明るい地下道は、奥に大きな空洞があるようだった。

暫く、カメの後を歩くと見えてきたのは。



大きな空洞に横たわる『大亀』

それは、いくら俺でも理解出来る威圧感のあるもの。


まさに精霊の王様のように。



『よく来てくれた。

さあ。アレをくれないか?』



アレ?


なんの事?

あー!煮干しだな。


袋から煮干しを取り出して差し出すと…



ビキッ!!


く、空間にヒビ入りましたよ!!

確実です!!


や、やばいっす。


煮干しじゃない。

ではと、出したのは『気つけ薬』



おぉ。

違いますよね。


わ、分かってます。



その後、苦戦の数々。

もういっそのこと、袋をひっくり返してぜーんぶ並べたかったよ。


袋から取り出す度に、洞窟自体が崩落の危機で。

その前に俺のメンタルが更なる危機だから!!


ど、どうしよう。

袋から、大抵のカメの餌っぽいのと。

薬の数々と。



出しましたよ!

。。出しまくったよ。。


やがて…首を横に振る事すら無くなって。



『もう良い。

最初から、人に頼るのが間違ってたのだ。

我らで解決する。


もう、送って行け…』



疲れきった『大亀』の言葉にショックを受けた。



呼んだのに…間違ってたなんて…。

。。

絶対。絶対やってやる。


俺。帰らないから!!

案内役のカメを無視して袋に手を入れた。


もう見ないで(出ろーー!)

念じて…そら!!



絶対出たな。


手の中のものを見て頭の中が一瞬、固まったよ。


コレなんだっけ?

酒瓶のように見えるけど。


覚えがないような。


『さぁ。行きますよ。

付いてこないと閉じ込められて永遠に出られませんよ!』


俺の動きを無視して、声かける案内役にムッして顔を上げると。


えぇ!


『大亀』が起き上がったし!!

か、帰らないからか?


や、やる気か?


俺の震える足とかまるで無視して『大亀』は、手の中の酒瓶に顔を寄せた。

(匂いを嗅いでる??亀って、鼻あったのか…)


『それだ。

間違いない。頼む。


それをくれないか?

先程の事は、詫びよう。


この大地の為に。それを』


『大亀』は、頭を下げて頼んできた。

ムッとはしたけど、頼んだ相手を無視するとかは無い。


「いいよ。ほら」

俺が手渡すと、一瞬酒瓶が宙に浮いて再び手のひらに戻った。


え?

また違ったとか言うのか?

俺、もうやだよ。


『そうではない。

もう中身は頂いたのだ。


それは、中身が増える特別な瓶。

その上、効き目は更に。


ありがとう。

これで湖と泉を繋げてられる。

お前たちにも道は開かれるだろう。』



へ?

中身が増える瓶?


いよいよ、コレの正体が気になるが。



考え込む俺は、いつの間に戻ったのか?

また、あの『絵』の前にいた。

(相変わらず皆んなは話し合い中で…やっぱり時は止まっていたのか…)


あれは…


頭の中に微かに聞こえた最後の言葉は…


『我に鼻はある。だが、その前に我はオオガメとかでは無いがな…』


その声に確かにその出来事があったと。

俺は確信した。


そんな俺の様子に異変を感じたルスタフが近寄ってきた。

「コウ。どうしたんだ?

『絵』を見てたと思ったら、呆然として。

何か見つけたのか?


あ!ソレ…」


ルスタフの声に、自分の手を見れば酒瓶を握りしめてた。


やっぱり、思い出せない。なんだっけ?

うーん。。


「なんだ。

思い出せなくて考え込んでたのか、焦って損したな。

(また、とんでもないものを引いたかと。)


ソレはな。

『薬酒』だよ。


ほら、『琥水』を零した泉から貰ったヤツだよ」



あーーー!!


そうだった。

完全に忘れてた。



俺が思い出した事に喜んでいたら、スタンさん達の方から何か声が聞こえた。


「「「湖が!!!」」」



俺が覗くと、湖の真ん中に大きな島が出現した。



あの形…



『大亀』にソックリのような…



あの『大亀』って…亀じゃなくて島なのか?


『それも違うが…』

そのツッコミは、俺の耳に入る言葉なかったが。

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