突破口は?
ーコウ視点ー
麗らか。まさに今がソレです!
日差しの差し込む野原でピクニック。
だったら…どんなに良かっただろう!
スタンさんの話から、ボルタの主様の仕業だと理解はした。
解決は全くしてないけど。な!
絵の中に閉じ込められたのを確認すると言って、レイバン達が張り切って森の中をウロウロしてる。
突破口を探してみると、森の中へ散っている。
俺か?
ふふふ。達観の境地よ!
。。。
はい!
嘘です!!
すみません。男の意地なんですよ。
だって、俺も色々探ろうとしたけど。
森って無駄に広いし。
まぁ。。正直に言えば疲れてダウンしてます。
(ほろほろ鳥の幼鳥も一緒にダウン中…コイツら何処に行っても必ず後ろにいるんだよ)
今、ヤツらは俺の身体を遊具と間違えて野放し状態で。
俺はと言えば、ボンヤリと森を眺めているだけで…。
(ルスタフだけは、謎解きせずに俺の横にいるんだよ!
やっぱ仲間だな。
イヒヒ。
体力不足とは、情け無いなぁと言ったら顔を見てため息ひとつとは。失礼な!)
間違い探し好きの俺は、森の違和感を探ってた。
だって、所詮『絵』。
必ず、変なとこがあるはず!と。
ジッーと見てたら、木から変な汁が出てるのを発見した。
側によると、木からミルクか?
舐めてみたら、美味い!
えーと。
前世で言ったら、コンデンスミルクか?
あー。パンにつけて食べたいよ。
なんでルスタフの顔が青?
え?
この『木のミルク』は毒があるって!!!
ど、ど、どうしよう。
俺。
あ!
確かに舌が痺れるような?
なんだか…もう目も霞んできたよ。
「ルスタフ。
俺…もうダメみたいだ。
もっと美味しい物作ったりしたかった…」
俺は、目を閉じて静かに…
。。。
ルスタフ?
こんな時に独り言か?
「おかしい。毒のある『木のミルク』をほろほろ鳥の幼鳥達が舐めるなんて考えられない。
まさか…」
幼鳥が!!
俺の真似をしてたからだ。
俺のせいだ。
産まれたばかりなのに。
「あはは・あはは」って。
まだ、元気いっぱいの声が、聞こえるのに毒なんて…。
まだ聞こえる。
う?
うん。
めっちゃ元気…な!!
俺は急いで目を開ければ、何とルスタフが『木のミルク』を舐めようとしてる最中だった!
「やめろ!!
ルスタフ。毒に当たったらどうするんだよ!
ほら、俺みたいに痺れて、口も回らなくなり目も見えなくなるんだぞ!
あ!!
言われたそばから舐めるなよ!
馬鹿ルスタフ!!」
笑顔とか。
完全に俺は怒ったぞ!
毒だって言った本人が舐めるなんて、馬鹿丸出しだよ。
え?
元気そうだって?
。。。
アレ?
俺の痺れとかすみ目は?
「思い込みやすいコウならではの出来事だな。
『木のミルク』は本当に毒があるのが普通なんだ。
ここの森は、どうも違うようだな。
俺も舐めたが何とも無い。
それにだ。
『ムーラ』のほろほろ鳥が毒を知らない筈はないからな」
な、なんと!
ルスタフがレベルアップしてるし。
(く、悔しくなんて無いし!!俺にはコガモ軍団が付いてるからいいんだ!!)
確かに。
コガモ軍団は、相変わらず俺で遊ぶ使命に燃えているし。
良かったと二人でため息をついたところでレイバンが戻ってきた。
「ダメだ。どこも出口がない。
どうやっても、抜け出せない」
レイバン。頭に葉っぱが付いてるよ。
よほど、茂みの中を探したんだな。
皆んなが揃うも、解決策がないで意見統一した。だけで。
「絵なんて日頃から触れないものだけに、ヒントもないよ。
スタン殿。他に伝わっている事はないか?」
レイバンの問いかけに申し訳なさそうに首を横に振るスタンさん。
『絵』ねぇ。
まあ、俺は嗜んでいるけどな。
「もしかして、皆んなで絵を描いたらヒントがあるんじゃ?
ルスタフ。
甕の爺さんから顔料を貰ってたよな?
アレ。今回使えるかも」
ルスタフがハッとした顔で取り出した顔料の甕。
小さ過ぎ。
おい、爺さん。
こりゃないよ!!
ちょっぴり過ぎて、使えない…。
ため息混じりの俺にルスタフがびっくり発言で。
「この甕の中味は減りません。
その上、筆を入れると頭に思った色が筆に乗っていて。
だから、思った通りの絵が描けますよ。」
ええーー!
何の色でも、自由にチョイスとは。
爺さん、やるなぁ。
全員で絵を描くには、無理があるとレイバンが嫌がり(きっとヘタなんだな。ふふふ。レイバンに勝てるものが出来たぞ!)俺とルスタフ二人が代表で描く事になった。
俺は…。
真っ白な紙を目の前にして俺は久しぶりに珍しく迷ってる。
いやぁ。
こんなに美しい風景のどこをとっても美しいなんて、描くに描けない。
綺麗過ぎて描けないんだよ。
あ!!
俺いい事思いついたぞ。
よーし。
俺は、それから時を忘れて必死に描いた。
丁寧に。
そうじゃないと。
俺の目的が達成出来ないからな!
ルスタフが描いた風景を皆んなに見せてる。
俺もかなり時間をかけて描いた絵。
白い紙にぽつんとひとつ。
「コウ!これ何?」
ルスタフの訝しげな顔。
俺はそんなルスタフの言葉に一言。
「みち教え」と教えたら。
おー。全員がキョトンとは!
俺の名案。
それは絵の中の空間にいるだから、自分の絵もこの空間のように…本物になる筈!
だから、描いたのは最終兵器。
その名もズバリ!!
「ハンミョウだよ」
更にキョトンか?
まさか、この世界にハンミョウいないのか?
それじゃあ。
とにかく実演あるのみだな。
白い紙を揺らして「ほら、出ろ!!」と。
「「「ああーーー!!!」」」
背後から悲鳴が上がってる?
白い紙から飛び出した「ハンミョウ」は、俺たちを振り返りつつ前へ前へと進んだ。
おーし。
(珍しく)計算通り!!
あ!
ハンミョウの後に何とほろほろ鳥の幼鳥が続いた?
もう巣立ちか?
「コウ!黄昏てる場合じゃないよ。
恐らく、この『ハンミョウ』とか言う虫が道案内をしているから大丈夫だと。
それをコウに教えようとほろほろ鳥の幼鳥は後に続いたんだ!」
コガモ軍団!!
今は…
あの笑い声も今は耳心地よいよ。
とにかく!
俺たちは『ハンミョウ』の後に続いた…。
見えてる出口とは、全く違う方向だけど?
木々の中を無理矢理進むと。
絶対無かった筈のトンネル?が!!
(驚く全員が今。再び不安になったぞ。
だって。サイズがなぁ…)
そのトンネルは、入り口はデカイ。
だけど…先が絶対人間サイズじゃない。
もしかして、『ハンミョウ』サイズ?
俺たちが立ち止まっているけど、コガモ軍団は躊躇なく進むよ。
仕方ない。
母さんの役目か。
俺もそのトンネルへと入った…。
(はぁ。俺のペット達って。何か自由…)




