ツチノコか?違ったよ…
ーコウ視点ー
ギ、ギブアップ!!
すみません。
モグラよ。早すぎるって。
今や座り込んだ俺の足は、今や生まれたての子鹿だ。
はぁ。
そりゃ、こんなセリフ聞いた事はあるけど自分が当てはまるとなると心境は別で。
な、情け無さでいっぱいだよ!!
(だからと言って立ち上がれるとかは無い!!
…スポ根漫画好きだったんだけどなぁ)
心配そうに顔を覗き込んでる?んだろうモグラよ。顔近いって!
ちょっとじっくり見ると怖いし。
目はどこだ?
(サングラスは、漫画だけだな)
「コウ!強い味方を連れてきたよ。
ほら、コレに乗れば大丈夫た!」
レ、レ、レイバン??
コレって…まさかの『アリーーー!!!』
デカイからジッと見ないと分かんないけど、真っ黒な姿とか見ればそうだよな?
「違うよ。レレだよ。
ほら、地面に列なして歩いてるの良く見るだろ?」
あー。やっぱりアリだな。
そうか。こっちの世界では『レレ』か。
ちょっと名付けが変だな。
可愛いし。
え?
何だよラオ!
名付けに俺の意見がいらないって?
俺のナイスセンスは、有名なのになぁ。
プレストンさんなんか、俺の名付けたメニューにいつも笑顔いっぱいなんだぞ!!
『レレ懐く珍し。お前凄い!』
おや?
そう言えばレイバン。
どうやってアリを懐かせたんだ?
コレ…まるでポニーのように引かれて来たから違和感なかったけどさ。
「ふふん。まぁ俺の特技ってとこかな。
さあ。乗って出発しよう!」
いや。乗るけどさ。
目的地とか無しで進むのはな。
モグラ…絶対単なる当てずっぽ作戦だよな。
このまま進んでも…な!
では…、
まずは、ここはインタビューからだな。
情報がなきゃ。
「あのさ。君たちは『あるもの』を見たことあるの?」と俺。
『見た。でも、分からない』とモグラ。
??
うーん。モグラはお喋り苦手かー。
「じゃあ。『あるもの』を知ってる者達を見た事あるの?」
まずは、知ってる者の情報は?と。
『ある。滅多に見ない者達。
珍しい。』
お?やっとちょっと近づいたか?
うーん。珍しい奴らか。
「どんな形の者達なんだ?」
『。。。』
ダメか。中々難しいなぁ。
「前にそいつらを見た場所へ行けるか?」
ど、どうだ?
『行ける、ソコ行くのか?』
おお!!やったぞ。
ヒントゲットだぜ!!
やっと行き先が出来たよ。
俺はちょっとおっかなびっくり、アリに乗り出発となった。
アレ。
このスピード?
俺が歩いていた時の何倍ものスピードだぞ。
これじゃ。幾ら何でも。
アーリアさんとか。ラクとかが大変じゃ…。
…あー全然問題無しなんだ…。
(棒読み…)
やがて猛スピードの我々は、天井に穴が開いている場所に出た。
あ!
モグラ?
どこ行くんだよ?
まさかの置き去り??
。。
どうやら明るい場所で無理になったみたいだな。
モグラ達の姿は、あっという間になくなったし。
はぁ。
どういう者達か知らない俺達だけ残ったってさ。
間違いなく無理ゲーだよ!
上を見上げると天井は高くて穴から薄っすら光が差し込んで来るなぁ。
こんな場所に住んでる珍しい者達って誰なんだ?
こんな時は、と!
皆んなの方を見れば…
スタンさん達は首を横に振るし。
アーリアさんまでため息か。
ダメかあ。
珍しい…土の中の生き物。。
!!!
も、もしかしてツチノコ?
ほら!
良く探してるし。
あの幻のツチノコなんじゃ…。
うぅーー。
俺の身体中からエネルギーが湧いてきたぞーー!
俺。あの番組好きだったんだよ。
ほら、幻のものを追いかけるヤツだよ!
ふふふ。
この俺が第一発見者とか。
やる気を急に出した俺をラオがジト目で見てるし。
ま、とにかく仲間にツチノコの説明をして。と!
あ!ルスタフが最近俺に変わって絵を描くんだよな。もう!
せっかく俺が書こうと思ったのに。
あんなに忠実に絵にされるとなぁ。
土に書かれた絵を見つめたレイバンがため息をついたぞ?
何か知ってる?
「これはデデンだよ。何処にでもいるって」
ええ?
『デデン』って。
ツチノコ探検隊は、もう解散なのか!!
ガッカリした俺はまたもや座り込んだ。
だってさ。行き先がわからない。
探すものも分からない。
ヒントすら逃げちゃったし!
(ツチノコでガッカリしたからじゃないから!
ほ、本当だから…)
「コウ殿。ため息つくより一休みにしましょう。
休憩は、人には大切ですもの」
アーリアさんの言葉に俺は気を取り直す。
せっかくレイバンが連れてきてくれた『レレ』達
(アリ)なんだから甘い物をやらなきゃな。
お礼にな。まぁアレしかないか。
土の中では、火は使えないから。
まぁ。申し訳ないけど。
はい。飴。
袋から皆んなにも、飲み物を取り出した。
今日はチャイ。
濃いめの紅茶にミルクを入れて、最後に香辛料のシナモンなど。
作り置きしといて良かったよ!!
ミントティーも出そうっと。
これも、生の葉っぱを千切って紅茶と氷砂糖を入れて(もちろん、作り置きさ!)
あれ?
何かいい匂いするなぁ。
あったからだ。
俺は、後ろの方を振り返った。
もしかして土の中にも美味しいものがあるとか?
キョロキョロする俺に、ラオが。
「おい。何を探してるんだ?
突っ走るなよ!俺達にも走る前に言ってくれよ。
頼むから…な。」
ま、不味い。
マジもんのラオの頼み事だ。
あれが出た時は、いっぱいいっぱいの時のラオだ。
「いや。いい匂いするからさ、気になってさ!」というや否や…
「コウ殿ー!!」
アーリアさん。飛びつくのヤメテ!
驚くっしょ!!
「その匂い。間違いなくヒントです!!
その方向に行きましょう!!」
めっちゃ勢い込むアーリアさんにビビるし。
とにかく勢いが凄すぎて反論とか、全くする余裕もなく俺を先頭に匂いの元へと向かう事になったよ。
ゆっくり歩く俺達。
匂いを辿るのは、意外に難しいな。
やがて、段々と強くなるその匂いの元へと。
あれ?
間違いなくこっちなんだけどなぁ。
暫く行くと、トンネルが行き止まりだった。
(間違えたかなぁ…)
茶色の壁に阻まれて全く進めないし。
壁を触ってみると。
フサフサ。
気持ちいいかも!まるで、毛皮みたいに…。
。。。
「レ、レイバン!!
これっ」
言いかけた俺の目の前の壁は、やはり急に暴れ出したよ!
びっくりして動けない俺をレイバンがサッと横抱えてにして飛びすさった。
危なかった…。
壁は、巨大な猛獣だった。
暴れてるし。
恐ろしいそそり立つその姿が恐ろしいよ。
頭なんて全く見えない。
鳴き声らしき声が重なり合い、耳が!!
(群れでいるのに違いないけど)
いや。集まって来てるのが正解か?
不味いぞ。
もしかして、フサフサは『あるもの』の守り人なのか?
俺達は、怒りに触れたのかもしれない。
『ムーラ』は、精霊と共に住む国なんだとか。
もしかして我々人間の知らない掟を犯したの…か…?
怯える俺をよそに、
俺以外の全員が武器を構えて臨戦態勢にいた。
レイバンも真剣な表情で前を見つめてる。
あ!
匂いが急に強くてなったような。
その時、暴れる茶色の壁の隙間から何かが、見えたような…。
丸い球?
透明の丸い球が沢山あるよな?
(あれさえ割れば…)
何?
誰?
(あれを割って!)
アレ?
丸い球か?
割る…吹き矢か?
俺はポケットの中の箸を掴むと投げた。
パンーーー!!
パンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパン!!!
連続する音は透明の球が連続して割れてい音に違いない。
だけど。
その先どうなったかは、後から知る事になる。
何故なら…そう。
俺の限界突破により…ブラックアウトしましたから!
耳が。
耳が痛すぎる。
聞こえなくなったら、どうするんだよ!
消えゆく意識の中。そんな事を怒ってみたりしたが。
その時。
微かに(ありがとう)と聞こえた気がしたが。
気のせいだな…たぶん…。
女性の知り合い居ないし…な。