縮むって…大変…。
ーコウ視点ー
今、目の前に網の目が!!
これが葉っぱの葉脈かぁ。
いやぁ。こんな風景に出会えて幸せだよ。
ふふふ。
ふふ。
ふ。
言うか!!そんな事を!!
何?
この巨岩や山のような根っこ?それに、一番邪魔なのがこの葉っぱ!!
網の目まで見えるけどさ、とにかく歩くのには
この道は適さないよ。
縮んだ俺が出会ったこの森の姿は、困難極まる登山家の心持ちでさ。
体力不足は、どうやらまたもや俺一人。
アーリアさんは、年を完全に超越してる怪物だと理解しましたよ。
とにかく、嬉しそうに笑って進むのはヤメテ。
怖いよ。
豊か過ぎる森の出口など、何にも見えないし。
子猿?も姿がない。
あ!!
まただ。
「コウ。その穴には気をつけてくれよ。」と、ラオ。
「やっぱり、俺が背負った方が」とルスタフ。
そして、トドメは
「俺の背中に乗って飛んで行こう!」
レイバン。
あのな。
人様の国に入るのに飛んで行くのは、不味いしょ。
それにどうも、それでは辿り着かない気がするんだ。何となくだけど。
でも、心配性が酷くなって困る。
俺。いっぱしの男なんですけど。
それと言うのも…この『穴』が悪い!!
これ。多分前世で言うところの『アリの巣』的なヤツだよ。
身体が縮むまで気づくかない沢山の土の上の戦いがあるよ。
まぁ、先導のスタンさんがバッサバッサと襲いかかる虫たちを倒しながら進んでるんだけど。
しかし、アーリアさんは物知りで自称ラクゥドさんより『ムーラ』への道を知ってるなんて。
って言ったら、ラクさんが(長過ぎて名前縮めた。ちょっと嫌そうだったけどな)『身体が縮んだせいだ!』とか叫んでた。
最近、ちょっと不安定だな。
やっぱり、懐かしい故郷へ帰るからか?
穴を避けて進んでる俺達にも、休憩は必要で。
(いや。俺が疲れたせいじゃないから!)
ご飯作る元気もない珍しい俺は袋から何か作り置きをと探していたら目の前に美味しそうなもの発見!!
これって…。
よく見れば茸の宝庫のような…。
前世では毒キノコかどうか判別つかなかった俺だけど、こっちでは一発!
いやぁ。だってさ毒キノコは青く光るのよ。
そりゃ誰でも分かるでしょ!
え?
光らない?
いやぁ。目が悪いんだな。
眼鏡…いやこの世界には無いんだ。
それより、この茸を料理しようっと!
さっきまでの疲れなんてなんのその。
美味しそうな食べ物は料理人の喜びだから。
サラダを作って、茸炒めて味付けしたのをかける。自家製マヨネーズを炒める最後に入れるのがコツ。
ジャーン。『アツアツサラダ』だよ!
それと。
やっぱ『茸スパゲティ』は外せないしょ!
紫蘇っぽい葉っぱも見つけたし。
細ーく切ってかける。
あぁ。大根おろし添えて。
(お好みで)
それと、
椎茸っぽいのは、炭焼きが良い!
瑞々しい椎茸から沢山の水が溢れてジュージューいってる。
うーん。いい匂いだぁ。
お?
料理作ってたら、元気出たし。
皆んなでワイワイ食べるのが最高だな。
しかし。
アーリアさんの大口は凄いな。
最近、逞しさがちょっと…な。
チクチク。
ん?
あ!また虫か?
やたら沢山の虫が出て来るし。
振り向いたら、そこには『ハリネズミ?』
えー?
この世界にもいたのか?『ハリネズミ?』
「お初にお目にかかります。
お名前は、兼ねてから聞いております。
コウ様。何卒、我らをお助け下さい!」
おぉ。
マジか。
俺より丁寧な言葉遣いって。
ハリネズミ?って頭いいんだな。
え?
あー。そうだよ。
最近あんまり多いから、慣れてきたけど。
ハリネズミ?って喋らないんだった。
あ!それより頼み事って?
俺…料理人なんだよ。料理かなぁ?
「探し物なんです。
この森がこんなになったのは、『あるもの』が行方不明になったから」
『あるもの』?
「はい。
何かは、分からないんです。
それを知っている者も行方不明なので。
でもヒントはあります!!」
あ、危ないものじゃないよね?
「あ!それは大丈夫です。
『あるもの』は土の中にあると言うのです」
つ、土の中って。
息出来なきゃ、俺…無理よ。
「この者達がご案内します!こちらです!」
『穴』ーーー!!
ポコっとするなーー!!
あんなに気をつけたのに…結局落ちたーーー!
案内人?は、アリ?
正解は…モグラでした。
きょ、巨大だけど。
「オラたち。待ってた。
行くど。」
へ?訛ってる??
ズンズン進む土の中のトンネルにいる俺。
(今度は仲間も一緒だったから、まぁいいけど。
でも…また歩くのかぁ…)
トンネルの先は、巨大モグラで全く見えない。
それにしても在りかを知ってるのか?モグラ。
「分からんだ。でも。行く。」
へ?
それって。
いやーー!
待ってくれーー!