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「ただいま」「おかえりなさい」

誤字脱字をいつもフォローして頂きありがとうございます。

あまりの誤字脱字に時折(いえ!いつもです…)深く反省しています。

(改善がかなり不十分ですが)


今一度、編集をいたしました。

ルスタフのシーンが中心です。


いつもお読み下さる皆様に本当に感謝、感謝です。


バサ!


バサバサバサ!!



??


何の音だ?

目覚ましにしては変な音だ。


まるで鳥が飛んでいるように…え?



痛みに挫けていた俺は、ハッとして目を開けた。

まぁ、薄っすらだけどな。


目の前のフサフサは?

何かの羽なのか??


手で撫でていたら、上の方から声がした。


「コウ!目が覚めたのか?

良かった。かなりの深手だったので心配したんだ。」


レ、レイバン??


でも、この『鳥の羽』って?


やっとこ少し顔を上げて見た俺は、結構な怪我の割に「ひゃーー!!」と叫んでしまったよ。


高度がさ。

ちょっと人間のいる場所では無いよ。



下に雲が見えまーす!!


こんな空に何故俺がいるかと言うと、鳥人間に変身したレイバンの背中に負ぶわれているからだよ!!



えーー!

怪我人って、普通布団に寝かさないかぁ?


これって…。



「コウの出血はかなり酷くてな。

治癒出来るのは俺だけだったんだよ。戦いながらになると、コウの身体に障るだろうから上空から攻撃をな。


まぁ今回は、片がついたよ」


片がついたよって…何?

あの圧倒的な闇影獣の攻撃を跳ね返したの?


そ、それより皆んなは俺を囮にされて…


「心配ないよ。皆んな無事だ。

それより、もうそろそろ地上へ降りるぞ。

ラオ達がかなり心配してたからな」


ラオ!!

皆んな!!



良かった。これでちょっと意識失っても良いよな。


正直、痛いし怖いし。


もう…無理!!




ふんわりした意識の中で、誰かの言い争う声が聞こえた。

ルスタフかなぁ?


相手は…?



「だから、この傷薬を使って」


「何度も言うが、コウの傷は全快している。

俺が治癒したから大丈夫だ!」


「あ、あんたは治癒なんて出来なかったろ!

それに。

まだ目も覚まさないじゃないか!


あれから、何日も経つのに…」


な、何日も経つ〜?

ぼんやりしていた意識が完全覚醒して、俺は慌てて起き上がった。



「何日もって?

俺、ずっと寝てたのか?


誰か起こしてくれよ!」



起き上がりながら、文句を言うと周りの状況がどうも変な様子で…。

ラオは、びっくり顔で固まっているし。

スタンさん、疲労感が物凄くて。


そして、ルスタフは半泣きで窶れていて。


余裕の笑みなのは、レイバンだけで。



あーーー!!

レイバン!!



は、羽?


「やっとちゃんと意識が戻ったんだな。

かなりの重傷だったから、心配したぞ!」



いや、心配って。その笑顔でか?

自信満々じゃんか。



いやいや。

ツッコミより重要な事があるよ。

背中にデッカい羽がありますよ!!



鷲になったレイバンは確かに見たけど、鳥人間のレイバンとは初めましてだし!



「まあ、色々あってな。

まずは、ただいま。遅くなって怪我までさせてしまったな。申し訳ない。

これからは、俺が隣で護衛を引き受けよう」


レイバンの笑顔は、以前と違った。

晴れやかとも違う。



そう。



大人の余裕って言う感じかなぁ。



いや。

もっと大きい人間の雰囲気がするなぁ。

(なんとなく探偵心が疼くよな…)



でも。

とりあえず、


「おかえりなさい」


だな。レイバン!!



ールスタフ視点ー


『ルーゼン』へ乗り込んだ俺達は、豪華な宿屋での宴会の翌朝。



それは起こった。



無論、予測はしていた。


何せあの『ムーラ』の復活とくれば、あの新種が見逃すはずもないと。



新領主のルザーニヤ様の備えは万全で、国境の壁はかなりの防御力を誇る。

その上、街の住人が避難体制も万全のようだ。


それにコウも…

俺の不安はかなり減った。


それは、勿論コウが避難を了承してくれたから。

ラオ殿の強い意見を聞いてくれて良かっ…


な、なにーー!


なんでなんだ? コウが戻って来るとは!!



なんと、治癒担当とか言って戻って来たとは…。


ラオ殿と言い争うも、結局コウの薬に頼らざるをえないのが実情だ。


それほど、今回の戦いはヤバイのだ。


俺は、前線へと向かうスタン殿から小声でこっそりと指示を受けた。


『いいか。前線が崩れた時は必ず伝令を飛ばす。

二人は、すぐさま避難してくれ!

必ずコウ殿を避難させてくれ。頼んだぞ!』


微かに頷く俺の目だけは、真剣だ。

コウに悟らせないように。目だけ…。

無論、スタン殿の目も覚悟を決めた男の目だった。


それから…。


激しい戦いは続いた。

前線は、いかばかりだったろうか…。

爆音は激しさを増すばかりで、地鳴りのない時がない様子からかなりの激しい戦闘が容易に想像出来た。


それは、こちらでの怪我人の多さでも理解出来た。

次から次へと。

運ばれてくる怪我人には、軽症は少ない。

重傷な怪我人の治療は時間との戦いだった。


本当に、コウの薬は凄いんだ。

(劇物ほどの不味さだが…)


これほど優秀な傷薬でなければ、助からなかった者が多数出たのは間違いない。

必死の治療の末でも、身体の一部を失う者など多数出ている現実は、コウにかなりの心理的負担を与えいた。


『もっと優秀な薬なら…。』


繰り返されるコウの呟き。


。。。。


馬鹿だ。

前から思っていたが、やっぱり馬鹿だ。



コウ!!



お前は、自分の薬を何だと思っているのか?

コウの薬自体は、あり得ない実力を発揮するものでそのお陰で助かった命の数は驚くべきもので!!

もし、薬かなければ…。


どれだけ、皆がコウに感謝しているか。



それでも、戦いを知らないコウだ、

現実の悲惨な状況が堪えているのも、無理もないと言えるかも知れない。


前線で戦う仲間達を想う日々の中。


募る不安が決定打となる日が来てしまったのだ。



それは、


伝令が持ってきたある報告からだ。


しかも。伝令の腕は…。


精神的に限界が近かったコウが俺に頼んだ願い。


コウから離れるべきなのか。

だが、断ればコウは恐らく…。


俺はかなり悩んだ末にコウの願いを受けて前線の偵察に出る決意をした。

苦渋の決断だった。



だったのだが………。


この決断を俺は後でどれほど嘆く事になるか。

どれほど、後悔する事になるか。

その時の俺に言ってやりたい。


コウの枕元で何遍そう思っただろうか。

目覚めないコウに付き添いながら。


あの時を何度も思い返していた。


そう。俺はなんだか嫌な予感がして振り返ったんだ。

すると、俺の耳にコウの呻き声が微かに聞こえた。

(身体能力の高さが俺の特徴だから聞こえたと思う)


急ぎ戻る俺に気づいたラオ殿達も続いてコウの元へ。



そして。


戻った俺達が見たものは…。


真っ赤に染まったお腹を押さえたコウを鋭い爪で掴んでいる新種だ!!


苦痛の表情でグッタリしたコウ。

言葉を発する事も出来ない有様。


あの光景は未だ忘れられない。

何故なら、あれから毎晩魘されて目覚めているからだ。


真っ赤に染まったコウに手を伸ばしても届かない夢で…。



新種に脅されて武器を手放そうとしている俺達の前に、信じられない者が現れた。



それは大鷲。


空からこの大鷲が降りてきた時は、正直詰んだと思った。

コウどころか、俺達全員が詰んだと。


だが、大鷲の正体はなんと、レイバン殿だった。


それからの戦いはほんの一瞬だった。

あっさりと、新種からコウを取り戻したレイバン殿。その新種に対する戦いは『蹂躙』そのもので。


もう、コテンパン。


僅かな隙をみて、ボロボロになりながら新種は逃げて行ったのだ。


そして、

コウの傷を癒しながら、あっという間に他の闇影獣の殲滅を上空で終えたレイバン殿。


信じられなかった。

あれが、あのレイバン殿なのかと。


治癒と攻撃という真逆な力を使えるなんて。

それも、空高く…。



後でレイバン殿から聞いた話では…


「俺の一番力の出る状況の方が、治癒能力を高められるから。

それが鷲の姿だっただけだ」


と、クールなその言い方で答えてくれた。

(あまり理解は出来なかったが…)




コウが目を覚ますまでの生きた心地の無い日々はもう二度と体験したくない。


護衛をレイバン殿が引き受けようと俺の決意は変わらない。


今度こそ。

今度こそ必ず…




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