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神殿の発表とは?

ームルゼアのある日ー


「聞いたか?あの話を」


「あぁ。聞いたさ。でもお前あれは噂でしかないらしいぞ!」


「いやいや。噂は本当だったって俺は聞いたぞ。それも、今日発表があるらしいじゃないか!」



今、ムルゼアでの話題はただ一つだ。

それは、女神セレーネを祀る神殿の中枢である本神殿が閉鎖されると言うもなのだ。


噂には、尾ひれが沢山ついていた。

だが、ここにたった一つの真実がある。

それは、本神殿で本日『重要な発表がある』と言うものだ。


何でも永らく旅に出ていた巫女姫カリナ様が御帰りになり、その発表をすると言うものだ。

無論、ムルゼアに限らずどの国でも話題になっている。暗部も大量に流入しているのもその理由だ。



本神殿の前には、早朝から沢山の人が押し寄せていた。


本神殿の階段の上に、一人の人間の方姿が現れた。巫女姫だ!


『皆様。今日は我が神殿の発表を聴くために沢山お集まり頂きありがとうございます。


本神殿は。

いえ、各地の神殿も本日を持って閉じる事になりました』



怒涛のような叫びが上がって、騒然とした雰囲気になる。

だが、無理もない。


『閉じる』とは?

女神セレーネ様を祀る神殿が無ければどうなるのだろう。

人々の戸惑いも当然の事だ。


『これは女神セレーネ様のお告げによるもの。

その内容を今、お伝えします。


セレーネ様は…


[この世界は、本来の姿を取り戻そうとしています。その力となるのが我が身の使命。

神殿は、その為の力となるべきもの。


今、キヌルで禁足地の一つが軛から解き放たれました。ヨーゼストでも。


そして、遂に『ムーラ』が復活します。]



お告げに従って、各神殿は本来の姿に戻るのです。人々の生活の中に入って、その力を尽くす。

それこそが女神セレーネ様が望む事だと』


静まり返る群衆の中から、二人の青年が進み出た。


『我が名はラシェット。

この国の王太子なり。


我が名の元に、この本神殿を預かる事になる。

母なる『ビノワ』の主の名に掛けて、この神殿を守ると約束しよう』



騒めく群衆は、口々に王太子を見た驚きと、受け入れ難い神殿の未来に戸惑っていた。


その時!



ピィーーー!!と鳴き声と共に空を埋め尽くす鳥達がやってきた。

誰もが空を見上げたその時、



ぽつ。


ぽつぽつ…ぽつぽつぽつ…。


ふわりと優しい雨が降ってきた。


「あれ?これ雨がだけど、雨じゃない!」


との誰かの一言に。


「この雨は、慈雨。

そう。ムーラの精霊が力を取り戻した証。


酒の雨なり!」


ラシェットの言葉に群衆は空を見上げて口を開ける。


ペロっと。


「「「酒!!!」」」


何人もの叫びは、群衆の叫びであったのだろう。

空を埋め尽くす鳥。

そして、慈雨。


『禁足地が解かれ、本来の姿を取り戻す』意味がジワジワと頭を巡りだした。


「ピィー。ありがとう!」巫女姫のかけ声に鳥達が空の彼方へ消えて行くのを見送ったその頃には、誰もが納得した。



精霊がこの世界に戻ったのだと。




本神殿は、解放されその役目を変えた。


『ジンザイハケン』



大繁盛をする『ジンザイハケン』勤めの神官達は大忙しの毎日となった。


ただ…。


聞き慣れないその言葉の意味知った者達は、一度は必ず仰天したらしいとか…。





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