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ゴロンゴロン?

ーコウ視点ー


「ゼン様!ザッパが倒れていたんです。

船上までお願いします」


駆け込んで来たルルドさんの言葉に、大豆の素晴らしさについて熱く語っていた俺はそのまま口が開けっ放しだよ。



倒れていたとは?


全員が船上へと駆けつけるとザッパさんは、完全に意識のない状態で倒れていた。

ゼンさんが素早く怪我の有無を確認したが、その心配は無い。

では?


ゼンさんを見れば、難しい顔をしているけど。


「怪我は無いが、病気などの疑いも考えられない。意識を取り戻すまで待つしか」

「あ!良いものがあるよ。

ほら、『気付け薬』だよ!これなら、ね!」


アレ?賛成意見が出ないなぁ。


「な!ルフタフは知ってるよな?」


ルフタフ…首が限界だよ。

目を逸らす為に、筋違いを起こすから、さ!


もう!


「ゼンさん。これを!」


袋から出した『気付け薬』の蓋をゼンさんが開けた。


ん?


ゼンさんが、フラフラし出したけど。

やはり。何か毒性の風が何か吹いたのか?


え?

匂いがする?


なんの匂いかなぁ。

川とかには、何かいるのかもしれないな。


考え込んでいたら…


ゲホッゲホッゲホッ!!!!


物凄く咳き込む音に、目線を上げるとザッパさんが目を覚ましていた。


良かった。

『気付け薬』やっぱ効くな。

オリドさんが欲しがるな。こりゃ。


振り返ってオリドさんを見ようとしたら…周りにはだーれも居ない??

どこ行ったんだよ!


あ!下へ降りる階段近くに固まってる?


その間も、ゼンさんがザッパさんを介抱していた。

何度も何度も、咳き込んでいたけどようやく治ったみたいだな。

『気付け薬』が気管に入ったか?

あれはかなりキツイ。


「ザッパよ。体調に問題があるのか?

倒れた時の記憶はあるか?」


ゼンさんの問いかけにザッパさんが答えた。


「ゼン様。実はよく分からないんです。

見張りの為に、甲板をグルグルと回っていたら突然何かが船上に放り込まれる音がして…」


再び、ゼンさんが尋ねた。


「それが頭にどこかに当たったのか?」


岩を誰かが投げつけたのか?

じゃあ頭に怪我があるかも。


「いいえ。恥ずかしながら驚いた拍子に足を滑らせて転んだのです。

その時、頭を少々打ったかも知れません」


スタンさんが一歩前に出てザッパさんの頭を調べたらタンコブがあったみたいだ。


「確かに後頭部にタンコブがあるな。

このくらいなら、恐らくコケた時のものに違いない」


スタンさんの言葉にホッとするゼンさん。

もちろん、本人が一番喜んでいる。


「さあ、ザッパ殿はこのまま部屋で休んで下さい」

スタンさんの指示にザッパさんに付き添ってルルドさんが下へと降りた。


俺達は、飛んで来たと言っていた物があるなら甲板に落ちてるだろうと。

手分けして調べる事になった。



特に何も見つからないな。

全員がしばらくして集合したけど、だれにも発見は無かった。


「川から時折魚などが甲板に上がる事がある。

恐らく、それだろう。ん?コウ殿。何を…」


実はルスタフが手に持っている石が気になって。

何か変なんだ。


「ルスタフ殿。その石は何処で?」


「これは、その辺りに落ちていたヤツです」


「「「それだ!!!」」」


皆んなの声が重なった。


「ルスタフ殿。その石をちょっと見せて下さい」


ゼンさんの言葉は、耳には入ってた。

入ってだけど、俺は素早く近づいてその石を奪った。


コレ。

コレは何か変。


そう。


生きている。


ゴロンゴロンゴロン!!


俺が石を見つめてたら、甲板にまたも石。

いや、岩が転がり込んで来た。

しかも。


何個も。


ゴロンゴロンゴロン!!


あ、暴れてる?


気がつけばゴロンゴロンと、俺の周りを回っていた。



手の中の岩が目を開いた?


ええーー!


『『水産む岩』が枯れ始めています。助けてあげて』



『水産む岩』って??


目を開いた岩は、その瞬間手から飛び出して川の中へと。


ゴロンゴロン回ってたヤツらも、川へ。



「コウ殿。何があったのですか?」

ゼンさんには、聞こえなかったのか。


目を開いたのは?


。。


俺だけなのか?見たのも、聞いたのも…



「怖かったっすね。アイツ。

目を開いた時にはビックリしましたよ!」


ルスタフの言葉に俺は勢い良く振り返った。


「怖かったよな!

良かったよ。俺だけじゃなくて…」


ゼンさんがその間に、船の錨を降ろしてその場に停泊した。

『水産む岩』の心当たりがあるみたいだな。


納豆大会は、その日限りとなり。

翌朝から『水産む岩』救出部隊が結成されたんだ。


初めて指名された『隊長』の言葉に気を良くしてたら、結構ハードだと後から思う羽目になった…


けど。





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