発見!!囲炉裏だよ!!
ーコウ視点ー
フン、フンフンフン♪♪♪
今俺の機嫌は最高潮なのだ!
何故なら囲炉裏を発見したからだ。
凄いよ。
もう、言う事なし!!
早速、ゼンさんに火石を使って火をつけて貰った。
なんか、あの後ゼンさんは火石さえあればどこでも火をつける事が出来るようになったんだよ。
そこに、この灰だー!
じゃあ、アレっきゃないでしょ。
そう『おやき』
灰の中に入れて焼く。例のヤツですよ。
小麦粉を練ったものの中に
山菜の炒め煮
肉と野菜の炒め物
かぼちゃの甘煮
そして、お菓子系として餡子
大量に作り終えたけど誰も帰って来ないし。
道を探すと出たっきりでさ。
暇だーー!
んー。ここは勘の鋭い俺の出番でしょ。やっぱりさ。
よーし。道探しするぞーー!
まずは畑へと向かった。
いやぁ。森は敷居が高いでしょ。
畑の中には、美味しそうな苺が見えた。
うーん。ヨダレがー。
それにしても鈴なりだなぁ。
土が良いのか?
どれ。
あ!分かった。
火山灰だ。肥料になるって聞いた事あったし。
火山灰?
山ってあったっけ?
もしかして、あの霧の向こうか?
もしや…もしや噴火なんて…
ええーー。ヤバイっしょ。
島の中じゃ逃げ場ないし。
だ、脱出しかない!!
ヤバイ、ヤバイ!!
慌てふためいて、ふと周りを見るといつのまにか岩だらけの場所にいた。
何で?
慌てたからか?
急に心細くなった俺の目に見慣れた姿が見えてきた。
「おーい。スタンさん!ゼンさーん!!」
こんな場所で会うなんて、やっぱ野生の勘だな。
「何故ここにいる?」
あれ?やけに無表情のスタンさんだよ。
冷たい感じの声にびっくりしたし。
「どうやって入った!!」
ゼンさんがど、怒鳴るなんて。
グゥーー。
全く空気を読まない俺の腹から鳴る音に俺は屈んで袋から『おやき』を取り出した。
はい。
ん?なんでスタンさんがナイフを構えてるんだ?
闇影獣が出たのか?
とにかく『おやき』を配ったよ。
だって、ゼンさんの目がギラギラしてて。
あ!そうだよ。
飲み物、飲み物っと。
うーん。無いなぁ。
ヒュン!!
ひゅん?
何だ?
顔を上げてびっくり。近距離にゼンさんのナイフ発見!
え?ここまで闇影獣来てたのか。
ゼンさんサンキュー!
「はい。ちょっと酔うかもだけど」
飲み物が見つからない俺は『赤酒』を出して二人を手渡す。
無表情のスタンさんに変化が!!
「これは…御神酒?」
良くご存知で。
昔。『赤酒』は御神酒だったらしい。
まぁ、前世の知識だけど。
偶然だよね。この世界にも御神酒があったとは。
赤い顔になったスタンさんに微かな笑みがーー!
お?ゼンさんも気に入ったんだな。
お代わりしてるから。
むむ。
霧が出てきたし。
スタンさん?ゼンさん??
『良いだろう。聞き届けた。竃にも捧げものをせよ。さすれば道は開ける』
なんか耳の奥から…いや、頭の中から声がした。
ええーーー?
またもや、苺畑?
よし。側の魚山道があるって教えよう。
大発見かな。
やるな、俺の野生の勘!!
俺が広場に急いで戻ると。何か話し合ってた。
肩を落とすバリーをスタンさんが慰めてる??
「バリー殿のせいではない。全体の責任だよ。」
青白い顔のバリーが気の毒な俺も、側に行って肩を叩いた。
「元気だしてよ!バリーはいつもしっかりやってるよ。な!」
まぁ、よく内容は分からないけど取り敢えず、励ましたら。
「ひぃーーーー!!!」
バリーの悲鳴が響き渡った。
ええーー?
ドッキリ仕掛けた訳じゃないよ。
「コウ殿何処へ行っていたのですか?」控えめなスタンさんが戻ってきたぞ!
おーー。あの無表情やめたのね?
ん?
「ですから、コウ殿と会うのは2日ぶりです。
無表情とはいったい…」
俺は必死に先ほどの説明をした。
穏やかゼンさんに戻ったゼンさんも、眉間に皺が!
「コウ殿。それは我々ではありません。」
ありませんって言っても…ね?
不味いよ。
それじゃまるで俺が幽霊に会ったような。
もしくは、狐の化かされたような。
身体中の毛穴が一斉に開くのを感じながら、俺の精神の限界点に到達したのだ。
そのまま…ブラックアウトへ…