新たな出会い!
仲間達も合流してホッとしたのも束の間。
またピンチとは…
目の前に並ぶ見慣れぬ服装の人々は明らかに敵意剥き出しで槍を構えてこちらに迫って来る!
「其の方らは、いかにして此方へ渡ってきたのだ。返答によってはタダでは済まなぬと思え。」
一番前には、間違いなく一番偉い人がいるはず。
確かにお年寄りだしな。
「木の隙間に手を伸ばしたら引っ張られて、気がついたらココでした。
あのー、ここはいったいどこですか?」
俺の答えは向こうの予測とは違ったようで話し合いが行われてる。
ど、どーなる俺達…
で、今!
俺はいつもの通りに料理を作ってる。
料理人はまずは料理しなきゃな!
まあ、とにかくあの『無限収納』のお陰で大量の材料はあるし。
よーし!
パウンドケーキに、キノコ鍋。
パンを焼いて苔桃や木苺のジャムと一緒に出そう!
栗ご飯も欠かせないし。
次々作る俺に初めは見張りが沢山付いていたけど、今では誰もいない。
まあ、気にしないけどね。
あっ!チーズ。使おうっと。
じゃが芋があったから茹でてチーズかけて焼こう。シンプルだけどいけるしな。
不味いぞ。
大量過ぎて並びきらない。
俺は与えられた部屋から出てテーブルを増やすように頼みに出たら、なんか緊迫した様子になって
レイバン達とここの人が睨み合っているのに遭遇。
俺の腕力で解決出来る事ないから…ど、どーすればいいのか。。。
慌てて元の部屋に戻るとケーキを持って急いで戻った。
「これ食べて怒るのはやめにしませんか?」
甘い物は怒りに効くと確か前世の記憶があるような…かなり自信がないけど目をつぶってグイッと差し出した。
む、無言??
ダメか。まあ無理ないか。
俺でも馬鹿にしてるのか!とか思って余計に怒るしな。
冷や汗が背中をツーっと流れるのを感じるよ。
「確かに其方の言うのが正しいのかもしれん。
一口でこれではな…」
やっと話し出したので恐る恐る顔をあげると、
えー。
ここの人達がめっちゃ凄い勢いで食べ始めてる?
手掴みで千切っては貪り食ってる??
「あっちにまだいっぱいありますけど…それでテーブルを増やして貰おうと頼みに来たんです。」
ダッシュで全員が駆け出した?
飢えてたのか?
ここの人達ってばお腹空いてたんだな。
そこからは和やかに食事会となったが、手掴みは変わらず…ここの正式な食べ方なのかと思うがその割には汚い食べ方に見えるな。
レイバン達はゆっくり食べてる。
まあ、あれを見ると食欲は減るよな。
俺と言えば…また台所へ戻って今度はピザを焼いたりして大量の料理を作ってる。
旅空だと料理をする機会が少なくてストレス発散にピッタリだからな。
とにかく、夢中で作ってたら声を掛けられた。
「そのぐらいで取り敢えず此方へどうぞ。」
俺は少し緊張して食事会へ戻る。
手掴みの人達は満腹になったのか静かになってた。
「ここはな。隠れ里と言う場所なのだ。
太古の昔我々の祖先は自身の身を守る為に異能を使ってここを作ったのだ。
あれから数百年の間。
ここに迷い込んだ者はない。そして我々も出る方法も既に失いここで暮らしておる。」
な、なんとーー!!
「なぜ身を隠す必要があったのですか?」
レイバンの問いかけに偉い人?が答えた。
「それは魔法を使えたからだ。
ある日突如として魔法使いが生まれるようになると迫害が始まったのだ。」
それからの話は、レイバン達ですら全く知らない魔法の話のようだ…
ーレイバン視点ー
「何者か!」と尋ねられ身構えた時だ。
コウが素直に答えて事態は思わぬ方向へまたもや向かう。
「あのー、俺は『田中食堂』の料理人でコウです。得意料理は魚を使ったものかな?
でもパンなんかもパン種からこだわってるってお得意様から高評価なんです。
それに…」
止まらない料理談義に双方が肩の力を抜いた頃、コウが突然の提案をした。
「あっ!良ければ俺、料理をしますよ。さっきね、森で大量に木の実を拾ったんで良ければ食べてください。な、レイバン達だっておなか減ったろ!」
コウが台所へ篭った途端に冷たい空気が流れる。
主様は無言を貫いていて多分、ここの人達は気がついていないだろう。
「我らの場所へ如何にして入った!」
詰問的口調にラオが身構える。
長らしき人物の後ろの二人は手練れとみた。
俺も緊張感を持ちつつ、柔らかな口調を心掛けて答えた。
「我等にも分からない。ただ、今料理をしている人間の後を付いてきただけだ。」
コウの料理『付加料理』の説明や森での出来事など様々な話をするも取りつく島もない。
「嘘だ!」「外の人間なんて信用出来ない!!」
一方的に寄せられる敵意には成すすべもないまま。
やがて互いに身構える事態へと発展していく。
高まる緊張感から俺も武器に手を掛けようとした時、コウが飛び込んできた。
そして、通常運転で緊張感を一気に崩す事態を起こす。
我々の目の前にグイッと差し出す料理。
この場でなんで料理?
疑問はあれど、それもまたコウだ。
美味そうな匂いに惹きつけられるのも事実。
あっ!
なんと。。。先程まで戦う男の目をして睨んでいた男達が『ケーキ』に群がっている??
手掴みになるほど『美味い』
その気持ちは、俺達にも良く理解出来る。
「まだいっぱいありますよ。」
コウの一言でその後は怒涛の食事会となる。
コウの料理の放つ『付加』『美味さ』『未知なる味』
相変わらずの規格外。最早何も言うまい。
やがて…
怒りから静かな語りに入った長の表情から、大変な場面に遭遇してると感じた。
こんな事になるとは思ってもいなかった。
ただ、コウを逃すそれのみの旅は、あり得ない方向へと流れ出していた。
コウの肩にとまったままの麗は、目玉をクルクル動かしながらニヤリと笑った。
気付くものもない真剣な告白の中で…




