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上陸したが…

ーコウ視点ー


夕焼けマジックを実感する朝。

そう。俺の目の前の森の事ですよ。


何?これ。


鬱蒼とした森の真ん中に伸びる石畳みの道。

それは変わっていない。

問題は、その森の木だ。


道を挟んで右側の森の木は、右向きに曲がっていて。

ま、そうくれば左側の木は当然左向きに曲がっているよな。


でも、まるで無理やり曲げたかのように異様に曲がる木々は石畳みの道を避けるように見えて。

これからこの道を進むのは正直、ヤダ!


はぁ。

でも、この砂浜は潮の満ち引きであっという間に海に変化しようとしてて。

うーん。

月が滅多に出ないのに。


「コウ殿。置いていきますよ!」


男前カリナ登場で、カリナはこの道をサクサクと先頭で進んでるし。


歩き始めて見ると…


石畳みの道は、全く変わらない風景の連続。

その上、左右の曲がってる木々の中へ踏み込む勇気もない。


はぁ。進展無し!!


時折、休憩時間に道端で山菜採りに精を出すくらいで1日はあっという間だった。

でも、本当にちゃんと進んでるんだろうか?


どう見ても同じ道にしか見えないから不安が出る。

もしかして…。


テントを張り森の中と言う事で、火を使わずに料理となる。

昨日の沖漬けを使って、海鮮丼。


うー。美味い。

これは、間違いないし!!


漬けた魚は、イカやエビなど。

透き通る身体に染み込んだ醤油の味が絶妙。

うーん。やっぱ酒入れて良かったよ。

臭みが抜けたし。


袋にしまっていた炊きたてご飯に乗せ完成な訳で、楽々クッキング。


でもさ、俺としては料理したい。

あれが手に入ったんだしな!


ふふふ。

増えたかなぁ。



そんな数日が過ぎた頃、さすがに変わらない風景に何かおかしいと話し合いとなる。

そこで、目印を置いて来た道だと分かるようにしようとなった。


目印を付けた石を、道端に置いては歩くを繰り返すが進んでも目印の石を発見しない。


あー、良かったよ。

正直…ホラー的な要素がきたかと身構えちゃったじゃん!

はぁ。

でも、じゃあこの先もずっとこれだけで何も無かったら無駄足で。

あ!もしかしてら元の船の場所へ戻れないかも…。


「コウ殿。一本道ですから必ず戻れますよ!」

ス、スタンさん!

ナイスフォロー!!


夕方になり、またもやテントを張ろうとしてその時!


「あぁーー!!」


え?叫び声はスタンさんか?

闇影獣なのか?


ゼンさんとバリーが急いで駆けつけて、固まってます?


あ・れ・は!!


目印の石?

じゃあ。やっぱり…


全員が肩を落としている中で、ゼンさんだけがキョロキョロしてた。

どしたの?


「いやぁ、何となく気になって。

敵が襲撃するかもしれませんから。仕掛けがあると言う事は守るべきものがあると思うんですよ。

それは空振りでは無いと言う事で」


なーるほど。

ゼンさんの指摘で全員にやる気が戻る。


「では、この迷路を脱出する方法が必要だな。

目印は、役に立たないし森に入るのは以ての外だろう。何か意見は?」


スタン議長の呼びかけも虚しく、色々意見は出るけどこんな場所では方向を定める道標も無いし。


方向さえ分かれば。くっそー!

なんかいい方法は…ん?


方向…?


あれ?


俺は急いで袋の中をガサゴソ見て、一つの物を手に取った。

いやね。

これが何かは理解出来る。

でも、何でココにあるかは幾ら考えても理解出来ないよ。


『方位磁針』


手のひらにある『方位磁針』を見つめていたら、皆んなの視線を感じたよ。

はぁ、これの説明をするのか…これまた理科だろ。

俺、多分文系だったんだよ。


(ほら、料理本とか読むし。本好きだから、な!)別名言い訳…です…。


ハハハ。

せっかくの救いの『方位磁針』の説明に失敗しました!!

『方位磁針』はダメみたいだな。

と、もう諦めようとしてたら…あれ?


「理解したよ。

船乗りに教わった方向の見方に似てるから。

この赤い印が北だ。

だとすると…」

ブツブツ言う声に振り返ると…。


なんと!!

ゼンさんの凄技で突破しましたよ。

『方位磁針』の仕組みを理解したらいい。

すご!マジかー。


翌朝、ゼンさんを先頭にした俺達はかなりのペースダウンで進む。

『方位磁針』で確認をする事をマメにしなくては、またもや元の道になるみたいだ。


チビチビ進むから、足のだるさが無くて良いな。

俺はゼンさんが確認してる間に、あちこちで植物採集を繰り返す。


この道端…侮りがたし!!


あれ?

あの小さな家は何?


ほら、あれ!


「何の事だ?」とバリー。


道端にポツンとあるのは、高さ10㎝くらいの家?

うーん。オモチャの家っぽいな。


でも、よく出来てる。

ほら、窓とかドアとかあるし。

ドアノブもちゃんと回るなんてすげーよ。


え?


回しちゃダメって??


あれ??

目がまたもや回ってるのか?


一瞬、視界がグニャリと曲がったような…??


おおーー!


「皆んな!見てくれよ!!

こんなところに脇道を見つけたよーー!」


頭を抱えてるバリーと苦笑いのスタンさん??


「だから、待てって言ったのに…」


ん?何だよバリー。

聞こえないし。ははぁん。悪口だな。

脇道を見つけた俺に嫉妬したか。

くふふふ。

やるときゃやるよ!俺は。



脇道は不思議と真っ直ぐな木々の間にあった。

とにかく、発見者たる俺は先頭を譲らないし。

俺の横でバリーがやたら警戒するけどのんびりとした良い場所じゃないか。


脇道には小さな畑も見えてきた。

お?いよいよ民家が近いのか?

もしかして、村があるのでは……あ!!



見つけたぞーー!!



石畳みは、やがて街中へと続いて行く。

いや、村クラスの大きさかな。


しかし、静かだな。

バリーの警戒が浮いて見えるほど、静けさが辺りを覆っている。



ポツポツとある民家へ近づいてみれば、住民はお出かけのようだ。

鍋に食べ物があるからそう遠くではないだろう。


俺達は、勝手に家へ入るのは避けて村の広場のような場所で座り込む。

ん?

俺だけじゃないかって?


毎日、毎日歩行訓練みたいなんだぞ!!

だいたい15キロも歩くなんて、料理人じゃなくてギルドメンバーだろ。


足のマメを毎日カリナに治療される俺はかなり孤独なんだぞ!!

もう、見つかったから休んだって…え?


なんだよ。

バリー。剣を構えるとか。


村人たちが帰って来たのか?


「コウ!この村はおかしい。

家々を見て回ったが、埃一つない」


は?それは綺麗好きなんじゃあ…え?


「だから、家の中に埃一つないなんて考えられない。それだけじゃない。

生活感がないんだ。


ここは無人の村だ。

恐らく、遠い昔から」


またまた〜。

冗談キツイよ!!


「いや。コウ殿。

バリー殿が言う通りだろう。この村にはきっと罠があるはず」


スタンさんが言いかけた時、カリナの叫び声が!!



「大変です!!

帰り道が、帰り道が閉ざされました!!」


ええーー!!


急いで駆け寄れば。


歩いたはずの場所には、森がある。

しかも、人を寄せ付けない鬱蒼ブリで。


そこへ村中を調査していたゼンさんも戻って更に打ちのめされる。


「大変だ。

ココでは、魔法が使えない。

しかも。。火も使えない」



慌てたバリーが火打ち石を擦るも…火花も無し!!



俺は村人の家へ押し入って、(かまど)を覗き込む。



灰しか無い。



火のついた様子の全く無い異様な竃がそこにあるだけだった。




(なんで事だーー!俺の、俺の納豆汁がーー!)


皆んなを驚かせようと袋で大切に育てているのに…。


肩を落とした俺にバリーが手を掛ける。


「大丈夫だ。コウ!

必ずや、脱出経路を探してみせるから、な!」

と、慰めてくれた。



やたらと、男前を全開のバリーを俺は苦笑いで振り返った。


(こんな時も、イケメンかーー!!)とな。



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