表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
123/191

ヨーゼストへ向かって

 ーコウ視点ー


 今、再びヨーゼストに向かってる!


『ナナルの真山』の解放の噂は、瞬く間に広がって沢山の人が訪れていた。

 キヌルの王様の命令で、門番を定め森へ入る者を制限をしている。


 禁足地からの解放と言っても、この森の実りは特別だ。まぁ、当然かな。


『光るキノコ』を食べれないとなれば、次を狙うべし!

 そこで俺は思い出したんだよ!


 ヨーゼストの最古の図書館!!

 あそこに確か『海の地図』とか見たから!

 あれだよ。


 と、マーラさんに言ったら後は怒涛の展開だった。そりゃ故郷だものな。

 帰りたいに決まってる!


 でも、ちょっとドン引きする勢いで辛いよ。

 俺…『ナナルの真山』で木の実を探すつもりでいたんだけど。

 とにかく、ラシェットとブルスタッドの二人は家に帰した。物凄く嫌がったけど、子供の旅にしては海を渡るのはちょっと遠いから。


 ラオが送っていったよ。

 なんかため息混じりだったけど、ガイおじさんがどうのって言ってた。


 仕方ないから、お土産に蜂蜜以外にも蓬饅頭付けたよ。

 あれで甘いものに目がないんだ!

(あれほどの蜂蜜好きは見た事がないし!)



 超順調な旅に加え、マーラさん達の熱意が凄過ぎて旅はサクサク進んだ。


 あっという間に…港町到着だ!

 久しぶりの港町では、2日ほど滞在する事になった。

 何でも、潮の加減があるとからしい。

 まぁ、モーターとか無いしな。


 そんな訳で、今船の上。

 え?

 言ってる事が違うって?


 ふふふ。

 前から狙ってた『釣り』してまーす!!

 生魚イコール寿司!!

 前世持ちなら間違いなく憧れの寿司!

 自分で作りたいと、手漕ぎ船に乗って只今船の上な訳で。


 いやー。スタンさん辺りに反対されると思ったら何故か快諾でさ。


 ほら、いつか船に乗り込んで来たあの女の子。

 また、来たんだよ。


 妾も行くーとか。

 もう、子供って楽しい事に嗅覚鋭いよな!

 まぁ、スタンさんもOKしたから連れて来たけどやたら俺の弁当を食べでいるだけなんだけど。


 釣りする気ないな。

 でも、俺も暇だ。

 同行してくれたバリーも全く釣れない。


 ここいらの海には、魚がいないのかなぁ。

 もうすぐ帰る時間になる。

 手漕ぎ船でも潮の加減があるらしく船頭さんに従うのが許可の約束だったから。

 仕方ないか…。

(あー。すし飯の用意したのにな…)


「コウ!引いてるぞ!」


 え?

 本当だ!見た事ない撓った竿に気持ちも盛り上がるよ!

 強い引きだ。


 ん?

 何か泳ぎ回る感じがないけど。

 一気に…


 ガクン!!


 え?



 釣り上げた??

 何釣ったんだろう?



 痛!!

 何で尻が痛い??


 ひぃー!尻に何かくっついてるし!!

 何?

 今釣り上げたヤツか??



「動くなコウ!尻に貝が噛み付いてる。今取るから、 な!」

 バリーの言葉に必死にジッとするけど、痛いよ。


 か・い??

 えーー!!

 貝って、噛み付くっけ?


 頭の混乱中の俺の尻からバリーが必死の形相で『貝』を取ってくれたよ。


 痛みが引いて(本当はちょっとまだ痛いけど…)ようやく落ち着いて甲板の上を見て戦果を確認…と!


 はぁ?


 何で『本』??


 ヨレヨレの本。


 と、やたらデッカい貝。



 えーー!

 あれだけの引きでこれだけなの?



 魚め、どこ行ったんだよ。

 ガッカリしている俺に船頭さんの無情な一言。



「あんた、珍しいもの釣ったな。だけどもう、終わりの時間だよ。潮の流れが変わる前に浜へ帰るよ。」



 えーー!

 やっと釣れて?面白くなってきたのに!!

(意固地とも言う!)

 じゃあ、せめて貝を食べてやろうと見てたら、またもや船頭さんが…。


「見た事ない貝は、食べんほうが良い。やめときや。」って。


 くー。

 でも、せっかくの釣果だから一応袋にしまった。

(一応、ヨレヨレの本も袋に放り込んでやったよ!)



 港に帰ると、船頭さんが自分達の釣って来た魚を分けてくれた。

(同じ船に乗ってたのに、何故なんだーー!!でも、有り難いけど…)


 魚のフライにした。


 いや。刺身に向かないヤツでさ。

 せっかくのすし飯は五目ちらしにしたよ。

 意外に人気でびっくり。

 もちろん、漁師さんにもお裾分け。

 何か喜び方が激しくてちょっとドン引きしたけど、あれこそ海の男の表現だと学んだ!

(え?憧れるから真似するって!クッソ。何故見抜かれた?最近、バリーは鋭い)


 それからは、潮の流れの関係で釣りも出来ず、そのまま2日後にヨーゼストのレレベーナへと到着した。


 またか?あの大勢の人達は?


 またもやパナヤ陛下のお出迎え。


 はー。ちょっと分不相応で辛いんですけど。

 身の置き所を探していたら、ゼンさん発見!

 あれ?

 何か疲れてる?


「まあ、こき使われてますから。」とゼンさんのため息混じりの答えに納得したよ。


 だって。。。


 ここがあのレレベーナ?

 と、びっくりするほど綺麗な街並みに!!


 あの闇影獣に破壊されまくりのレレベーナは何処に?って感じで。

 もう!熱海の感じで、いや草津かな?

 まぁ、とにかくいい感じの観光都市でバッチシ!


 復活だけだと思ってたら、なんと闇影獣もまだかなり出たらしい。



 とにかく。

 この大勢のお出迎えの人達から逃れよう!!


 俺達は、足早に王宮へと向かった。

  そう言えば、勝手に(実際には攫われてだけど)テーレントへ向かってしまったから心配かけたみたい。

 パナヤ陛下が、「王宮はちょっと…」と断ろうとした俺を問答無用で連れ去ったから!


 しかし、俺ってよく連れ去られるよな。

 まあ、心配かけたのは申し訳なかったからいいけど。

 そんな意味も込めて、今晩は俺が料理をと思ったら断られた!!


 ショック!!


 マジか…落ち込んでたら、歓迎の為に城の調理人が張り切ったらしい。

 なんでも、前に俺の作った料理を食べて感動したとか。

 そう言えば厨房借りて仲良くレシピなんか交換したよなぁ。皆んなが、作ったのか。


 大広間に入ると、おっきなテーブルに所狭しとご馳走が並んでた。

 俺達以外にもお客さんがいたのか、大勢の人が立食パーティーを楽しんでた。


 よーし!

 食うぞーー!


 俺が皿持ってウロウロしてたら、足元にフワフワしたら感触が!


 下を見たら…あ!黒猫。

 おー。お前元気だったかあ?

 可愛いなあ。


 ニャー。

 ん?

 オヤツの催促か?


 えーと。袋の中に確か…。


 ゴソゴソしてたら、バサと何か袋から零れ落ちた。


 あ!あのヨレヨレ。

 いつの間にか乾いて綺麗になってる??


「コウ殿!!それは…」


 近くにいたパナヤ陛下のお顔が真っ白だけど大丈夫かなぁ。

 どしたの??


 またもや怒涛の展開で、陛下とゼンさんに連れられて別室へと移動した。



 何?これ…この元ヨレヨレ本??

 まさかの……き、禁制本とか?

 持ってるだけで不敬罪とかになるヤツなの?


 え?違う意味で禁制本?

(頬が赤い?違うし!期待してないから!!)


「コウ殿。その本を何処で?」


 冷静なゼンさんの質問にチラ見の妄想中だった俺は、焦ったままありのままを答えた。


 しばらくの沈黙の後…。


 パヤオ陛下が爆弾発言を。


「コウ殿がお持ちになった本は『見えない島』の地図です。


 太古の昔に紛失したヨーゼスト王国の秘宝なのです。

 誰も知らない『見えない島』への行き方があると言われてます。

 恐らくは、今回コウ殿達の求めるものもそこにあるかと。


 しかし…。


 まさか海から釣り上げるとは思ってもみませんでしたが、この状態でよくぞ…」


 そのまま絶句したパナヤ陛下に実はヨレヨレが直ったとかは、言わない方がいいよね。


 しかし、もしかすると俺…釣りの才能があるんじゃないか!凄腕とか言われたりして…。


 へへへ。


 そんな妄想してる場合ではないと、パナヤ陛下に本の中身を確認するように言われ中身を見た。



 えーー!

 また、絵だけ?

 よくわかんないじゃん!!


 でも…『見えない島』の前に書いてある絵をどっかで見たような気がするんだけど。


 んー。


 あ!


 あれ…『蜃気楼』かも。

 そうだとしても、意味不明だけど。



 くくく。

 みんなは必死なところ、申し訳ないけど

 でも、今俺は至福の時間なんだよ。


 だってさ、


 着いて来ちゃった黒猫がさ、人間の真似して本の上に乗って、真剣な表情で見てるんだから!!




 最高でしょ!






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ