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光るキノコを手に入れろ!

ーコウ視点ー


「ここで帰り道の事を心配して立ち止まってもどうにもなりません。

とにかく、地底湖の近くへ向かって光るキノコを探しましょう。」とウェスさん。


大人だ。

俺の目指す大人がこんな所に!


まぁ、とにかく地底湖でキノコ探しからだな。

光るキノコかぁ。

どうやって料理しようかなぁ?


そんな事を思いつつ近づいたら、地底湖から光が見えた!

あ!光るキノコか?

こんなに簡単に見つかるなんて!ようやく幸運の女神が俺に気づいたな!



とほほ。気のせいでした。

女神はまだお出かけのようで。

地底湖の光は、湖底にある『水晶』の影響だったよ。

でも、凄い量!


キラキラして綺麗だなぁ。


「「うっ!!」」「キャ!」


何?

また、気付け薬の出番か?

まだまだいっぱいあるよ!


「コウ!き、気付け薬はもう大丈夫だ。

いらないからな!!

そ、それよりお前の目は何ともないのか?

俺は湖底を覗いたら、光で目をやられたんだ。」


ルスタフは、目を手で押さえながら言う。

余程なのか押さえている手から涙が溢れていた。


お?

お二方もか?


よーし!

何か薬を探そう!と袋の中をガサガサしていたら、エマ姫様から声がかかった。


「あのー。コウ殿。

もしかして『薬』を探しておられますか?」


お?とうとう、俺の薬にも期待が集まるようになったな。

いよいよ、必死に探し…


「コウ殿!!

薬は全く必要ありません。この目はしばらく休めば必ずや良くなりますから!!

き、聞いてますか?」


上擦った声で俺に話し掛けたのは、まさかのウェスさん。

大人の男は何処へ?


でも、まぁ時間で治るなら薬に頼らない方がいい。



とりあえず、目の回復を待つ間に袋の整理整頓でもと見ていたら良いものを見つけた!


『木彫りの龍』


実は、密かな計画があるんだ。

ルスタフの木彫りシリーズを『田中食堂』で売り出そうと。

ルスタフに思いつくまま色々な木彫りシリーズを頼んでいるんだ。


その中でも最高傑作の一つかな。

でも、評判はイマイチで。

なんでも、龍自体が恐ろしく見えて誰も買わないだろうからと。


そんな考え事に忙しくしてたら、またもや袋の整理整頓は頓挫した。

何故なら、全員の目が回復して辺りの捜索を始めたからだ。


俺もキノコ探しがあったのを思い出して、慌てて仲間に加わる。

が、何処にもキノコの姿がない。


と、言うかこの世界は変だ。

何だろう。整っているけど何か物足りないんだ。


「それは生き物がいないからでは?

その上、この草原はたった一つの種類の植物しかありません。だから、整って見えるのです」


え?

そう言われれば、確かに一種類の植物だ。


じゃあ、光るキノコは?


「コウ殿。もしかしたら夜になれば見えてくるのではないですか?」


おーー!!

エマ姫様、さすが頭の良い人だよ!


ま、とりあえず休憩だな。


そこで、袋の中からおにぎりと味噌汁を出してとりあえず、夕飯にする。


気づけば、空は夕焼けだったからだ。

そう、今頃だけど太陽があるなんておかしいよな?

地下とか、地底とかの印象がない。


「今頃なのか?

どうも、ココは普通じゃない!

なにか、別の次元か何かだと思う。

何故なら、

ココは大量の『光魔法』に溢れているんだ。

それも密度が尋常じゃない。

身体に力は溢れるがそれも限度があるから長期間の滞在ば危険だと思う。」


ルスタフの言葉にウェスさんが答えた。


「なるほど。我々は魔法使いではないから体感はあまりないが、どうも身体から力が漲るからな。

早く光るキノコを手に入れて脱出しなければ」


二人の話し合いはまだまだ続いた。

エマ姫様は、夕食の片付けをテキパキしていた。

なんて、スキルの高い姫様なんだ!


感動してたら、またもやエマ姫様が慌ててる?



「あ、あの。

慣れてるとかではなくて。あのですね。

嗜みとかそう言う教育とか、でしてね。

その。普段からやっているとか、では。

はー。私ってば何言ってるのかしら?」


おー、早口言葉か?

ちょっと何言ってるのか意味不明だな。


そんな和やかな時間は、あっという間に終わった。

何故なら、日が暮れたからだ。


暗くなると、一斉に地底湖の近くからほんのり光が見え出した。


おーー!キノコか?


「ゆっくり行こう。夜道には危険もある。

キノコだ。逃げる訳はな…」

言いかけてウェスさんがまたもや固まったぞ!


そりゃそうだ。

はい!だってキノコは、逃げてますよ!


な、何なの?

このキノコは何処から湧いた?


確かに無かったのに。

一面に光が広がって光の絨毯が敷き詰められて凄く綺麗だ!


「おい、そんな場合か!

追いかけるぞ!相手はキノコだ。間違いなくすぐ捕まえられるさ。

それにこの量だからな!」と、ルスタフ。


たが…。


ルスタフ…またもや目測失敗!!


あ!本人も反省してる?

ルスタフの言葉とは真逆に、キノコの逃げ足はめっちゃ早い。

(かなりの時間追いかけっこしてて疲れた)


どうしたんだ?

ルスタフ…そんなに反省していたのか?

しゃがみ込んでいるし。


「ルスタフ殿。大丈夫ですか?」とウェスさん。


え?


具合が悪かったのか?


「コウ殿。魔法使いである彼はこの空間に最も影響を受けています。それが例え良い影響でも過ぎてしまえば、毒になります。

早く。早くしなければ。」


。。。


ルスタフ!!


ご、ごめん。どうしよう…。

無理矢理連れて来たのは俺なんだよ。

しかもルスタフが気楽で良いなんて理由で連れて来ちゃって。


「コウ!大丈夫だよ。まだいけるからな。

それにコウに選ばれて正直嬉しかったしな。」


疲れた様子なのに、精一杯の笑顔で応えてくれたルスタフ。


俺は必死に袋を探った。

確か…いい薬があったはずだ!


確か…


ん?

何かルスタフが騒いでいるけど、そんな場合じゃない。遠慮とかするなよ。仲間なのに!!


コロン!


あ、さっき見てた『木彫りの龍』が袋から落ちた。

一番上に置いてたから、な。



あーー!!


ど、泥棒でーす!!

泥棒キノコ発生です!!



キノコめ。ルスタフの最高傑作を!!


「待って下さい。キノコ達の様子が…」と、エマ姫様。


ん?

キノコが集まりだしたぞ?


何?

これをくれたら、『光るキノコ』をくれるのか?


え?お前達を食べていいのか?

ん、くれるのはお前たち自身ではないのか?

おーー!

お前たちが育てているキノコなのか。


しかし…キノコがキノコを育ててる?

なんだそりゃ。

まあ、いいや。ルスタフの為にも早く脱出しようっと。


俺が渡すと、キノコが小さな袋をくれた。


やったぞ!

これで後は脱出するだ…け?

あれ?不味いじゃん!何処からするんだよ!


ん?



『付いて来い!』キノコ?



不思議キノコは、俺達を地底湖の近くに連れてきた。そして、お?水の中にあるのか?

無理。無理でーす!


か、カナヅチなんです!!


ん?消えた??


真似して俺が水に触れた瞬間に。


グニャと視界が歪んで、気づけばココ?


ココは…はい!王城の王の間です!!


えーー!!

キノコ…ココなの?

もう少しいい場所あったよね?

王様の目が点になってて、不安しかないんですけど!!

そしたら、


「お兄様。ただ今戻りました」


エマ姫様の落ち着いた声に振り返ると、ルスタフを抱えたウェスさんと、笑顔のエマ姫様がいた。



良かった。



俺の首…無事だよね?


俺はすぐさまルスタフを抱えるウェスさんについて部屋から脱出した。


いやだって、兄妹だけの話があるよね!



いや、

王様苦手とかじゃないよ?


とにかくルスタフだし!!



その時、俺達の身体からキラキラした光が出ていたのを俺達は全く知らなかった。






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