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廊下の仕掛けに襲われた!

ーコウ視点ー


左右の灯りが何なのか?については考えちゃダメなやつだわ。

ボンヤリ灯る明かりが、人の掌の上にあるなんて…俺は見てないから!


廊下の壁に人の手首が生えてる事自体受け入れ不可ですから!!


長過ぎると正直ドン引きの廊下は行き着く先も見えないまま、ウェスを先頭にして出発したんだ。

俺、エマ姫様、最後尾はルスタフの順で。


警戒心しか無い我々の歩みも、全く変化の無い廊下の景色にしばらくすると疲労感が増した。

最初は、俺もホラーハウスかとビビったけど、今は足のダルさの方が気になり出したよ。


もうそろそろ少し休憩して袋から食べ物出して…と計画してたらちゃんとピンチがやって来ました。


何?この廊下の模様は?

模様とかあったっけ?


マス目模様だけど、色とりどりで。

けんけんパーなのか?


はい。違うな!わ、分かってるし!


「これ。もしかしたら…」エマ姫様の遠慮がちな声に振り向けば指差す方に何かある?


廊下にポスター発見!


え?

さっきはなかったよな?


「間違いなくありませんでした。恐らく、この模様もポスターも我々の到着と同時に現れたと。」


ジッと見れば、どうやらこの先の模様の歩き方を書いてあるようだ。


なになに…最初は緑のマスを3つ進んで。

右へ一歩曲がった後は黄色のマスを…あ!!


た、大変だ!!

ポスターが何故かだんだん消えてゆくし!

お、覚えなくちゃ。

えっと、えっとーーー!!


無理!!

無理だから!!


このスピードで覚える人とかいないよ!

ど、どうすんだよ。


もう全部消えたし。


俺が肩を落として疲れ満タンになっていたら、ルスタフとウェスさんが覚えたものを話し合ってる。


俺よりはかなり先まで覚えてるけど。

まずは半分進むとかか?

それはヤバイと思うけどね。


「大丈夫です。私が全部覚えましたから。」


ええーーーーー!!!!


エマ姫様…人間から進化したのか??


驚く俺を余所に。

落ち着いたウェスさんの声が響いた。


「そうでした。エマ姫様の暗記能力はずば抜けていらしたのでした。良かった。

この先の道をご指示下さい。」



な、なんと!

姫様の上、頭まで良いとか?

王族って…。


あ、驚いてる暇はないな!

サクサク進む姫様とウェスさんを俺も追いかけるけど、歩くの難しいよ…。


えっと。

踏まないように。


模様に目がチカチカして。

汗が流れ落ちるなぁ。


疲労困憊の俺は、かなり長く歩いてやっと解放されたよ。


はー、疲れた。


模様が終わった途端に思わず座り込んだし。

袋から生ジュースを出して皆んなに配ったよ。


おや?

姫様がテキパキと生ジュースを配ってる?

んー。

王族なのに、偉いよなぁ。

普段からやってるんだよ。

きっと!!


だって、手慣れてるから。


あれ?

何か突然、姫様がバタバタしてるような…?


あ!零したよ。

焦ると失敗するよな。

分かる、分かるよ!


頷いていたら、俺。眩暈がしきたみたい。

どうしよう…。

だって、床が波打って見えるし。


「コウ!早く立って走るんだ!!

眩暈なんかじゃない。本当に床が波打ってる。

早く!!」ルスタフの叫びに慌てふためいて全員が走り出す。


床が波打ってるから走りにくい!

あー、転びそうで大変だよ。


あ!エマ姫様は?

姫様では…あー。心配ご無用でしたね。


ウェスが担いでいたよ。

そんな事を言ってる場合だったのはここまで。


大波に変化した床に俺の身体はポーンと投げ飛ばされたし。

真っ逆さまの俺には全てが何故だかゆっくり見えた。

そうか…これが走馬灯なのか…。


やがて来る強い衝撃に目を固く瞑った俺。

ん?

衝撃は?


「コウ。ジッとしてくれ!」

見上げれば…ルスタフ?


えーー?

ルスタフが俺を抱えてジャンプを繰り返していたけど、大丈夫なのか?


「 俺特有の気の使い方で、身体強化だよ。

危ないから、とにかくジッとしてくれ!!」


お見それしました。


ウェスさんも大波の変化に合わせて、ジャンプを繰り返していたし。

やがて、ようやく床が正気を取り戻してくれてようやく地に足をつけた。


「すみません。たぶん私がジュースをこぼしたから」

小さくなって誤るエマ姫様にキョトンとした。


「ハハハ。いくら謎だらけとは言え、ジュース如きではありませんよ。恐らく、元々の仕掛けのせいですよ」


励ましながらも、繊細な女性そのものに緊張したよ。

なにせ俺の知り合いは、カリナとかマーナさんとかだもんな。(正直、メンタルが鋼だと思うよ。時折ついて行けないしなぁ)


あれ?ルスタフが疲れた顔してる?

あ、俺のせいか。


「ルスタフ。ごめんよ。重かったな。」

って言ったら


「それは全然問題ないが。

まぁ、いいか。コウはこれが通常運転だからな」


え?なに?

声が小さいなぁ。


あれ?

周りを見ればルスタフも焦った顔をして首を横に振る。どうした?

同じくウェスさんもエマ姫様も項垂れていた。


連続する廊下の仕掛けにすっかり気落ちしているのかなぁ。

でも、ウェスさんて、こんな事で気落ちする人だったっけ。


何かおかしいぞ。

皆んな座り込んだし。

も、もしかして、ぐ、具合が悪いのか?

ま、まさか!!


杞憂は現実だった。


最初にエマ姫様が倒れ、すぐさまルスタフも倒れた。

ウェスさんはかなりしんどそうだが、エマ姫様を抱えて守ろうとする姿勢は崩していない。

真っ青な顔からして、恐らくほぼ無意識の行動だと思う。


何故か俺だけ平気で。

こんな時は、これしか無い!


『気付け薬』


これ!俺特製なんだよ。

作っただけど…。

カリナが味がどうのって言うから、まだ誰も飲んだこと無い。


今こそ、これだ!!


「ウェスさん。これ飲んで!はい。」

聞こえないから手振りで説明。


手を添えて飲ませた。。



ゴクン。


。。。



「ぐぁあーー」ウェスさんが叫び出したぞ!


ど、どうしよう。

超呻いたまま、蹲って動かない。



「ウェスさん!

吐き出して!早く。こんなつもりじゃなかったんだよ。薬草のみしか使ってないから大丈夫だと思って」

最後の方は声が小さくなったけど。



ピクン!


あ!


ウェスさんが起き出した!

すっかり顔色も良くなって頬に赤みがさしているからだ、大丈夫かな?



「コウ殿。ありがとうございます。おかげさまで何とか体調も戻りました。

しかし…凄い薬ですね。あまりの凄さにエマ姫様にお飲ませするのが少し躊躇われます。」


ウェスさんがエマ姫様に薬を飲ませてる間に俺もルスタフに飲ませた。


「が、がーーー!!くっ。くーーー!!」

のたうち回るルスタフに、ちょっとドン引きだ。

ウェスさんはちょっとしか唸らなかったのに。


エマ姫様は静かだよ。

ほら!


え?

気を失った??


数分後…全員がすっかり元どおりになったので先に進もうと立ち上がった。



その時!


廊下の先に、出口が。


やっとか。

喜ぶ俺たちの前に、闇影獣が現れた!!


「違う!似ているが闇影獣では無い。

コウ!後ろに下がれ!!」


ルスタフに言われた俺は後ろに下がった。

もちろん、エマ姫様もだ。



しかし、真っ黒な姿のまるで虎のような姿だから絶対闇影獣に見えたのに。


「え?私には違う姿に見えますけれど」と言われ驚いた。


コイツ。何者なのか?



戦う二人も姿を変える相手に戸惑っていた。

しかも、見る人により違う姿が見える敵とは厄介過ぎるし!!


えーい。

こうなれば(別名、ヤケクソとも言う)!


「あ!馬鹿コウ!後ろに下がれって!!

あーー!!何をするんだ!!」


ルスタフの叫びも無視した俺は前に出て瓶を投げつけた。

敵の口の中に狙った。


バタ!


敵が倒れた。

す、スゲー。俺。


もしかして、攻撃力あるのか?



なんてな!

実はあの『気付け薬』を投げただけ。

しかも、敵の前で割れて当たらなかったのに。


なんでだ?


あ!

そうか、分かったぞ。

たぶんウェスさんの攻撃で本当は致命傷をもらってたんだな。


とにかく、敵が出る前に出口へと駆け出した。



目の前に広がる景色は、緑の大地と湖の湖面がキラキラしている美しい姿だった。



と、とにかく。。。着いた?


ホッとした俺が振り返って、固まった。


だって。


またもや今来た道がどこにも無い。

いや、そもそもここはまるで地上だし!


太陽あるよ?

何処だよーー!ココ?


帰り道下さい!


キ、キノコ取って帰りたいーー!!






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