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ナット君視点ー隠れ里でー

ーナット君視点…いや、エマ姫?視点ー


必死な馬での早駆けが続いた。

キヌルの隠れ里へ向かうと聞いて喜んだのも束の間。

メルセデス王が無双騎士団を動かしたのだ。


なんで…。

この世界でも、随一と評判の無双騎士団の乱れない早駆け技術。


普通なら山道などは、速度を緩めるのに早めるなんて!!

ウェスの手助けがなければ、後から追いつく事にする以外なかったと思う。

絶対に嫌だった。


弟子になって、ようやく最近は色々下拵えを任されるようになってきたのに。

とは言え、隠れ里が見えた時には女神セレーネ様に感謝の言葉を呟いて空を仰いでしまったわ。


えっ?

あれはまさか兄上?

なぜ?


「コウ殿が隠れ里を訪ねる旨を陛下にご報告住みですので、この様な事になったかと。

ただ…私もまさか陛下自らお出迎えされるとは思ってもいませんでしたが。」


側仕えの近衛隊よりウェスへ微かに頭を下げて挨拶がされているのを見て、ウェスは近衛隊隊長であったと今更ながらに思い出した。

暗部上がりのウェスが近衛隊隊長になった当初は、反対も多かった。

だが、彼は実力で全てを解決する人間で。


彼が報告をしてない筈もないもの。

早駆けばかりに囚われていた自分が恥ずかしい。

コウ殿の件は今やどの国でも最大重要案件。

私も陛下へ度々ご報告しているけれど…まだまだね。


ふふふ。

コウ殿は兄上に、やっと気がついたのね。

どうしてなのか、王様とか、お城とかに異様に緊張するらしいコウ殿を少し可愛いらしいと思ってしまう。

料理人のコウ殿は、一部の隙もない仕事人間。

だから、こんな時に身近な気持ちを勝手に抱いてしまうのかも。


果樹園が見えてきたわ。

ウェスから聞いていた通り、季節など関係なくしかも常に豊作とか。

道理で村が豊かになる訳ね。


『レイゾウコ』は国を挙げての製作販売となった筈ね。

ナディム村長からの申し出だったとか。

あまりの発明品で手に余ると。


でも、それで良かったかも。

今では世界一のフルーツ産地だもの。


あのコウ殿の顔は…


「ナット君。アイスタイカイやるよー!」


やっぱり。

凄いアイデアを思いついた時の顔だもの。

きっと、凄い事になる筈。

新しいメニューとの出会いは本当に幸せの瞬間で、それも一番初めに出会うんだから。


私…頑張らなきゃ!


やっぱり…凄いわ!

『アイスクリーム』『アイスキャンディー』



そして『パフェ』!!



あー!

幸せの食べ物だわ!


それもコウ殿特製の私だけの『パフェ』


でも…


「いつもありがとな。今やナット君がいなきゃ俺やってけないよ。これからもよろしく!」


コウ殿の言葉。

私…一生忘れないと思うわ。



でも、世の中は甘くなかったの。

その後、私の人生史上でも最も驚くべきセリフを聞く事になるのだから。


しかも、敬愛する我が兄上よりで。


あの地図にあった食材の謎が解けたのは良かったわ。

しかも、我が王城なんて。


でも、あの場所は確か…


なんて考え事をしていたのが不味かったのよ。


「案内は第四皇女のエマにさせます。」


。。。


『ぎゃーー』心の叫びは出なかったけど。


驚きの声はコウ殿と重なったわ。


ナットではなく、エマとしてコウ殿に会うの?

ズボンではなく、皇女の姿で?


私の頭がグルグルしている間に、コウ殿がおかしな事を考え出したわ。



まさかの、ナットがエマに一目惚れとか。


驚きと苦笑いと、困惑と。

そして…ちょっぴりの嬉しさに大混乱の私には、

周りは全く見えていなかった。


だから、兄上がウェスに目配せしていたのを見逃してしまった。


そして、これから人生最大の冒険が始まる事になるのだけど、その時の私は全く予想も出来なかったわ。



ールスタフの心の叫びー


最近、俺の仕事内容が見えない。

俺って、護衛の筈で。

光魔法もちょびっとは使えるし。

もちろん、戦闘能力もある方だと思ってるんだけど。


「あー!いたいた。

ルスタフ。また頼みがあるんだ。

冷凍庫頼むよ!」


また来た。

レイトウコ?レイトウコって??


無理な頼み事は、全て工作活動ばかりで。

もしかして、知らない間に俺転職したのか?


「ルスタフ殿。現実逃避は終わりにして早急にコウ殿の言われる事をまた、木彫りで頼みたい。

わかっていると思うが、君しかいないのだ。

頼んだよ。」


オリド殿…。


あーー。

現実逃避は終わりか。


まだ逃げていたかった…。





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