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ラオ視点 地図の謎解き?

 ーラオ視点ー


 甦ったテーレントの大地。


 その豊かな事。


 広々とした草原には、既に絶滅したとされる様々な植物の姿を見つける事が出来る。

 遠くの山々から流れる川の水の清らさは、水に悩まされるムルゼアの民には眩しい程だ。


 これもそれも、全てはコウがあってこそか…。

 幼い頃から見てきた無邪気な…(いや無邪気を通り越している気がするが…)コウを見てきた身には俄かには尊敬とはいかぬが。

 それでも、何だか誇らしくはある。


 ようやく落ち着いた我々は、殿下方に呼ばれて集まっていた。


 一つの地図がテーブルに広がっていた。

 どうやら、コウが持っていたものとは違うようだ。


 おぉ、なんと世界地図では!!

 興奮する我々を置いて殿下がコウに声をかけた。


「コウ。この上にお前の持っている地図を広げてくれ。」と殿下。


 コウは素直に上に重ねた。


 そう言えば、以前はこれを取り出した瞬間に新種が現れた覚えがあるが。

 大丈夫だろうか?


 そんな心配を皆がしているのを察してレイバンが答えた。


「俺がいるから新種も手を出せまい。」と。


 何という自信…。


 再会してからのレイバンは様子が違った。

 いや、姿形ではない。

 落ち着きと言うか…底知れぬ自信のようなものものを感じるんだが、気のせいだろうか?

 だが、この発言で皆が落ち着いて地図を眺めた。



 。。。



 何も起こらない。

 皆でホッと胸をなで下ろす。


 しかし、どうやら殿下方は違う何かが起こると期待していたようで肩を落としていた。

 もっと奇跡的な何かのようだ。


「これって、何の意味があるんだ?」と、コウ。

 キョトンとしてるし。


 はー。やっぱり理解していないんだな。

 この地図の凄さを。


 これは、世界地図なんだぞ!

 そう、この世界に今まで存在しなかった。


 何故なら一度も世界的に纏まった事がないからだ。

 その為、国境の地図はあやふやなままで世界地図など夢物語となっていた。


 それなのに、この世界地図だ。


(あー。さすがスタン殿。世話焼きの血が騒いでコウに丁寧に説明してる。あの顔は…ダメだな。たぶん…理解してないぞ…)


 そこへコウの持っている古代の地図の登場だ。

 普通何かを勘繰るのが常套だが、そこはコウ。

 肝心なところで全く違う反応となるのだ。



 様々な意見が出るが、画期的なものは無くそのまま一旦休憩となる。


 コウ特製のフレッシュジュースと言う贅沢な飲み物を皆で飲んでいると、コウが突然騒いだ。



「あーー!!俺。分かったかも…よーし。これだ!!」


 走り出すコウに慌てる俺。

 こういう時のコウは必ず何かを仕出かす。

 勘というより体験談的なものがそう告げているのだ。


 あーー。

 遅かったか…。



 何を思ったのか、コウはプラのジュースを地図にぶっかけて火で炙ろうとしていたところだった。


「鎮火!」思わずのバリーの魔法で火は消し止められたが、不服顔のコウだ。



「あのね。昔から蜜柑の汁をかけて火で炙る。

 これって決まり事だから!」


 ミカン??


 コウが訳の分からない文句を言っている横で、アーリア様が驚く事をしていた。


『清めの浄化よ。この場に顕れよ。』


 あれは神殿の門外不出の技。

 どんな汚れた川も綺麗にするという大神力。


 いいのだろうか?

 地図にかかったプラの汁を浄化するのに使っても?



「おー。アーリアさん、すっげー。

 でもさ、俺の秘密文字の炙り出しが大失敗じゃん!いい案なのになぁ。」


 いや、大失敗はアーリア様のせいではないぞ。

 後でお説教だな。コウは…。


 あー!!


 なんと、コウが浄化で綺麗になった地図を手で擦ってる??


 なんで!


 案の定、地図は更にボロボロになった。


「いや、これフニャフニャしてたから、手で伸ばそうと思って。」

 言い訳しながら、焦るコウが更に擦る。


 あー。

 見るも哀れな地図の完成となる。


「こんな。。」

 殿下方が呟く。

 口が閉まらないのか、これぞ唖然という顔をしていた。


 申し訳無さに居た堪れない俺の耳にレイバンの声がした。


「皆んな。この地図はもしや二重なのでは?」


 よく見れば、擦った地図の下からもう一枚の地図が!

 しかも、いつの間にか地図二枚は合体して一枚となっている。


 まさかの奇跡なのか?



 それは思いもかけない地図の完成だった。


 世界地図らしきものには、色々な記載が満載している。


 更には『五大食材の地図』と書かれた題字に釘付けとなる。


 五大食材?

 どうやら誰も知らないらしい。


「うーん。五大食材とは物凄く気になるなぁ。

 出来れば、ぜーんぶ見つけて食べてみたいよ。

 だけど、さっぱり意味不明で。」

 と、コウ。


 こと食材となると、目の色の変わるコウだから特に気になるのだろう。

 しかし更に読み解く事が難しくなり、ヨーゼストの最古の図書館に行くしかないと、話し合いをしていたら。


『まぁ待て。

 お前には大量の借りがある。手を貸しても良いぞ。』


 声のする方を見れば、な、なんとラゼがいた。

 しかも喋れるラゼとは…。

 では、言い伝えの主様なのか??


 混乱する俺たちをよそに、コウは知り合いのように気軽に話しかけてていた。


「おう!助かるよ。

 それにしても太郎とはお別れかと思ったよ。

 あー良かった。」


 タロウ??

 あー。またか。

 またやったんだな。


 名付け。オヤジにもドン引きされるコウのセンスによる名付け。

 意味があるものだと、スレッドさんは言っていたが。


 ラゼの姿をした主様の協力を得て我々は『五大食材』の謎を一部解くことに成功した。


 まぁ…その場所のみだがな…。


 食材についての説明は主様とて分からないと言うのだ。

 それにしても、やけに積極的なアーリア様の様子が気になる。

 積極的なのは殿下方も同じだから余計だ。


 もしや、ルーザ様が関係しているのか??


 あー、様々な思惑をすっ飛ばす男がいたのを思い出した。


「いや、行かないよ。」


 あっさり断るコウ!


「いや、だってね。まずは狐だろ。約束してるんだからさ。

 それに親方にもね。会いに行くから!!」と。

 ここまでは、コウだからだと、一応理解は出来る。



 だが…



「じゃあ、俺たちもボルタについて行く!」

 との殿下方の回答にはさすがに目を見張って驚いた。



 必死に止めようとしても、一切受け付けない。

 オヤジに頼まれたのに。

 そんな遠くへなんて拳骨じゃ済まないよ!!



 結局…。

 テーレントの立て直しの為に残る人を決め、ボルタへの出発が決まる。


 そして俺はオヤジからの拳骨、いや半殺しの刑は確定した。

 あぁ。本当にツイてないな。俺…。



「でも、もう少し食材集めしたかったなぁ。」

 と呟くコウ。

 まぁ、コウならそうだろう。

 まずは、目の前の食材だものな!




 そして。翌朝。


 俺たちは、またもや目を剥く事態に遭遇する。

 沢山の食べ物がテントの前に置いてあったのだ。



 犯人は分かってる。

 今そこで踊っているのだから。



 コウのあの演奏をいたく気に入ったのだろう。

 貢ぎ物の前に整列していたから。


 喜んだコウがイソイソとお礼のモーリフ演奏してたら、物凄く増えたし。


 皆の顔色が悪化する。

 あー。

 誰か耳の中に入れるものをくれーー!!



 朝ご飯が逆流するのを感じながらも出発の準備をする。

「長く待たせたから早く行きたい!」とのコウの言葉をいたく感激したスタンさんの号令で今日の出立となるのだから。




 別れ際…


「コウ。テーレントを立て直した後、必ず駆けつける。どこに居てもだ。

 忘れないでくれ。」


 レイバンさんの言葉には、大きく頷くコウ。



 晴れやかなレイバンさんに見送られて、再びボルタへの道を行く。




 まだ、ダンスは続いていた…。


 コウは俺の馬の上で馬鹿笑いをしている。



 はー。いつ、終わるのだろうか?


 俺のツイテない日々は…。




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